暗黒時代に終止符を打ったダイワマッジョーレの運命やいかに!?
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也
京王杯SC終了前だと、2000年以降の4歳以上・別定戦の芝G2における1番人気の成績は
[41.17.12.49](勝率34.5%、連対率48.7%、複勝率58.8%)。単純計算ではだいたい、
3頭に1頭が勝利し、
2頭に1頭が連に絡むことになる。
レース個別で見ると、
阪神大賞典は
[7.4.2.1](勝率50.0%、連対率78.6%、複勝率92.9%)、
大阪杯は
[8.3.1.2](勝率57.1%、連対率78.6%、複勝率85.7%)で、ものすごく高い好走率を誇っている重賞もある。
阪神大賞典は
106%、
大阪杯は
102%で、1番人気でも複勝回収率が100%を超えてしまっている。
そんな中、
京王杯SCはというと
[0.0.2.11](勝率&連対率0%、複勝率15.4%、複勝回収率16%)で、①着はおろか②着もなし。97年
タイキブリザード、98年
タイキシャトル、99年
グラスワンダーと、外国産馬が3連勝した期間もあったのに、一転して
1番人気の暗黒時代に突入してしまったのだ。
京王杯SCの1番人気馬13頭のうち6頭は、前走に
高松宮記念で③着以内に好走していて、
高松宮記念が5月から3月に以降したのが1番人気連敗の起点となった00年。番組編成が1番人気不振の一因になっている気もするが、ともかく、今年はどの馬が1番人気に推されるのか、注目して見ていた。
レース直前までずっと、
サダムパテックが1番人気の座に就いていたのだが、最後の最後で
ダイワマッジョーレが逆転。4.7倍の1番人気が
ダイワマッジョーレ、5.0倍の2番人気が
トウケイヘイロー、
サダムパテックは5.4倍で3番人気まで一気に転落することに。
結果はご存知の通り、中団から脚を伸ばした
ダイワマッジョーレが差し切り。初の芝1400m。加えて
シルポート、
タイキパーシヴァル、
パドトロワ、
テイエムオオタカといった先行馬が揃ってハイペースが予想される芝1400mにすんなり対応できるのかどうか。そんなレース前の
不安をあっさりと払拭し、見事1番人気に応え、7回目の挑戦で重賞初制覇を果たした。
思えば、昨年の
サダムパテックも初の芝1400mという状況での勝利だったが、古馬の別定G2で初距離の馬が
2連勝するというのも、
京王杯SCが特異な重賞だと思わせられる。
それはそれとして、
ダイワマッジョーレは芝2000m以上の重賞で連対実績がある唯一のダイワメジャー産駒で、今回は芝1400mにもあっさりと対応してみせた。
いまのところ、
ダイワマッジョーレの守備範囲は1400~2000mと言えそうだが、
蛯名騎手がレース後のインタビューで
「1600mになったほうが良い」とコメントしていたように、1600~1800mあたりがベターなのだろうと推察できる。
蛯名騎手は
「追って良いタイプなので、長い直線のほうが絶対向くと思っていた」ともコメントしていたが、
ダイワマッジョーレは
左回りで[3.2.0.0]と、とにかく堅実でもある。
左回りの成績は直線距離の長い東京、新潟外回り、新装・中京で記録したもので、直線距離の長いコースが良いのか、左回りが良いのか、どちらかは断言できないが、
蛯名騎手のコメントや
ダイワマッジョーレの成績から判断すれば、
「安田記念は絶好の舞台設定」であることは想像に難くない。
ちなみに、
ダイワマッジョーレの馬名の意味は
「冠名+最高の(伊)」とのこと。現時点(2013年5月12日終了時点)で言えば、
「ダイワメジャーの最高傑作」は、デビューから無傷の4連勝で
NHKマイルCを制したG1馬
カレンブラックヒルだろう。
左回りで3勝以上していて連対率100%なのは、ダイワメジャー産駒の中で
ダイワマッジョーレだけなので、
ダイワマッジョーレは現時点(2013年5月12日終了時点)での
「最高のサウスポー」とは言える。だが、
安田記念で
父子制覇ともなれば、一気に
「ダイワメジャーの最高傑作」のポジションまで見えてくる。
97~99年の
京王杯SCでは外国産馬が3連勝したと前記したが、その3頭は次走で
安田記念に出走し、
タイキブリザード①着、
タイキシャトル①着、
グラスワンダー②着(ハナ差)だった。
京王杯SC1番人気の暗黒時代に終止符を打ち、一躍、救世主となった
ダイワマッジョーレには明るい未来が待っていそうだが、その運命やいかに!?