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「桜花賞目前」であり、大きく変わる余地のある2ヶ月間でもあり
文/浅田知広、写真/川井博


この時期、予想をしていて気になるのはもちろん雪の影響。特にこの週末はどうも小倉が怪しそうだ、と気象庁のホームページを見ていたら、北九州市八幡の気温は8日(金)昼過ぎまで氷点下という寒さだった。

クイーンCが行われる東京競馬場・府中はそこまでではなかったものの、それでもこの寒さでは春の阪神・桜のイメージなどなかなか頭には思い浮かばない。

そんな気温から受ける印象とは対照的に、近年のクイーンCはもう「桜花賞目前」と言ってもいいようなレースになっている。

以前は東京開幕週に行われていたこともあって、このレースから桜花賞に直行する馬すら少なかった。しかし96年の勝ち馬・イブキパーシヴが直行で②着になり、98年に最終週へと繰り下げられたあたりから、直行の好走馬もぼちぼち見られるようになってきた。11年には3週目に繰り上がったものの、それでもホエールキャプチャヴィルシーナと近2年の勝ち馬2頭はいずれも桜花賞で②着に好走している。

そんな「前哨戦」、今年のクイーンCを制したのはウキヨノカゼだった。

昨年11月、この東京芝1600mで行われた新馬戦は単勝50.7倍の10番人気という低評価を覆して2馬身半突き抜ける快勝劇。続くフェアリーSはまだファン半信半疑だったのか、5番人気ながら単勝21.5倍だったが、2コーナーで好位まで取りつくと、渋太く伸びてアタマ差の②着に好走。

直線半ばでは、後ろから来たイリュミナンス(④着)やスイートサルサ(⑤着)の伸びが目立ったようにも見えたが、ゴール前の50mくらいだけを切り取れば、実はもっとゴールが先でも後続には交わされなかったのではないか、という脚色は見せていた。

しかし一方で、前残りの展開を流れ込んで②着、とも言える競馬だったのも確か。そんな評価を下されたのかどうなのか。このコースで重賞・アルテミスSを勝っているコレクターアイテムの1番人気は仕方ないとしても、前走で先着しているイリュミナンス(2番人気)、2戦連続で先着しているスイートサルサ(3番人気)をも下回る4番人気は少々軽く見られすぎだった、ということだろうか。

ともあれ。ウキヨノカゼはまたもそんな評価を覆す好走で、今度は重賞タイトルを獲得した。多少スタートが遅いところは見受けられるものの、すんなりと好位で流れに乗って上がり33秒7。残り600mから11秒2-11秒1と速いラップのところでも差を詰めていっているのだから素晴らしい。

今回に限らず、どうも陣営鞍上のコメントを見ていると「まだまだ」という評価が多いのだが、結果としてはそれでも3戦2勝②着1回。安定したレースぶりで堂々の桜花賞候補の誕生だ。

もっとも、前回の中山から東京に替わった今回は「もう少しゴールが先なら交わされていたかも」という内容ではあった。加えて言えば遅い流れの中での先行策。前回同様、展開に恵まれた部分もあっただろう。これまでの経緯やこのレース内容、もしかしたら本番でもやっぱり4~5番人気、という可能性もある。

しかし、ビュイック騎手「まだまだ子供っぽい」と言うところを残してのこの内容だったことは覚えておきたい。

このクイーンC「桜花賞目前」という性格を帯びつつある一方、その間には3歳馬が大きく変わる余地のある2ヶ月という期間が残されていることに変わりはない。

馬は成長しました、我々はそんなことを忘れてました、という可能性もあるこの2ヶ月。続々と行われる前哨戦の結果に目を奪われていると、またも「○○なのに軽く見られすぎだった」という桜花賞が待っているのかもしれない。