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今回はデータ通りの好走、今度はデータを覆せるかがポイントに!?
文/浅田知広、写真/稲葉訓也


福島牝馬S、というと「まだデータが少ないので」と思ってしまうが、早いもので今年でもう10回目。このレースの前身、と言っていいのかどうか、父内国産馬限定のカブトヤマ記念が入れ替わりに廃止されてからも、それだけ経っていることになる。

当時も「確かにマル父限定もそろそろ要らんのかなあ」と思ったものだが、その後も徐々に父内国産馬が増え続け、今年の福島牝馬Sは出走15頭中13頭が父内国産馬だった。

そんな「データも揃ってきた」福島牝馬Sの過去の傾向を見てみると、まず目につくのが中山牝馬S組の出走の多さ。全144頭中55頭が前走で中山牝馬Sに出走し、その成績は9回で[7.4.5.39]。日曜のマイラーズCに対するダービー卿CT[0.1.0.19](過去10年)のように、出走数は多くても結果が伴わないステップもあるものだが、出走馬も好走馬も多く出ているのがこの両レースの関係だ。

特に、中山牝馬S⑧着以内馬は[7.4.4.19]複勝率44.1%。今年の出走馬では4頭が該当しており、確率上は1頭、あるいは2頭くらいは③着以内に来そうだ、という構図が浮かび上がる。

ローカルの牝馬限定重賞と考えれば、そこまで簡単な話でもなさそうだが、今年の結果はそんな傾向通り。

前走の中山牝馬Sが1番人気③着で今回も1番人気、そして昨年のこのレースも1番人気で制していたオールザットジャズが、ファンの期待に応えての連覇となった。

昨年は4コーナーで外からほぼ先頭に並び、直線でマイネイサベルを突き放すと、②~④着を占めた差し馬勢を完封。今年は内からしぶとく脚を伸ばし、マイネイサベルの追撃を押さえ込んだ。これで福島は、このレースだけの出走で2戦2勝。いずれも早めに前を射程圏に捕らえての優勝で、この結果だけを見るとローカル巧者、福島巧者にも思えてくる。

しかし、実際はこれまで、小回り急坂の中山・中山牝馬Sで②&③着もあれば、直線が平坦で長い京都や新潟外回りでの差し切りもあり。1800m中心とはいえ、さまざまな競馬場で結果を残している馬だ。

そんなオールザットジャズが結果を出せていないのが東京競馬場で、昨年このレースを制した直後、2番人気に推されたヴィクトリアマイルでは⑯着。そして、距離はベストの府中牝馬Sでも⑧着に敗退している。

さて、今年はどうなのか。実は、中山牝馬S福島牝馬Sの関係とは一転、福島牝馬S組はヴィクトリアマイル[0.1.0.31]。09年にブラボーデイジーの②着があるのみで、まさに「出走数は多くても結果が伴わないステップ」になってしまっている。

もっともオールザットジャズは、昨年のヴィクトリアマイルは久々のマイル戦で、しかも外枠から終始外々を回らされる展開。そして、府中牝馬Sはデビュー以来最少体重(438kg)での出走と、東京では敗因らしい敗因が「ある」負け方だった。

それから半年。さすがに前走・デビュー以来最高の470kgは少し重かったようだが、今回も466kgでの優勝で、パワーアップしてきているのは明らかだ。

また、昨秋の段階でも、エリザベス女王杯では4コーナー先頭から押し切るかという見せ場十分の⑤着健闘と、G1でも通用する走りは見せていた。今回はデータ通りの好走だったオールザットジャズが、今度はヴィクトリアマイルでデータを覆せるのか

ジェンティルドンナが不在となりそうで、これに続く候補も、ハナズゴール阪神牝馬S④着に敗れ、ヴィルシーナは牡馬相手とはいえ大阪杯⑥着敗退。昨秋の女王杯を制したレインボーダリアも、マイラーズCでは休み明けとはいえ⑦着で、昨年のヴィクトリアマイル⑫着を見ても、マイルがベストとは言い難い。

そんな中、力をつけた今年のオールザットジャズなら、昨年とはまったく違う結果を出してくれる可能性も十分にありそうだ。