祖母から繋がる血のドラマが、桜の舞台へ向かう
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也
今年は
牝馬戦線がかなり混戦模様となっている。このレースの前日に開催されたトライアル・
アネモネSを
クラウンロゼが制して通算成績を3戦3勝としたが、
「これが桜花賞の軸!」と言いきれそうな馬はまだいないような印象を受ける。
牡馬戦線は、先週の
弥生賞を
カミノタサハラが制し、
ディープインパクト産駒として今年の3歳世代初の重賞勝ち馬となった。とはいえ、こちらも
確たる軸はいない感じではある。
一方の
牝馬戦線はどうか。重賞を勝った馬の父を見ると、以下のようになる。
ハーツクライ(コレクターアイテム)ケイムホーム(サウンドリアーナ)ウォーエンブレム(ローブティサージュ)ロサード(クラウンロゼ)オンファイア(ウキヨノカゼ)クロフネ(ストークアンドレイ、クロフネサプライズ)こちらは
どこにもディープインパクトの名前がない。11年(
マルセリーナ)、12年(
ジェンティルドンナ)と
桜花賞を連覇してきた
ディープインパクト牝馬に重賞勝ち馬がいないので、心理的にも
“混戦”という印象を受けがちになるのかもしれない。
そして、今回の
フィリーズレビューを受けて、このイメージはどう変わったか。勝った
メイショウマンボの父は
スズカマンボ、②着
ナンシーシャインの父は
ブラックタキシード、③着
ティズトレメンダスの父は
BCクラシック勝ち馬
ティズナウを父に持つ
ティズワンダフル。この3頭が本番への優先出走権を得た。
一方、ディープインパクト産駒は
ノーブルコロネットが出走していたが、優先出走権にはわずかに届かず④着に敗れた。
前哨戦としてはまだ
フラワーCなどを残しているが、父を見るだけで
混戦模様がよく分かる布陣となりそう。と同時に、
これほど面白い桜花賞は最近なかったのではないか、とさえ感じる。
勝った
メイショウマンボは、道中は馬群の中で控える形。4角で徐々に外に持ち出し、直線は馬場の真ん中を通って一気に突き抜けた。逃げた
ティズトレメンダスが③着に粘ったことを考えると、
4角11番手から差し切った内容は高く評価できるだろう。
メイショウマンボの祖母
メイショウアヤメは父に
ジェイドロバリーを持ち、99年のこのレース(レース名は
4歳牝馬特別)で②着に好走している。
桜花賞は⑦着に敗れているが、結果的に
メイショウアヤメの馬券圏内がすべて芝1200~1400mだったので、距離が長かったのだろう。
メイショウアヤメに
有馬記念勝ち馬
グラスワンダー、そして
天皇賞・春勝ち馬
スズカマンボを配合されて生まれたのが
メイショウマンボ。自身も前走でマイルの
こぶし賞(京都)を勝っており、血統的にも距離延長をこなせていいだろう。
フィリーズレビューは芝1400mで開催されることもあり、後にスプリント路線に向かう馬が好走する例もある。実際
メイショウアヤメもそうだったのだが、今回については当てはまらないのではないだろうか。
今回の勝ちタイムの
1分22秒1は、新装阪神での開催となった07年以降では、07年
アストンマーチャン(1分21秒8)に次ぐ好タイムだった。
アストンマーチャンはご存じの通り
スプリンターズSを勝つなど、スプリンターとして大成した。このことを考えれば好タイムが出たことは自然で、距離が延びてもこなせそうな
メイショウマンボが記録したタイムは、
アストンマーチャンと同じくらいの価値があるとも考えられる。
祖母が涙を呑んだ
桜花賞で、孫がその無念を晴らす……そんなドラマがあってもいいのではないだろうか。
ところで、活躍した牝馬の孫といえば、今回1番人気に推されていた
サンブルエミューズの祖母は、97年のこのレースを7馬身差で圧勝し、勢いに乗って
桜花賞も制した
キョウエイマーチ。孫の
サンブルエミューズは今回⑪着に敗れ、祖母に続くことはできなかった。
収得賞金が1150万円で、賞金的に
桜花賞に出走できるか微妙なところかもしれないが、
フェアリーSでも勝ち馬
クラウンロゼとタイム差なしの③着に好走しており、これが実力ではないはず。
芝マイルは休み明けを除くと[1.0.1.0]なので、こちらは距離が延びてこそだろう。
今回勝利を飾った
メイショウマンボと、大敗してしまった
サンブルエミューズ。それぞれが受け継いだ祖母の血が、
桜花賞でどう花開くか。混戦の桜戦線を、
フィリーズレビュー組が断ち切る場面が見られるかもしれない。