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枠順とハンデが決まったとき、この結果は必然になった
文/編集部(T)、写真/濱田貴大

今回の朝日チャレンジCの速報記事を作りながら、まず驚いた。成績表をご覧いただければ分かると思うが、①~⑤着までの着差はすべてクビ差なのだ。

さらに、それ以降もハナ、クビ、クビ、クビ、クビ、クビ、ハナ、アタマ、クビ、ハナ、2分の1馬身、ハナ。1馬身以上の差がついたところはどこにもない。勝ったショウリュウムーンから、シンガリのテイエムアンコールまでは0秒6の僅差だった。

今年から12月開催となった朝日チャレンジCは、昨年まで12月に開催されていた鳴尾記念(6月に移設)と同じ芝1800mで、こちらはハンデ戦として生まれ変わった。

ハンデ戦は、出走全馬が同時にゴールすることを目指してハンデが決められる、と言われている。実際はそんなことはほぼ不可能なのだが(笑)、今回の結果はハンデキャッパーにとって“してやったり”だっただろう。

それはそうと、これだけ僅差だったということは、本当に細かい要素がレース結果に大きく影響したことが想像できる。

とすると、もう一度やれば、全く違う結果になるはず……と思いがち。しかし、個人的にはそうでもないのではないか、という気がしている。

それはなぜか。レースを振り返ると、ハンデ50kgで最軽量だったイケドラゴンが仕掛けてハナへ。3~4コーナーで後続が徐々に差を詰め、直線で馬群が横一線になったところで、間を割ってショウリュウムーンが抜け出し、②着アドマイヤタイシをクビ差抑えて押し切った。

この結果を生んだ要素として、まず思いつくのはペース。逃げたイケドラゴンが作ったのは、前半1000mが58秒5というハイペースで、その分レースが前がかりになった。

そのことで、レースの上がり3ハロンが36秒0とかなりかかる展開に。メンバー中で最速の上がりタイムだったキングストリートでも35秒3だった。

レースが前がかりになったことで何が起こったかというと、できるだけ仕掛けを遅らせた馬が上位に来る結果となった。それは、上位に来た馬と、人気に推されていた馬の位置取りと結果の相関関係を見れば分かる。

馬名 3角 4角 着順
ショウリュウムーン 4 9
アドマイヤタイシ 3 5
タガノエルシコ 14 11
キングストリート 17 16
サンレイレーザー 4 5
フレールジャック 2 2
ヒストリカル 14 16
リルダヴァル 12 5

⑤着以内に入った馬のうち、4角10番手以内にいた馬はすべて3角より4角の位置取りが後ろになっている。それに対し、人気で沈んだ馬、特に3番人気のフレールジャックはハイペースに巻き込まれた形で、1番人気のリルダヴァルは4角で勢いよく外を通って上がっていったが、直線で失速している。

要するに、勝負どころでは人気馬を外から先に行かせ、自分はじっとして直線まで仕掛けを待ち、満を持して伸びてきた馬が上位を占める形になった、ということだろう。

もちろん、仕掛けのタイミング、位置取りなどは騎手の判断でもあるわけだから、ショウリュウムーンの鞍上を務めた秋山騎手の好騎乗も見逃すことはできない。

また、上位⑤着までを占めたのはハンデ54~55kgの馬で、56kg以上だった馬はすべて掲示板外に沈んでいる。

ハンデが重いとトップスピードが鈍るのではなく、トップスピードに達するまでに時間がかかるという。ということは、横一線の瞬発力勝負となって、ハンデの軽い馬の伸びが重い馬に比べて優った面もあるだろう。

そして、50kgとハンデが軽かったイケドラゴンが素早くトップスピードに達したことで行き切ることができて、今回のハイペースを生んだ……となると、話が最初に戻ることになる(笑)。まるでメビウスの輪のようだ。

ハイペースによって仕掛けを遅らせた馬が好成績を得た、そしてそのペースを生んだのはハンデだった。となると、ハンデと枠順が決まった時点で、この結果はある程度必然だったと考えることもできるのではないだろうか。

実際には二度同じレースはない。しかし、このレースに限ってはこれだけ僅差だっただけに、もう一度同じ条件でレースを見ることができたら面白いのに……と思う。自分は次やってもショウリュウムーンが勝つのではないかと思うが、皆さんはどう感じるでしょうか?