今年の3歳クラシックは「成長度合い」がカギになりそうだ
文/編集部(M)、写真/川井博
今週末は3歳限定の重賞が2レース(
クイーンC、
共同通信杯)行われたが、またも
1番人気馬が勝てなかった。「勝てなかった」というか、どちらも
馬券圏外に敗れて(
クイーンCは
コレクターアイテムが⑨着、
共同通信杯は
ラウンドワールドが④着)、これで現3歳世代の重賞での1番人気馬は、5戦連続で④着以下に沈んでいる。
「なにやってんだ、1番人気!」と怒るべきか、「どんな馬を人気にしてるんだ、俺たち!」と怒りの矛先を自分たちに向けるべきか。いずれにしても、現3歳世代の1番人気は
信頼の置けない存在となっている。
今回、1番人気に推された
ラウンドワールドは、スタートでまたも遅れ、後方追走となった。直線では外に持ち出され、メンバー中最速の上がり(33秒6)で差を詰めたが、届かなかった。
先行した
メイケイペガスターと
ゴットフリートが33秒台の上がり(
33秒8)でまとめたのだから(③着
マイネルストラーノの上がりは34秒1)、結果的に、
ラウンドワールドは出遅れた時点で
物理的に届かない位置となってしまったのかもしれない。
クイーンCの
コレクターアイテムも後方からになっていたが、こちらは出遅れというよりも、序盤の行きっぷりが悪かった。
阪神JF以来、2ヶ月ぶりだったことが影響したのだろうか。
ラウンドワールドは1月14日の
京成杯に出走を予定していながら降雪でレースが順延となり、翌週の同レースを見送った。
仕切り直しとなった今回は1ヶ月半ぶりの出走。同じく
京成杯を見送った
リグヴェーダが
きさらぎ賞で⑧着(1番人気)に敗れているから、結果的に
「カラ輸送」となってしまったことが、競走馬に大きな影響を与えたのだろう。
現3歳世代の1番人気馬の受難は、天候不順や出走間隔が影響しているとも言えそうだ。ただ、それでも
強い馬は強いはず、とも言える。事実、
ゴールドシップは
ラジオNIKKEI杯2歳S以来で昨年の
共同通信杯を勝っているし、
ディープブリランテも休み明けで引っ掛かりながら②着に粘った。
「本物の強さ」を持っていないと言われてしまっても、仕方ないところだろう。
勝った
メイケイペガスターは3週前に
若駒S(③着)を走り、他馬よりも順調に使われてきたアドバンテージはあったのだろう。しかし、前走のレースを目の当たりにした人は、一度使われたことが
吉と出るか
凶と出るか、判断を迷ったのではなかろうか。
前走の
若駒Sでは、出遅れて最後方追走となり、レースがスローで流れたこともあって、道中で行きたがる面を見せた。3走前の
デイリー杯2歳Sでも掛かる面を見せて⑪着に敗れていて、とにかく落ち着かせて走らせようという意思が感じられた。
最後まで内ラチ沿いに進路を取り、前に馬を置く形で競馬をして、最後は前が詰まりながら0秒2差の③着まで上がった。
非凡な能力があることは証明したが、果たして一度使われてテンションが上がらないか、不安に感じた人もいただろう。自分自身も、
メイケイペガスターについては「フタを開けてみないと分からない」と思い、本命は操作の難しそうにない
ゴットフリートにした。
スタート直後に
メイケイペガスターが行きたがる感じで2~3番手に上がってきた時は「やっぱり掛かっちゃうか」と思った。ところが、その後は前に馬がいなくても折り合い、そのまま直線に向いた。
残り400mを切って
横山典騎手が追い出したので、見ていたこちらは勝負を仕掛けるのが早いなあと感じたが、さすがに名手の考えは間違ってなく、そこで差を拡げると、最後まで②着
ゴットフリートに詰め寄らせなかった。まさに
完勝という内容だった。
あれだけの馬をピタリと折り合わせるのだから、
横山典騎手はさすがだなあと感心させられたが、レース後のインタビューで、さらに唸らされた。折り合い面のことを考えて、
「返し馬を丁寧にやった」と話していたからだ。さすがである。
これからは返し馬も見てみるか、と思ったが、おそらく
素人が眺めてみたところで、どれが
丁寧な返し馬で、どれが
雑な返し馬なのか、判断はつかないのだろう。であれば、想像を働かせるのが良さそうだ。少なくとも、
横山典騎手はそのような能力や細やかさに長けているわけで(もちろんそれだけではないのだろうけど)、覚えておきたい。
横山典騎手は
メイケイペガスターの陣営についても触れていて、調教で覚え込ませてきた労をねぎらっていた。毎日の調教をつけて競馬を教えている
厩舎スタッフもそうだし、前走の
若駒Sで折り合いに徹しながら上位に持ってきた
武豊騎手の騎乗も、今回に活きたと言えるのだろう。
この先の3歳限定重賞で、
1番人気馬がどんな走りをするかは分からないが、今回の
メイケイペガスターを見ると、今年の
3歳クラシックは、
これからの成長度合いが非常に重要という印象を持った。これから大幅に伸びた馬が
エピファネイアに肉薄する。
エピファネイアも、年末からどれだけ成長するかは重要なのではないだろうか。