京王杯2歳Sで西園厩舎の馬を見つけたら黙って買おう
文/編集部(W)、写真/森鷹史
京王杯2歳Sの出走馬を見ていて思ったことは
「西園厩舎の2頭(マイネルエテルネル、エーシントップ)のうち、少なくともどちらかが馬券圏内に入る可能性が高そう」だった。
そう感じたのにはちゃんとした根拠があり、
西園厩舎の馬はこれまで、
京王杯2歳Sで4頭が出走し、06年マイネルレーニアが①着(3番人気)、07年ドリームシグナルが②着(12番人気)、08年エイシンタイガーが③着(3番人気)と
3年連続で好走馬を送り出していて、残り1頭の09年コスモセンサーも⑤着(7番人気)と健闘を見せていたから。
連対率は
50.0%、複勝率は
75.0%だから、2頭いればどちらかが連対し、少なくともどちらかが馬券に絡む可能性が高いと感じるのも自然だろう。付け加えれば、
マイネルエテルネルは
小倉2歳Sを制していて、
デイリー杯2歳Sでは敗れたものの③着を確保している。
エーシントップは
新馬戦→
中京2歳Sとデビューから連勝中。実力、実績ともに申し分ない2頭でもある。
ただ今回、どちらがより好走する可能性が高いかと言えば、個人的には
エーシントップではなくて
マイネルエテルネルのほうだと思っていた。
マイネルエテルネルは
新馬戦で逃げ切り勝ちを収め、ハイペースの
小倉2歳Sで差し切り勝ちし、スローペースの
デイリー杯2歳Sでは折り合って0秒2差の③着まで差していた。わずかキャリア3戦で、脚質に自在性を見せ、ペースに応じて競馬ができるセンスの高さを示している。
小倉2歳Sの勝ち時計が
1分7秒9のレースレコードで、時計勝負にも不安はない。
東京芝1400mで行われた過去10年の
京王杯2歳Sでは、
ひと桁馬番が8勝していて、そのうち6勝は馬番4番以内で、内枠有利の傾向が見られるこのレースで2枠3番という枠順も良い。
一方、
エーシントップは無敗だが、いずれも少頭数(12頭立て以下)の競馬で逃げに持ち込んで押し切ったもの。
スピード能力の高さは示しているが、レースぶりがワンパターンであり、2戦とも稍重で走破時計も
1分23秒台と速くない。控える競馬を強いられた時、時計勝負となった時が未知数で、今回は3ヵ月半ぶりと久々でもある。
なので、馬券は
マイネルエテルネルを軸にして勝ったが、関東遠征、左回り、坂といった初めての条件が影響したのか、結果は逃げ粘れず⑧着。スローペースだったので、重賞ウイナーの実力を持ってすればもっと粘れても良かったと思うのだが……
2歳戦は難しいと改めて実感させられた。
大崩れしなさそうなタイプと見ていた
マイネルエテルネルの凡走は意外だったが、良い意味で意外な一面を見せたのが
エーシントップ。
マイネルエテルネルを行かせて2番手で折り合い、上がりを33秒6でまとめて
コースタイレコードの1分21秒2で走破。控える競馬も時計勝負も難なくクリアしてみせた。
浜中騎手は勝利騎手インタビューで
「今日は落ち着いていました。内から行く馬がいたので控えましたが、こういう競馬ができれば今後にも活きてくるでしょうし、良い内容で勝てたと思います。楽しみが膨らみました」と話していた通り、3戦とも手綱を取っている鞍上が賛辞を呈する3連勝だったということだろう。
エーシントップはこの後、12月16日の
朝日杯FSに向かうと思われる。
京王杯2歳Sを制して
朝日杯FSに挑んだ父ストームバード系は09年のエイシンアポロン(父Giant's Causeway)がいて②着だったが、父ストームバード系では07年にゴスホークケン(父Bernstein)が最内枠からの逃げ切りで勝利を収めている。
エーシントップも
朝日杯FSでは内枠が欲しいところか。
なお、
西園厩舎は
エーシントップの
京王杯2歳Sで中央平地重賞18勝目となったが、18勝はすべて芝であり、そのうち15勝はG1・2勝(01年阪神JF・タムロチェリー、10年マイルCS・エーシンフォワード)を含めて1600m以下で挙げている。
父ストームバード系はややもすると早熟傾向や気性面での難しさが見られがちだが、古馬になって大活躍したエーシンフォワード(父Forest Wildcat)を見ても、
西園厩舎は短距離馬の育成や父ストームバード系の扱いに長けている印象がある。おそらく、
エーシントップにもその
ノウハウが活かされている部分があるのだろう。
今回は
西園厩舎が
京王杯2歳Sで好成績であることを知りながら、それを上手く馬券に活かすことができなかったが、来年以降、
京王杯2歳Sで
西園厩舎の馬を見つけたら、あれこれ言わずに黙って買おうかなと思います(笑)。