コパノリチャードの適性をいまから決め付けるのは禁物!?
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也
今年で第22回目となる
アーリントンC。平成生まれの重賞だから、歴史は浅いほうなのだろうが、過去の勝ち馬の顔ぶれを見ると、
非常にバラエティーに富んでいる。
スプリントG1で連対歴のある
エイシンバーリン(95年←
アーリントンCを優勝した年、以下同)や
スギノハヤカゼ(96年)、
NHKマイルCを制した
ウインクリューガー(03年)、
朝日杯FS勝ち馬で香港G1でも3勝を挙げた
エイシンプレストン(00年)、ダートG1(Jpn1)で②着9回の
シーキングザダイヤ(04年)、
第69回日本ダービー馬
タニノギムレット(02年)。
その他にも、
アグネスタキオン、
ジャングルポケット、
クロフネと強豪ひしめく世代の
皐月賞と
ダービーで②着に好走し、翌年の
宝塚記念でG1制覇を果たした
ダンツフレーム(01年)、
NHKマイルC②着馬で、その後、障害戦で長く活躍した
ブレーブテンダー(97年)などもいる。
スプリンター、マイラー、ダート巧者、ダービー馬、障害OP馬……21頭の勝ち馬の中から、これだけ
様々なカテゴリーの活躍馬が出ているのだから、
アーリントンCという重賞は興味深い。
惜しむらくは、列記した馬たちが04年以前の勝ち馬であること。05年以降の勝ち馬は、その後に重賞を勝っている馬は何頭かいるが、G1で③着以内があるのは
コスモセンサー(10年)のみで、それも
12年安田記念③着のみ。
では、今年の
アーリントンCを制した
コパノリチャードはどうなのか。
シンザン記念で④&⑤着だった
カオスモス、
レッドアリオンが②&③着。重賞連対馬の
テイエムイナズマと
ラブリーデイが出走していたものの、出走頭数も10頭と少なく、
高レベルのメンバーが集結したとは言えない。
だが、
コパノリチャードは序盤で
ビュイック騎手が抑えるのに苦労するほど行きたがる素振りを見せながら、直線で後続の追撃を寄せつけず、②着
カオスモス以下に1馬身半差をつけて危なげなく押し切った。1分33秒台で走破した
千両賞(②着)や
白梅賞(①着)と比べ、今回の走破時計は1分34秒8で
自己ワーストだったが、それでも
素質の片鱗を感じさせる内容で勝利した。
今年の3歳重賞では、
シンザン記念で
エーシントップが勝利したのを最後に1番人気が
5連敗中(5頭とも馬券圏外)だった。
アーリントンCも06年以降は1番人気が
7連敗中だったが、
コパノリチャードはいずれの
連敗記録もストップさせた。
アーリントンCを1番人気で勝利し、なおかつ、デビューから連対率100%をキープしたままというのは
タニノギムレット、
ダンツフレーム、
エイシンキャメロン(99年)などと同じでもある。
コパノリチャードは、最近の
アーリントンCの勝ち馬とは少々毛色が異なる印象で、どちらかと言えば、
ひと昔前の勝ち馬と同類なのではないだろうか。
コパノリチャードはこの後、
父子制覇の記録がかかる
皐月賞(4月14日、G1、中山芝2000m)を目指すとのこと。
現3歳世代のうち、1番人気で中央重賞を制した牡馬は
コディーノ(
東京スポーツ杯2歳S)、
エピファネイア(
ラジオNIKKEI杯2歳S)、
エーシントップ(
シンザン記念)の3頭だったが、
コパノリチャードはこの括りの中に加わることとなったのだから、3歳G1戦線の有力候補として注目&期待を集めるのは間違いない。
レースで見せたあの前向きな気性と、
コパノオーシャンズや
コパノフウジンをはじめとして短距離型が多い牝系の出身であることを考えると、マイル前後がもっとも力を発揮できる条件と思われ、
NHKマイルC(5月5日、G1、東京芝1600m)で
ダイワメジャー産駒の連覇に期待したくなるところ。
ただ、
コパノリチャードを
「ひと昔前のアーリントンCの勝ち馬」と見るなら、いまから適性を決め付けるのは禁物か。良い意味でこちらの期待を裏切るような馬に育っていってほしい。そう思いつつ、今後の成長を見守っていきたいものだ。