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ハープスターはマルゼンスキーなんじゃないか!?
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


ハープスターマルゼンスキーなんじゃないかと思いましたね。

中野渡清一騎手が言った『28頭立ての大外枠でもいい。賞金ももらわなくてもいい。他の馬の邪魔もしない。この馬の力を試したいからダービーを走らせてくれ』というのを地で行く馬ではないか、と。

いや、もちろん、ダービーではなくて新潟2歳Sだし、28頭立ての大外枠ではなく、18頭立ての外枠だったわけだけど、そのレースっぷりたるや、マルゼンスキーの衝撃に匹敵するようなものでなかったか。『強い』という言葉以外見当たらない圧勝劇だった。

鞍上の川田騎手曰く、「馬のリズムを大切にして乗ったら、序盤はあの位置になった」とのことだが、3~4コーナーを回って直線に向いてもなかなか進んで行かず、「少し焦った」のも事実だったようだ。

ところが、大外に持ち出され、ゴーサインを出されると、まさに『他の馬の邪魔をしない』ような位置を高速回転で進み、17頭を一瞬でごぼう抜きにした。終わってみれば3馬身差の圧勝で、上がり3Fはメンバー中最速の32秒5。最後の1Fはいったい何秒で走り抜けたのだろう?

2戦とも8枠で、特に今回は大外をブン回しての差し切り勝ちなので、今後、G1戦線などでは多頭数の内枠に入ったりしたらどうなのか?ということが議論されそうだ。しかし、そんなことは飛び越えっちゃってるような気もする。全然関係ないんじゃないですかね。

幸いなことに牝馬のG1は、3歳秋の秋華賞まで直線距離の長いコースで行われる(阪神JF桜花賞オークス)。ハープスターなら、どんな頭数でどんな枠順でも、大外に持ち出せれば突き抜けちゃうんじゃないか。そんなことを思わせられる時点で、やはりマルゼンスキーに近い存在なのではないかと感じるのだ。

ハープスターの祖母は牝馬二冠のベガで、ベガ(こと座の一等星)の別名がハープスターらしいから、デビュー前からそれほどの期待を集めていたのだろう。期待を集めても競走成績に直結しないことが珍しくないのが馬の世界だが、ハープスターは軌道に乗った。これからは無事に、とにかく無事にいってほしいものだ。

ハープスター以外の17頭に対しては、僭越ながら、精神的ダメージを受けていないかが心配になる。レース上がりが33秒8で、②~④着の3頭(イスラボニータピークトラムウインフェニックス)はいずれも33秒台の上がりを使っている。最後まで止まっていないのだ。

それにも関わらずあのような負け方をしたわけで、自分自身があの立場なら、次戦以降のやる気に確実に影響する。間違いなく『放牧願い』を提出するだろう。今回のことは見なかったことにして、リフレッシュして次走以降に出てきてほしいものだが…。

終わってみれば、今回は、前走が新潟ではなかった馬が掲示板を独占した。ダリア賞で掲示板に載った5頭を含めて、前走を新潟で走った馬が8頭いたわけだが、マイネグラティアの⑦着が最高着順だった。

01年に新装されてからは、新潟2歳Sでは、毎年、前走を新潟で走った馬が1頭は連対圏に入っていたのだから、今年は明らかに傾向が違ったと言える。

傾向が違ったのは、レベルが違ったからか。やはり、ハープスターが過去のこのレースの勝ち馬以上の成績を収めても、なんら不思議ではないだろう。