5歳となった今が、グランプリボスの最盛期なのかも?
文/編集部(T)、写真/川井博
福島が雪のために中止となったニュースを、個人的に
非常に残念な思いで聞いた。
特にこの日は重賞があったわけではないが、自分は今週は福島開催の穴ぐさを中心に担当していたので、
選んだ穴ぐさがボツになったのと、その過程で見つけていた
「勝負したいレース」が中止になってしまったからだ。どちらかというと、
前者の方がより残念だった…というわけでは決してない(笑)。
それはそうと、残念に思っても一転して開催されるわけではないので、
災い転じて福となさねばならない。福島のレース考察に費やすはずだった時間を、東京&京都に転じよう、と考えたわけだ。
そこで
マイラーズCの考察に入ると、いくつかの
“目に見える”ポイントが重要なのではないか、ということを感じた。“目に見える”とは、仕上がりや展開などの
不確定要素ではなく、数字などで示された
客観的なデータのことだ。
ひとつは
斤量。
カレンブラックヒルはメンバー中最重量となる58kg。グランプリボス、
シルポートが57kgで、それ以外の馬は牝馬を除くと56kgでの出走となった。
結果的に
グランプリボスが勝ち、
カレンブラックヒルは④着に敗れていて、
G1馬が明暗を分けた。同じG1馬で1kgの斤量差があったのは、
マイラーズCの別定条件にある。規定を見ると、以下のように書いてある。
56kg、牝馬は2kg減。12年4月21日以降のG1競走(牝馬限定競走を除く)①着馬は2kg、牝馬限定G1競走またはG2競走(牝馬限定競走を除く①着馬1kg増、12年4月21日以前のG1競走(牝馬限定競走を除く)①着馬1kg増(ただし2歳時の成績を除く)昨年の
NHKマイルC勝ちで
カレンブラックヒルは2kg増、11年
NHKマイルC勝ち、もしくは昨年の
スワンS勝ちによって(重複して2kg増とはならない)
グランプリボスは1kg増となっていた。要するに、
G1勝ちの時期によって1kgの差が出てきたわけだ。
58kgを課されたのが初の
カレンブラックヒルと、背負い慣れた57kgの
グランプリボス。いったん抜け出しながら差された
カレンブラックヒルのレースぶりを見る限り、結果的にこの
1kgの差は大きかったのだろう。
もうひとつは
臨戦過程。
グランプリボスは
香港マイル⑫着からの臨戦で、
カレンブラックヒルは記憶に新しいように、
フェブラリーS⑮着からここに参戦してきていた。
実は、
マイラーズCというレース自体は、前走がダートでも大きな問題はない。05年
ローエングリン(前走が
平安S⑭着)、10年
リーチザクラウン(前走が
フェブラリーS⑩着)と、05年以降の8回で2頭の勝ち馬が出ていた。
しかし、昨年から
マイラーズCは昨年から京都での開催となった。00年以降、
京都芝2000m以下の古馬混合重賞で、前走がダートだった馬は[1.5.3.77]。勝ったのは00年
マイルCSを勝った
アグネスデジタル(前走が
武蔵野S②着)のみだった。
その理由としては、急坂があってパワーも要求される阪神と、平坦でスピードと切れ味勝負になりやすい京都との違いもあるかもしれない。
自分の馬券は、斤量、臨戦過程ともに
「克服可能、カレンブラックヒルが馬券圏内を外すとは考えられない!」と考えてしまった。
不安がある以上、信頼しすぎは良くないと、もう何度目か分からない反省をすることになってしまったわけだ。
グランプリボスはこのレースを休み明けで制し、今後は安田記念で11年
NHKマイルC以来3つめのG1制覇を狙うことになるだろう。
このレースまでは休み明けが④⑧⑥着だったが、休み明けで初勝利を飾ったあたり、もしかしたら
5歳となった今が最盛期なのかもしれない。
考えてみれば、父
サクラバクシンオーが
1分7秒1の日本レコードタイムで
スプリンターズSを制したのが
5歳時。テスコボーイから連なる血を継続させる使命も担ったこの馬は、あと1、2つはG1の勲章を加え、さらに種牡馬としての評価を高めていってほしい、と思う。