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30年前はロンググレイスが前哨戦と本番で連勝、さて今年は!?
文/浅田知広、写真/稲葉訓也


かなり特殊な馬場状態で行われた函館開催が終わったと思ったら、先週は道悪、そして今週は台風襲来である。

それでも開幕2週目なら、ディープ産駒が今ひとつに終わった函館後半戦のようなことはないと思いつつも、ここにクロフネサプライズ(桜花賞1番人気・骨折休養中)がいれば、ちょっと買ってみたかったかな、と思ったりもした。

さらに、桜花賞馬アユサン脚部不安で戦線を離脱してしまった3歳牝馬戦線。しかし、このローズSにはオークスの①~③着馬に桜花賞②着馬、そして阪神JF優勝馬と、前記2頭以外のG1連対実績馬がずらりと顔を揃えた。まさに、秋華賞の最重要前哨戦らしい一戦になったと言えるだろう。

歴史を振り返ってみると、オークスの①~③着馬が揃ってローズSに出走するのは、どうやら83年の第1回以来らしく、実績馬がこぞって出走する印象もあるレースとしては少々意外なところだ。

当時はオークス馬ダイナカール(おなじみエアグルーヴの母)が最先着の③着で、①&②着は前走条件戦組のロンググレイスグローバルダイナオークス組の上位独占とはならなかった。

もっとも、なにせコースも時期も違う30年も前のことだけに参考にもならない話だと、週の半ばあたりまでは考えていた。しかし、当日は春二冠とは違う道悪という要素が加わっての一戦。「もしかしたら荒れるのかも?」という気配も漂わせつつのスタートとなった。

すると、そのスタートからオークス③着馬・デニムアンドルビーが大きく出遅れ、馬群から離れてポツンと最後方に取り残されているではないか。

さらに、オークス②着馬・エバーブロッサムも後方馬群で押っつけ通し。その外に位置したオークス馬メイショウマンボは手応えこそ良さそうだったが、出遅れた馬や行きっぷりの悪い馬と同じ後方にいて良いのかどうか、という展開だ。

一方、紅梅S重馬場実績のある桜花賞②着馬・レッドオーヴァルは好位を追走。やや掛かり加減には見えたものの、道悪を苦にするような様子はなく、オークス①~③着馬よりはレッドオーヴァル、という競馬になったかと思われた。

しかし、結果としてはレッドオーヴァルの位置では前過ぎだったという、重馬場での1000m通過58秒2。3コーナーから徐々に動いていったメイショウマンボでもまだ早すぎ、最後方からメイショウマンボの後を追ったデニムアンドルビーが、このレースの正解だった

オークスでも1周目のゴール前を最後方で通過していったデニムアンドルビー。当時は、中団から先に抜け出したメイショウマンボエバーブロッサムがラスト1ハロンを11秒台でまとめ、この馬のしぶとい末脚も決して見劣らなかったものの、前には及ばず③着という結果だった。

しかし、今回は道悪でのハイペースで、ラスト2ハロンは12秒5-13秒2。残り200mでいったんは先頭に立ちかけたメイショウマンボを外から一気に交わし去ると、さらに後ろから来たシャトーブランシュの追撃も振り切ったのだった。

これでオークストライアルのフローラSに続く重賞2勝目を挙げたデニムアンドルビー。そのフローラSは3コーナー過ぎから早めに動いて優勝し、本番は後方から届かず③着。今度は直線勝負でローズSを制したが、京都内回り2000mではどんな競馬を見せるのだろうか。コースこそ違えど、同じ2000mのフローラSのような競馬をしてくる可能性もあるだろう。

そして②着シャトーブランシュ、③着ウリウリはともに前走500万条件優勝馬。オークス①~③着馬以外の①&②着独占こそならなかったが、一応は30年前の話でもそこそこはアテになったという結果である。

その30年前、当時の本番・エリザベス女王杯は、このローズSを勝ったロンググレイスが連勝を飾った。さて、デニムアンドルビーもこれに続くのか、それともあくまで「そこそこは」アテになる程度に終わるのか。

今回は圏外に沈んだ実力馬たちも当然、巻き返しを期してくる。まだまだ勝負づけが済んだとは言えないこの路線、本番はぜひとも好条件の下での熱戦を期待したいものだ。