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待望のG1タイトル奪取へ、OGF形成に向けて着実に前進
文/編集部(W)、写真/米山邦雄


昨年のダービー&天皇賞・秋②着のフェノーメノ有馬記念②着のオーシャンブルーAJCC①&②着のダノンバラードトランスワープ日経新春杯①&②着のカポーティスタームスカテール中山金杯①着のタッチミーノット。昨年の覇者ネコパンチ、3年前の勝ち馬マイネルキッツ、3連勝中の上がり馬アドマイヤフライト

今年の日経賞はなかなかの好メンバーが揃った1戦となったが、個人的には8枠に入ったステイゴールド産駒、フェノーメノオーシャンブルーの対決に注目していた。

現在、3強と呼ばれているのがオルフェーヴルジェンティルドンナゴールドシップで、いわゆるOGG。馴染み深いアルファベットの頭文字の3並びと言えば、ウチの父ならTTG(トウショウボーイテンポイントグリーングラス)だろうし、自分はAKD砲(秋山清原デストラーデ)なのだが、それはどうでもいいですね(笑)。

その3頭のうち、ジェンティルドンナはディープインパクト産駒で、オルフェーヴルゴールドシップはステイゴールド産駒。なので、ステイゴールド産駒3強と言えば、オルフェーヴルゴールドシップフェノーメノOGFなのか、それともオルフェーヴルオーシャンブルーゴールドシップOOGなのか。初対決となる今回は勝手に選考基準レースと設定していたのである。

そのフェノーメノオーシャンブルー。今回どちらが優勢だと思っていたかというと、自分フェノーメノだった。カポーティスタームスカテールはヒモで買っていながら②着カポーティスター、③着ムスカテールという組み合わせがなくて馬券は外してしまったが、フェノーメノは自信を持って3連単の①着に固定したほど。

フェノーメノは前記したG1での2連対は東京で記録しているが、中山ではセントライト記念勝ちがある。オーシャンブルーも前記した有馬記念②着の実績があるから、コース実績では優劣をつけづらかった。そもそも、どちらも中山芝重賞で圧倒的な強さを見せるステイゴールド産駒である。

8枠に入ったのも、休み明けというのも同じ状況であり、では、何を持って評価に差をつけたのかというと、騎手だった。オーシャンブルー鞍上・C.デムーロ騎手は先週のスプリングSで1番人気のロゴタイプを見事勝利に導いている。騎手の腕が見劣ったというわけではなく、重視したのは「中山芝2500mの経験」だった。

C.デムーロ騎手は中山芝2500mで騎乗するのが今回初だったのに対し、フェノーメノ鞍上・蛯名騎手は87年9月26日の佐倉特別(400万)ミスナイヤガラ(⑧着)に始まって計166回、中山芝2500mで騎乗していた。そのうち、重賞は[6.2.3.19](複勝率36.7%)で、マンハッタンカフェ(01年)やマツリダゴッホ(07年)での有馬記念制覇も含まれている。

G1連対実績もある中山芝重賞の鬼・ステイゴールド産駒に、中山芝2500mの様々な展開に対処できるだけの引き出しを持ち合わせているであろう騎手が跨っているのだから、これほどの強力タッグはないだろうと思った次第。

レースでも、序盤はソロッと後ろから進めて中団馬群に潜り込み、早くも8枠の不利を相殺すると、向正面では好位4番手まで進出。マイネルキッツが早めにスパートして内から追い抜いていっても動じることなく自分のペースを守り、4コーナーでは馬場の良い外目からポジションを押し上げ、直線で先に抜け出したカポーティスターをきっちりと競り落としてみせた。完勝とはこういうレース内容のことを言うのだろう。

一方、⑨着に敗れたオーシャンブルーは騎手のコース経験の差と、終い一手でやや器用さに欠ける面が良くない形で結果に反映されてしまった印象。金鯱賞が6番人気①着、有馬記念が10番人気②着で、重賞で2番人気以内に推されたのは初めてでもあったから、人気を背負った立場での経験の差もあった感じ。フェノーメノは今回を含めて、重賞で1番人気だと[3.1.0.0]である。

ちなみに、同コースで行われた昨年の有馬記念を制したゴールドシップの勝ち時計が2分31秒9で、今回のフェノーメノ2分32秒0。単純な時計比較で言えば、今回の走りは昨年の有馬記念②着に相当するものとなる。

オルフェーヴルゴールドシップに比肩するにはもう一段階のスケールアップが欲しい気もするが、待望のG1タイトル奪取へ、そしてOGF形成に向けて着実に前進している感のあるフェノーメノ

この後は4月28日に行われる天皇賞・春か香港のクイーンエリザベス2世C(オーシャンブルーも予備登録済み)に向かうプランが用意されているようだが、そこでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、目が離せないレースが続きそうだ。