前走を分析できていれば、巻き返しを想像するのも難しくなかった
文/編集部(M)、写真/米山邦雄
福島芝1800mで行われた過去の
ラジオNIKKEI賞は、良馬場の時の勝ち時計が
1分46秒8~1分48秒3。5回中3回の勝ち時計が1分47秒台で、今年も
1分47秒9だったから、開幕週に替わっても勝ち時計は例年通りだった。
ただ、これまでは
メンバー中最速の上がりを使った馬が突き抜けられないレースだったのに、今年は最速の上がりを使った
ケイアイチョウサンが優勝した。しかも、その上がり3Fは
34秒3。これは、このコースとしてはかなり速い。
これだけ速い上がりを使った馬が差し切れたのは、
開幕週の影響だろう。掲示板に載った馬も5頭中4頭が
ひと桁馬番で、唯一の
ふた桁馬番だった
ケイアイチョウサン(11番)も、直線で内を突いていた。枠の有利不利が目立ち、
コース取りの差がはっきり出るレースに変わった(変わってしまった)と言える。
ケイアイチョウサンは前走の
稲村ヶ崎特別で⑦着に敗れたことで人気を落としていたが、同レースはスローペースの前残り決着で、しかも、
ケイアイチョウサンは直線で前が詰まっていた。
京成杯で③着に好走したことがある馬で、前走の敗因を分析できていれば、
ここで巻き返すことを想像するのも難しくなかったはずだ。
ケイアイチョウサンは穴ぐさ💨だったから、優勝したことはもちろん喜ばしい。ただ、レース前から、
ケイアイチョウサンに限らず、
今回のハンデが理解できなかった。全体として
整合性が取れていないと感じていた。
ケイアイチョウサンは、
京成杯③着(0秒2差)の実績があって
ハンデ54kg。③着に入った
アドマイヤドバイも、
きさらぎ賞③着(0秒1差)の好走歴があって
ハンデ54kgだった。外枠で折り合いを欠いて⑩着に敗れてしまったが、
インプロヴァイズも
東スポ杯2歳Sで③着(0秒5差)になったことがあったが、
ハンデ54kgだった。
これに対して、
サンブルエミューズは
フェアリーS③着(0秒0差)の実績はあるものの、
1800m以上が初めてで
ハンデ54kg。同馬は
牝馬だけに、牡馬換算なら
56kgだ。同じ
牝馬の
ナンシーシャインも、
フィリーズレビューで②着(0秒2差)になっているが、
1800m以上は初めてで
ハンデ54kg。牡馬の
シャイニープリンスも
1800m以上が初めてで、
ハンデ56kgだった。
フラムドグロワールや
ガイヤースヴェルトのように、すでに芝1800mのOPで好走歴があって
ハンデ56kgというのは分かるが、
1800m以上が初めてなのに
重いハンデを背負わされるとは、いったいどういうことなのだろうか?
距離の実績を考慮せずにハンデを付けたとしか思えない。
同じハンデ戦でも、
古馬のレースであれば、その路線に多く出走している馬が集まりやすいが、3歳夏では今回のように中距離戦でもマイル以下からの参戦が珍しくない。そのことは主催者としては歓迎すべきことで、ハンデも
杓子定規に付けるのではなく、
魅力のあるものにすべきだろう。
ハンデ戦については、
ゴール前で全馬が横並びになってゴールすることが理想とよく言われるが、それだけではなく、
全馬の単勝オッズが横並びになることも重要なのではないか。ハンデはレースを面白くするために付けられているのだから。
単勝オッズが10倍を切っていた馬のうち、掲示板に載ったのは2頭(③着
アドマイヤドバイ、④着
フラムドグロワール)で、
ガイヤースヴェルト、
インプロヴァイズ、
ミエノワンダーの3頭は
ふた桁着順に敗れたが、この3頭はいずれも
6~8枠だった。
冒頭で記した通り、今回は開幕週で
内外の差が激しいレースとなったから、敗因は明白だろう。
ケイアイチョウサンの前走ではないが、
ガイヤースヴェルト、
インプロヴァイズ、
ミエノワンダーの3頭は今回のレース結果が実力ではないことははっきりしている。次走の時には今回のレース欄を塗りつぶし、
参考外として扱っても問題ないはずだ。