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価値が高いのはレース内容だけではない!?
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也


京都1R(芝1400m)…[1][3][2]
京都3R(芝1600m)…[1][2][6]
京都5R(芝2000m)…[1][3][2]
京都8R(芝2400m)…[3][7][8]
京都9R(芝1800m)…[7][3][1]

これは何の数字かと言うと、スワンS当日の芝レースにおける③着以内馬(左から①着、②着、③着)の4角位置取りで、15頭中11頭が4角3番手以内につけていて、5レースすべてで4角3番手以内の馬が連対していたのである。

4回京都1~7日目(10月6日~10月21日)では、芝レースは40レース(すべて良馬場)が行われていて、そのうち36レースで4角3番手以内の馬が馬券圏内に入っていたから、スワンS当日も前残り傾向の強い馬場状態だったと言え、実際、スワンSも4角1&2番手につけたテイエムオオタカアドマイヤセプターが②&③着に粘っていた。

スワンSは、過去10年(05年は重、07年は稍重)では、レースの前半3Fと前半4Fが33秒7~34秒745秒0~46秒3だったのに対し、今年は前半3Fが35秒2、前半4Fが46秒7とかなり遅かったこともあって、馬場状態に加えてペースも先行馬に味方する格好だったと言える。

さらに言えば、4回京都1~7日目の芝レースにおいて、4角10番手以下の馬は[0.3.4.117]と未勝利だった。菊花賞で二冠制覇を果たしたゴールドシップも途中まで17番手という位置取りだったが、4角では2番手まで押し上げていたし、豪快な末脚で突き抜けた京都大賞典のメイショウカンパクも秋華賞のジェンティルドンナも4角では9番手だった。

前置きが長くなってしまったが、何が言いたいかというと、先行馬有利の馬場状態&ペースだったスワンSにおいて、4角10番手からメンバー中最速の上がり(33秒2)を使い、②着に逃げ残ったテイエムオオタカに1馬身1/4差をつけて突き抜けたグランプリボスは相当に強い競馬をしていて、価値が高い勝利ということ。

グランプリボスの父サクラバクシンオーは94年のスワンSで勝利していて、今回の勝利は02年ショウナンカンプに続いての親子制覇。サクラバクシンオーとショウナンカンプは斤量59kgを背負いながら押し切ってG1馬の実力を見せ付けていたが、グランプリボスは違う形で非凡な才能を示したと言えるだろう。

価値が高いのはレース内容だけではない。

グランプリボススワンS以前だと重賞3勝(11年NHKマイルC、10年朝日杯FS、10年京王杯2歳S)を東京と中山で挙げていて、今春で②着した安田記念も東京でのもの。対して関西圏(阪神・京都)の重賞では[0.1.1.5]で、京都に限れば⑦⑧⑬⑬着と馬券圏内どころか掲示板すら載ったことがなかったのである。

好走実績のなかった京都で勝利したことは、G1・3勝目が懸かるマイルCS(11月18日)に向けて非常に大きな意味を持つだろう。

また、同じ矢作厩舎でダービー馬ディープブリランテの引退が10月26日に発表された直後の、G1馬の復活V(NHKマイルC以来の勝利)は厩舎にとっても大きな励みとなるはず。

思い返せば、矢作厩舎の看板馬として活躍していたスーパーホーネットが引退(10年11月25日に競走馬登録を抹消)した直後にも、グランプリボス朝日杯FS(10年12月19日)を制している。ここぞという時に周囲の士気を高める仕事をやってのけるあたり、グランプリボス“持ってる”サラブレッドなのかもしれない。

父サクラバクシンオーは11年4月30日に心不全のためこの世を去り、グランプリボスはその後継種牡馬としての期待も寄せられていることと思うが、4&5歳時にスプリンターズSを連覇した父を思い返しても、まだまだターフで奮闘してくれそうだ。

一方、1番人気の支持を集めたレオアクティブは追い込み届かず⑨着となったが、前記した通り、馬場状態とペースを踏まえれば、4角最後方(16番手)という位置取りではさすがに厳しかった。それでも、計時した上がりはグランプリボスと同じ33秒2で、グランプリボスより外を回って0秒5差だったから、こちらも高い能力を持った1頭であることは間違いないだろう。

レオアクティブはこれまで、馬券圏外となった次走が②②①着なので、次走で巻き返しを期待するのは悪くないのではないだろうか。