3歳マイル王に王手、残す関門は競馬ファンの評価!?
文/編集部(W)、写真/森鷹史
競馬を予想する時はペースや各馬の位置取りなど、様々なパターンをイメージする。まあ、そんなことは敢えて言うまでもないことですが(笑)、レース展開は各馬の枠順、馬場状態、騎手などによっても
微妙に、時には
劇的に変わってくるから、
レースが自分のイメージ通りに進むことはそう多くはないはず。
この
ニュージーランドTについて言えば、上位人気に推されて前、前で競馬をすると予想された
エーシントップが展開のカギを握っていると感じていたが、同じことを考えた
競馬ファンもけっこういたのではないでしょうか。
まず出走馬を見渡すと、前走で逃げていたのは
エーシントップだけ。前走に限らず、芝で逃げた経験があるのも
エーシントップ以外だと
レッドアリオン、
プリムラブルガリス、
ディアセルヴィスくらいで、それもすべて
新馬戦、
未勝利戦での話。
先行型は多いが、積極的にハナを主張しそうな馬は見当たらない、という印象だった。
加えて、
エーシントップは唯一敗戦を喫した舞台が中山芝1600mの
朝日杯FS(⑧着)で、その時は激しい先行争いに巻き込まれて自分のリズムを崩した感じだったから、
3戦3勝の逃げを打つのが安全策だろう、とも考えた。
というところで、
エーシントップに対する思考は停止。もうてっきり逃げるものだと思い込んでいたので、内の
ラヴネヴァーダイズ、
ストーミングスターを行かせて好位の外に控えた瞬間は
「あれれ!?」という感じ。
ラヴネヴァーダイズがハナを切るなんて、自分の脳内のどのページを開いてもそんなことは書いていなかった。
ペースも思ったほど上がらず、1000m通過は60秒ジャスト。これは中山芝1600mで行われた
ニュージーランドTでは01年の60秒5に続いて遅い(その年は
キタサンチャンネルが逃げ切り勝ち)。
ただ、
エーシントップが
単調な逃げ馬ではないことは、スローペースを2番手から押し切った
京王杯2歳Sですでに証明されている。テン乗りだった
内田騎手もレース後のインタビューで
「3番手できちっと折り合いがついて、浜中クンや調教スタッフの方が教えている結果だと思います。僕はこの馬のリズムを崩さないように乗っただけ。スピードがありますし、どういう競馬もできます」とコメントしていた。
そう、
エーシントップには好位付けという引き出しもあったのだ。すでに重賞2勝を含む4勝を挙げていて、賞金的には
NHKマイルC出走を確定的なものとしていただけに、本番を見据えたレースを展開することも十分予測できた。過去17回のうち、逃げ切りを決めたのは昨年の
カレンブラックヒルだけという
本番・NHKマイルCである。
競馬の予想は決め打ちの積み重ねだと思うが、いろいろなパターンを想定した結果の
「逃げる」という決め打ちでなかったというのが、今回の
エーシントップに対する
反省点。
そんな自分の
反省とは無関係に、接戦を制した
エーシントップは重賞3勝目となり、
同世代の中央重賞勝利数で単独トップに躍り出た。1番人気
ゴットフリート(⑨着)がスタート直後に躓いて後手に回るという
アクシデントもあったが、
内田騎手曰く
「先頭に立った時にちょっと遊びながら走っていた。馬が来てやる気を出した感じ」だから、まだ
伸びシロもありそうで、結果的にはここでは
地力が上という印象を受けた。本番へ向けて良いステップになったと言えそうだ。
なお、
ニュージーランドTは
エイシンプレストン(00年)、
エイシンツルギザン(03年)、
エイシンオスマン(11年)、そして今年の
エーシントップで、計4勝となった
「エイシン&エーシン軍団」だが、
NHKマイルCを制した馬はまだいない。
エーシントップの馬名の意味は
「冠名+頂点を目指して突き進むこと」。名付け親は先月他界された
平井豊光氏とのことで、その馬名の通り、ここまでは6戦5勝という素晴らしい成績を残し、3歳マイル王に王手をかけた格好だが、一気に頂点を極めるのだろうか。
過去、
ニュージーランドT→
NHKマイルCと連勝した馬は
シーキングザパール(97年)、
エルコンドルパサー(98年)、
カレンブラックヒル(12年)。この3頭に共通するのは、
NHKマイルCで1番人気に推されていたこと。
エーシントップは何番人気でレースに臨むことになるのか、
競馬ファンが下す評価に注目しておきたい。