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「マイラー」も「中距離馬」も一蹴、今後の選択は果たして!?
文/浅田知広、写真/川井博


よくもこれだけ揃ったもんだ、と言いたくなるほど多士済々の面々が集った今年の安田記念

このマイル路線を中心に進んだ馬としては、まず昨秋のマイルCSを制したサダムパテックと、2、3歳のマイルG1を連覇し、古馬になっても活躍を続けるグランプリボス。さらには昨年の3歳マイル王・カレンブラックヒルに、海外からは昨年の香港マイル②着馬・グロリアスデイズである。

これだけでも決して悪くないメンバー構成だが、今年はそれに加えて、短距離戦線から「世界の」ロードカナロア、牝馬ではついにビッグタイトルを手中に収めたヴィルシーナ。そして中距離路線からは、ダークシャドウショウナンマイティといったG1好走実績馬が駒を進めてきた。

高松宮記念から天皇賞(春)ヴィクトリアマイル安田記念宝塚記念と続く春の古馬G1戦線。中でもこの安田記念は、多様な路線の馬がもっとも集結しやすい位置付けにあり、少々古い話になるが92年にはカミノクレッセ天皇賞(春)から安田記念宝塚記念と進んで春のG1・3戦連続②着。翌年にはイクノディクタスが同じローテーションで⑨②②着ということもあった。

そんな天皇賞(春)組は近年、昨年のローズキングダムくらいになったものの、かわって翌週のNHKマイルCから出走してくる3歳馬もあり、今年はそこで1番人気だったエーシントップが参戦。G1の並びにはさまざまな意見があるものだが、今年は今の並びが見事にハマったと言えるだろう。

こういったメンバー構成になると、いったいどの路線の馬が「この条件で」強いのか、という力比較が非常に難しくなる。昨年も単勝1番人気・サダムパテックが6.6倍と難解だったが、単純にマイル路線の馬同士でも難解なところにきてこのメンバー。

果たしてどんな人気順になるのかと思えば、短距離のロードカナロア4.0倍、マイルのグランプリボス4.8倍、中距離のショウナンマイティ5.7倍と、皆さん相当悩まれていらっしゃる、というオッズである。ただ、そんな中でも「格」(と日本馬のレーティング)からいけば最上位に立つロードカナロアが、マイルでも強いと考えた方が少し多かったようだ。

そのロードカナロアは、互角のスタートからすっと位置取りを下げて中団へ。そして3コーナー手前、内の「マイラー」グランプリボスが折り合いを欠いていたのに対し、「スプリンター」のロードカナロアはしっかり脚が溜まっていそうな走りだった。

もっとも、こういったタイプは道中の折り合いをクリアしたところで、適性がなければ終いバッタリ、というケースも多々あるもの。一見、大丈夫そうでも実は……、という長い直線での勝負が待っている。

こうして迎えた直線525.9m。外から前を捕らえにかかるところでフラついたシーンは、やっぱりここまでが限界か、とも見受けられた。しかしなんのことはない、岩田騎手によれば「物見をしてしまった」とのことで、まだまだロードカナロアは余力も十分。

並んで追い込んだ「マイラー」ダノンシャークを競り落とすと、今度は「中距離馬」ショウナンマイティの強襲もクビ差で抑えて優勝。この距離がベストの馬も、それ以上が良さそうな馬もすべてなぎ倒してのマイルG1制覇だ。

細かいことを言えば、ロードカナロアの動きによってダノンシャークが外に弾かれ、ショウナンマイティが立て直す場面もあり、最後の着差が着差だけに決して「完勝」とは言い難い。しかし、久々のマイル戦でこれだけの走りを見せられるのだから、さらに夢が広がったのも確かだろう。

マイルで勝ち星がなくて安田記念を制した馬といえば92年のヤマニンゼファー(翌年に秋の天皇賞制覇)が思い出されるが、ロードカナロアも秋には天皇賞参戦などということがあり得るのか、それとも今度は海外のマイルG1挑戦か。短距離に続いて日本のマイルでも頂点に立ったロードカナロアが、これからどんな道を切り開いていくのか、その選択を楽しみに待ちたい。