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2番人気で勝ち切ったサウンドオブハートは本番に向けても要注目!
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也


日本を襲った“爆弾低気圧”の影響で、今年の阪神牝馬Sは雨、そしてかなり強い風が吹く中での開催となった。

記録を振り返ると、阪神競馬場の天候が曇→雨に変わったのは9時13分。レースの発走は15時35分。記録上はこのレースまでに実に6時間以上、阪神競馬場には雨が降り続いていたことになる。

自分は穴ぐさ選びなどの作業をしながら、「いつ稍重に変わるんだろう…」と思いながら馬場の推移を見ていたが、結局このレースは良発表のままでの開催となっている。なので、正直なところ自分は、「本当に良馬場なのか?」と疑っていた。

ただ、このレースの上がりタイムを見ると、納得せざるを得ない部分もある。

勝ったサウンドオブハートは中団から進み、直線は馬場の真ん中から突き抜けた。その上がり3ハロンのタイムが33秒6。②着のイチオクノホシはさらにその後ろから差を詰め、上がりタイムは33秒2だった。

03年以降の阪神芝で、道悪開催だった重賞(28レース)で③着以内に入った馬の上がりタイムを調べたところ、もっとも速かったのは09年朝日チャレンジC(稍重)のブレイクランアウトが記録した33秒7。33秒台を計時したのは3回しかなかった。

一般的に道悪になるとタイムがかかる。サウンドオブハートの33秒6イチオクノホシの33秒2というのは道悪ではなかなか計時できるタイムではない(⑤着のマコトナワラタナも33秒2を記録している)と考えると、良発表はあながち間違いではなかったのだろう。「恐れ入りました」という感じだ(笑)。

ただ、良発表だったとはいえ、このレースは結果的に馬場状態が大きく影響したのだろう、と想像できる。

それはレース後のコメントからも推測され、1番人気④着に敗れたハナズゴールの鞍上浜中騎手、3番人気⑩着のアイムユアーズの鞍上シュタルケ騎手は、ともに馬場を敗因とする内容のコメントを残している。

それに対して、サウンドオブハートを重賞初制覇に導き、フランス遠征に向けて弾みをつけた池添騎手「馬場は問題なかった」と言っている。やはり、馬場状態が結果を大きく左右したのは間違いないだろう。

ただ、サウンドオブハートにとって馬場だけが勝因だったわけではないはず。今回が初めての重賞制覇ではあるが、阪神JF③着、桜花賞④着とG1でも好走してきており、これまでG2やG3に出走したのは牡馬相手の京都金杯(④着)のみ。牝馬限定戦の今回は、条件が合ったことで初めての重賞制覇となった。

サウンドオブハートは8戦してまだ⑤着以下がなく、能力の底をまだ見せていない。それだけに、ヴィクトリアマイルでも主力級の評価を受けても不思議はないだろう。

ちなみに、昨年のこのレースのレースインプレッションでも触れられているが、今回もまた重賞未勝利馬が勝った

このレースがヴィクトリアマイルの前哨戦として位置づけられた06年以降、今年までの8回で重賞未勝利馬が勝ったのは6回。10年以降は重賞未勝利馬が4連勝している

また、過去7回開催されたヴィクトリアマイルのうち、同年の阪神牝馬S出走馬は5年で6頭が馬券に絡んでいる。その6頭の共通点を探すと、阪神牝馬Sで3番人気以内に推されているか、もしくは阪神牝馬Sを勝っていた。

その点で、2番人気で勝ち切ったサウンドオブハートの評価はヴィクトリアマイルに向けてもかなり上方修正できそう。それ以外にも、このレースで1番人気のハナズゴール、3番人気のアイムユアーズはこのレースでは振るわなかったが、本番が良馬場での開催となったら軽視禁物…かも?