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前走の時点でクリスマスには“当確”が出ていた!?
文/編集部(T)、写真/川井博


今年の函館2歳Sが開催された7月21日は、同時に参議院の普通選挙が行われていた。

テレビの選挙特番で、番組が始まったとたんに“当選確実”が出る候補者がいる。選挙のたびに思うのだが、確かに「やる前から決まってるしなあ」と思う選挙区はあるもの。とは言っても、だからといって選挙しないわけにもいかない。さすがに“選挙するだけ税金がもったいない”とまで言う気はない(笑)。

番組冒頭に“当確”が出るほどの候補者が、結果的に落選したということはそうそうない(一度もないかも?)だろう。というよりも、元々、選挙は人間が行うということもあって、大きな波乱はあまりない

対して競馬は、「回ってくれば勝てるんじゃない?」と思わせるほどの圧倒的な1番人気馬が負けることもザラにあるもの。選挙に大波乱があったとしても、それはそれで困るが(笑)。

ここ数年の函館2歳Sレースインプレッションを振り返っていただければお分かりと思うが、函館2歳Sもそんなレースだった。

なにしろ、函館芝で開催された函館2歳S(前身は函館3歳S)で1番人気馬が勝ったのは85年ダイナアクトレス以来で、この条件では1番人気馬が25回連続で勝っていなかった

そんな“受難”の1番人気に、今年推されたのはクリスマス。前走は今回と同じ函館芝1200mで、1分9秒3のレコードタイムで②着馬に7馬身差をつけていた。

ちなみに7馬身差をつけられたデンコウウノも土曜(20日)に初勝利を飾っており、メンバーのレベルが低かったわけではない。普通に考えれば、前走くらいのタイムで走れればここでも……と思えるほどだった。

とはいえ、ここはほとんどがデビュー1戦、多くても2~3戦の馬が集まって開催される重賞。勝った馬の多くが少頭数のレースを逃げ切りで勝っており、多頭数のレースで、控えたときにどのようなレースをするか分からない、そもそも控えられるのか……というファン意識もあったはず。

今回、単勝1倍台に推されてもおかしくないほどの前走の勝ちっぷりではあったが、そういったこともあって、今回のクリスマスの単勝オッズが2.1倍にとどまったのだろう。

そんな人間の思いをよそに、クリスマスはこのレースでも非常に強い競馬をみせた。好スタートを切ったが、内から来たテルミドールを行かせて2番手の外目を追走。前半600mが33秒7のハイペースもあってスムーズに折り合いをつけ、直線入り口で先頭に立って後続に2馬身差をつけた。

まさに完勝としか言いようがない内容。終わってみればレース前から“当選確実”だったのかなあ、という印象を受けるほどの強さだった。

勝ちタイムは2番手に控えた分もあり、前走から0秒3(今回は1分9秒6)遅くなった。それでも、このレースで1分9秒台を記録したのは97年のアグネスワールド(1分9秒8)以来。アグネスワールドは後に海外G1を制するほどの名馬に成長したし、前述のダイナアクトレスは重賞を5勝、母としてもステージチャンププライムステージなどを出すほどの名牝となった。

クリスマスの血統を見ても、父バゴは2~4歳時に凱旋門賞をはじめG1を5勝した名馬で、母父もステイゴールド。血統的にも成長力があり、距離が延びても苦にはしなさそう。ここでみせた卓越したスピードとスケール感で、今後も楽しませる存在になってくれそうだ。