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得意とする中山で、絶対王者への挑戦権を得た
文/編集部(T)、写真/森鷹史


昨年は3連単266万円を超える大荒れとなったのをはじめ、過去7回で3連単100万以上の配当が3回と、昨年までのオーシャンSは荒れるイメージもあった。

しかし今年は7番人気ツルマルレオンが③着に食い込んだものの、2番人気のサクラゴスペルが①着、1番人気のダッシャーゴーゴーが②着。3連単が1万3000円と、比較的平穏な結果となった。

今回重賞初制覇を飾ったサクラゴスペルの父は、サクラプレジデント。今年の7歳世代が初年度産駒で、現5歳のサクラゴスペルは3世代目の産駒にして初めてのJRA重賞制覇となった。

サクラプレジデントといえば、03年クラシック戦線で二冠馬ネオユニヴァースゼンノロブロイなどと戦い、あの“ポカリ事件”で記憶に残る皐月賞で②着に好走している。

サクラプレジデント自身はこの皐月賞だけでなく、中山記念勝ち、朝日杯FS②着などを含め、中山で[1.3.0.0]と連対を外していない。

その特徴は産駒にも受け継がれている感じで、3月2日終了現在でサクラプレジデント産駒は中山芝特別競走が[5.3.2.16](複勝率38.5%)サクラゴスペル自身も今回の勝利で中山芝は[2.0.0.1]で、中山芝1200mは2戦2勝となった。

オーシャンSは、高松宮記念前哨戦として位置づけられているレース。サクラゴスペルも次は高松宮記念に向かうと伝えられているが、昨年⑨着に敗れたレースでもあり、今年はどうか、という点が課題になるだろう。

左回りと坂は東京芝で4勝を挙げており、問題はなさそう。昨年も勝ったカレンチャンからは0秒5差と大きくは負けていない。パワーアップしたと思われる今年は、通用しても不思議はないだろう。

そう思う理由はいくつかあるが、まずはペース。逃げたハクサンムーンが作り出した前半600m通過が33秒1というペースは、過去8回開催されたオーシャンSの中で最速。雨上がりで馬場が湿り気味だったことを考えても、速めのペースだったといえそう。

②着に入ったダッシャーゴーゴーはスプリント路線でおなじみの実力馬だが、伏兵のツルマルレオンが4角15番手から差し込んできていて、差し馬が台頭しやすい流れだった。

そんな中、サクラゴスペルは終始好位を追走し、ハクサンムーンを残り200m過ぎで早めに交わすと、そのまま後続の追撃を寄せつけなかった。この勝ちっぷりは見た目以上に内容は濃い。横綱相撲としか言いようがないレースだ。

しかも今回、サクラゴスペル2ヵ月の休み明けだった。ひと叩きされた次回はさらに前進も可能だろう。これだけの充実ぶりなら、中京を克服することは可能ではないだろうか。

ロードカナロア絶対王者として君臨する今のスプリント路線だが、それに風穴を開けることができるか。高松宮記念で勝つことができたら、中山開催となるスプリンターズSを勝つ可能性も高くなる気がするのだが……。本番に注目したい。

ところで、サクラプレジデント自身は中山のほかに、札幌も[3.0.0.0](札幌記念札幌2歳S勝ち)で得意にしていた。

今年は残念なことに札幌開催がないが、サクラプレジデント自身に函館の出走経験がないだけで、北海道の洋芝を得意にしていた可能性は高そうだ。

その証拠に、サクラプレジデント産駒は札幌&函館芝特別競走が[3.2.3.14](複勝率は札幌、函館ともに36.4%)。中山、そして北海道の洋芝実績を、サクラプレジデント自身と産駒の成績で比較すると、これは偶然の一致ではない気がする。

今年、函館競馬場で開催される芝1200mの古馬混合重賞は函館スプリントS(6月16日)、キーンランドC(8月25日)の2レース。サクラゴスペルがここに出てきたら、(人気になりそうではあるが)狙ってみると面白いかも?