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先輩に続く活躍を期待させるに十分な勝利だった
文/浅田知広、写真/稲葉訓也


09年に創設され、今年でまだ5回目と歴史の浅いレパードS。しかし、毎年のように非常にレベルの高い戦いが繰り広げられており、第1回優勝のトランセンドは後に史上初のJCダート連覇などの活躍を見せ、②着にはJBCスプリント2勝を挙げるスーニ

そして第2回優勝のミラクルレジェンドは、今年からJpn1に格付けされたJBCレディスクラシックを11、12年と連覇した。続く一昨年の優勝馬ボレアスは伸び悩んでしまったが、昨年の優勝馬ホッコータルマエは現在重賞5連勝中で、Jpn1もかしわ記念帝王賞と連勝している。

これくらいの活躍馬が出ることくらい、レース創設前からわかりきっていた、という方もいらっしゃるかもしれない。

というのも、現在は6月のユニコーンSが秋に行われていた96年から00年には、シンコウウインディタイキシャトルウイングアローゴールドティアラ、そしてアグネスデジタルと、後のG1馬ばかりが勝ち馬に名を連ねていたためだ。

レースの位置づけとしては、そのユニコーンSが夏競馬に繰り上がり、9年後に復活したのがこのレパードS、とも考えられる。

そんな「後のダート王選定競走」的な位置づけにあるレパードSで、今年1番人気に推されたのは、前走で古馬相手の1000万条件を快勝したインカンテーションだった。

3走前と前々走には、今回も出走していたサトノプリンシパル(4番人気)に先着を許しているが、3走前の伏竜S直線で詰まる場面もあってのアタマ差。そしてサトノプリンシパルが勝った前々走は、インカンテーション自身がスタートで躓いて後方から直線急襲の③着と、いずれも力負けではなかったことも確かである。

そういった結果も踏まえつつ今回のインカンテーションは、今度こそ力と力の勝負で勝ち切るんだという、闘争心あふれる走りを披露してくれた。いや、負けた2戦は今回の大野騎手とのコンビではなかったのだが、あたかも相手は逃げるサトノプリンシパル1頭と決め打ちしたかのような、互角のスタートから押っつけての先行策だった。

その大野騎手がこの馬の手綱をとった4走前、沈丁花賞は先手を奪って5馬身差の大楽勝。相手云々は関係なく、前々から不利のないレースさえできれば、そう簡単には負けやしないという思いもあったのかもしれない。

いずれにしても、道中はサトノプリンシパルを常に射程圏に入れつつ、抜群の手応えでの3番手追走だった。そして迎えた直線入り口、前が詰まりかけたときには伏竜Sの結果も頭をよぎったが、今回のインカンテーションはライバルとは余力がまったく違っていた。

前のサトノプリンシパルと、外からまくり気味に動いたケイアイレオーネの間を突いて力強い末脚を繰り出すと、最後はサトノプリンシパルに2馬身半の差をつけて「3度目の正直」。そしてなにより、今後に大きく期待が広がる重賞初制覇だ。

これで、レパードSや秋のユニコーンSを制した先輩に続く、将来のG1・Jpn1制覇は約束されたようなもの。……、と言えるほど競馬は甘くはないのだが、そういった可能性を感じさせるに十分な勝利だったことは間違いない。

3歳世代のダート路線では、ジャパンダートダービーを圧勝したクリソライトが頂点に立っており、そこで③着だったケイアイレオーネとの着差は7馬身+ハナ差。今回のインカンテーションと③着ケイアイレオーネは4馬身差(2馬身半+1馬身半差)で、単純計算ではクリソライトにまだ3馬身ほど届かないが、そんな計算では答えが導き出せないのもまた競馬である。

世代交代が一気に進んだ印象もあるここ1年ほどのダート路線。そこにこのインカンテーションや、クリソライトといったさらに若い世代が加わり、秋には大熱戦を繰り広げてくれることを楽しみに待ちたい。