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外有利のコース傾向を打ち砕いた勝利の価値は高い
文/編集部(T)、写真/森鷹史


ファルコンS中京芝1400mでの開催となって2回目。それだけに、どのような距離適性の馬が好走しやすい条件なのか、まだ見えてこない部分もある。

昨年のファルコンSはどうだったかというと、勝ったブライトライン(父フジキセキ)はそれまでに芝2000mでも勝ち鞍があった馬で、ファルコンSの後にはニュージーランドTで③着に好走しており、その後もスプリント戦には出走していない。

一方で②着レオンビスティー(父サクラバクシンオー)はUHB賞(札幌芝1200m)で②着に好走、③着サドンストーム(父ストーミングホーム)は京洛S(京都芝1200m)①着と、スプリント路線で活躍している。

ジャスタウェイがスプリント戦に出走していないので何とも言えない部分もあるが、好走馬の血統を見ても、若干スプリント寄りのレースだったと考えることもできそうだ。

では、今年はどうだったか。①着インパルスヒーローの父はクロフネ、②着カシノピカチュウは父スタチューオブリバティ、③着エールブリーズの父はフジキセキ。好走馬の血統を見ると、スプリント寄りとも取れるし、そうでないとも取れそうだ。

しかし、上位に来た馬、敗れた馬のこれまでの戦績を見ると、「スプリントよりもマイル寄りなんじゃないか?」と思えてくるのだ。

勝ったインパルスヒーロー、③着エールブリーズはこれまで芝1200m以下の出走経験がなく、②着カシノピカチュウは出走経験こそあるが⑥着に敗れていた。

一方、芝1200mで実績を残していた上位人気馬の中で、4番人気モグモグパクパク(芝1200mで3勝)は④着、芝1200mで2勝していた1番人気ティーハーフは⑦着、3番人気プレイズエターナルは⑩着に敗れている。

もうひとつ、03年以降のファルコンSには毎年サクラバクシンオー産駒が出走しており、06年以降は毎年馬券に絡んでいた

それが今年は、サクラバクシンオー産駒の出走は1頭もなし。これも、ファルコンSが距離延長されたことの影響なのだろう(実はインパルスヒーローはサクラバクシンオーの近親ではあるが)。

ただ、まだ2回。これが今年だけなのか、来年以降も続く傾向なのか。中京芝1400mのコース傾向を含め、今後も注目していく必要があるのではないだろうか。

また、①~③着馬はマイル以上での勝ち鞍があるわけではないので、今回の上位馬が「NHKマイルCでも好勝負しそう」とすぐに言えるわけではないが、距離をこなしてくれる期待感を持たせてくれるのは間違いないところ。

特に、勝ったインパルスヒーローは直接NHKマイルCに向かう可能性があると伝えられているが、好勝負に持ち込んでも不思議はないだろう。

そう思う理由はもうひとつ。インパルスヒーローは馬番2番からの勝利だった。「メインレースの考え方」でも「馬番8番より外枠の馬」という条件が示されている(②着カシノピカチュウが馬番8番、③着エールブリーズが馬番9番だった)ように、このコースは外枠の馬が好成績を残している。

特に上級条件でその傾向が顕著で、このレース以前に、新装後の中京芝1400mで開催された1000万以上の8レースでは、1~3枠の馬は[0.1.0.42]だった。勝ちはおろか、馬券圏内に入った馬も1頭しかいなかった。

それが、今回のインパルスヒーローは道中で最内を進み、直線に入って馬場の真ん中に持ち出して豪快に差し切り勝ち。外有利のコース傾向なんて関係ない、と言わんばかりの勝ちっぷりだった。

それだけに、この勝利の価値はさらに高まりそう。これまでに4戦して連対を外しておらず、まだ能力の底が見えないだけに、今後も期待したい。