今年はサマースプリントシリーズの行方がこのレースの結果を左右した!?
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也
セントウルSは
サマースプリントシリーズの最終戦に位置づけられる。昨年の
サマースプリントシリーズは
パドトロワが
セントウルSを待たずに優勝を決めてしまっていたため、
セントウルSは
“消化試合”となってしまっていたが、今年はシリーズ優勝がこのレースまで決まっておらず、このレースが
優勝決定戦となった。
今年のシリーズでは、19ポイントを獲得してトップにいた
フォーエバーマーク(
セントウルSは不出走)を除いて優勝の可能性があったのは、
CBC賞②着、
アイビスサマーダッシュ①着で15ポイントを獲得していた
ハクサンムーン、
函館スプリントS②着、
キーンランドC③着で9ポイントを獲得していた
シュプリームギフトの2頭。他馬の結果によらない、いわゆる
“自力優勝”の可能性があったのは
ハクサンムーン1頭のみだった。
しかし、そこに割って入ったのが、スプリント~マイルG1を4連勝中の
ロードカナロア。当初は
スプリンターズSでの復帰と言われていたが、予定を繰り上げて前哨戦のここに矛先を向けてきた。
ロードカナロアの強さは皆が認めるところだろう。ところが、今回に限って言うと、
ロードカナロアが斤量58kgを課されたのに対し、
ハクサンムーンは56kg。さらに、
ロードカナロアは3ヵ月の休み明けという死角があった。
ロードカナロア自身はこのレースまでは休み明けで[5.2.0.0]なので、久々はまったく気にしないタイプ。しかし、
セントウルSというのは
夏に使ってきた馬が勝つという傾向を持っていた。
というのも、
セントウルSが9月開催となった00年以降、すべての勝ち馬は
同年の7月以降に出走していた馬だった。昨年の
ロードカナロアも、6月17日の
函館スプリントS以来の出走で②着に敗れている。
また、前述したように、今回の
セントウルSはシリーズ
優勝決定戦という側面も持っていた。すでに優勝が決定していた昨年を除くと、シリーズが創設された06~11年はすべてこのレースが
優勝決定戦となっていて、そのうち5年で
セントウルS出走馬が、4年で
セントウルS勝ち馬がシリーズ優勝している。
皆さんも気にされる方はけっこういらっしゃるかもしれないが、週末に編集部で開催される会議でも、こういったシリーズ最終戦前には必ず
「どの馬に優勝のチャンスがあって、その条件は?」という話題が出る。
馬はそのようなシリーズを知るよしもないだろうが、関係者のモチベーションは高いものがあるはず。何より
ハクサンムーンはこのレースで好走しなければシリーズ優勝もないということで、その点は特に高かったのだろう。やはり馬券を買う上でも、
最終戦ということは今後も意識した方が良いのかもしれない。
ただ、斤量の恩恵や
ロードカナロアの臨戦過程というアドバンテージはあったが、
ハクサンムーン自身も楽なレースではなかった。今回はスタートで出遅れ気味で、ハナに行くのに脚を使わされていたし、過去に結果が出ていない湿った馬場(発表は良)でもあった。
一方で、今回の
ロードカナロアはメンバー最速の上がり33秒4を記録して、
負けてなお強しと思わせた。過去の
休み明け2戦目は4戦4勝なので、ひと叩きされた上積みもあるだろう。
ハクサンムーン、
ロードカナロアともに次走は
スプリンターズSが予想される。
「次は逆転だろう」と誰もが考えそうだが、
ハクサンムーンのレースぶりもここに来てますます安定してきているし、簡単に勝てる相手ではなくなってきている。
いずれにしても、今年の
スプリンターズSは面白いレースになるだろう、と予感させる結果になったといえそうだ。