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今年の“夏の上がり馬”は500万から生まれてきている
文/編集部(T)、写真/森鷹史


台風の影響で1日順延され、今年のセントライト記念火曜開催となった中山で行われることになった。

調べてみると、金杯当日を除くと、レースが火曜日に開催されたのは2001年1月30日以来。このときは1月27日(土)、28日(日)が積雪のために東京開催が中止となり、29日(月)、30日(火)に順延されたためだった。

ファンや関係者の間では、「今週が月曜開催でさえなければ」「台風が来る時期に3日間開催をするのはさすがにリスキーでは?」という声もあったようだ。

競馬はどうしても天候に左右されるだけに、3日間開催を行うならできるだけ台風や雪のリスクの少ない、秋や春を中心にする手はあるのではないか、と改めて感じた週末(すでに週末ではないが…)となった。

そんな今年のセントライト記念。出走メンバー15頭を見渡すと、G1に出走経験があるのはダービー⑬着のヒラボクディープ1頭のみで、これは過去10年のセントライト記念では10年と並び最少タイだった。

それだけに、そのヒラボクディープが1番人気を集めるのはある意味納得のオッズだったし、「正直なところ、レベル的にどうなんだろう…」と感じるメンバー構成ではあった。ところが、結果はヒラボクディープが⑬着に大敗を喫し、前走が500万を勝ってきたばかりのユールシンギングが初重賞制覇を飾ることになった。

また、②着ダービーフィズは前走が1000万④着、③着アドマイヤスピカは前走が青葉賞⑦着、2走前が500万勝ちで、③着までを占めたのはいずれもOPはおろか、1000万でも連対経験のない馬だった。

日曜に開催されたローズSも、勝った馬こそオークス③着で、春に実績があったデニムアンドルビーだったが、②着シャトーブランシュ、③着ウリウリはともに前走で500万を勝ったばかりの馬だった。さらに、その前の週に行われた紫苑Sの勝ち馬セキショウは前走が1000万で⑨着、②着リボントリコロールは前走が500万勝ちだった。

これまでは“3歳夏の上がり馬”というと、1000万や準OPを勝ってきた馬が秋口の重賞で好走することで呼ばれるようになるのが常だった。それが今年は、500万を勝ったばかりの馬が秋口の重賞やOPで好走するようになってきているのは興味深い。

調べてみると、先週までで今年の芝の3歳以上・500万を勝った3歳馬は延べ50頭。その50頭の次走以降の成績は[6.5.7.24](複勝率42.9%)と、500万を勝って以降もかなりの好成績を残していることが分かる。

“今年の3歳夏の上がり馬は少ない”という声も上がりつつあったが、それは1000万での話。今年は1000万ではなく、500万にも逸材が眠っていたのだろう。馬券的にも今後注目すべきといえそうだ。

一方、今年古馬混合の芝1000万を勝った3歳馬は11頭いて、その11頭の次走以降の成績は[1.0.0.1]。ほとんどの馬がまだ次走を経験していないので、これから好成績を残してくる可能性は十分ありそう。こちらも注目しておきたい。

話をセントライト記念に戻すと、今回レースを制したユールシンギング父シンボリクリスエス×母父スペシャルウィークで、エピファネイアと同じ血統背景を持つ。まだまだ奥のありそうな血統なので、今後の成長に期待したい。

とはいえ、確かに前述のように、今回のレースに限れば春の実績馬が非常に少なかった。となると、エピファネイアをはじめ春の実績馬が大挙して出走してくるという神戸新聞杯がどのような結果になるかで、今年の傾向や秋の勢力図が固まるといえるのではないだろうか。

ダービーキズナ凱旋門賞挑戦で、菊花賞戦線は手薄といわれつつある。それだけに、菊花賞戦線では春の実績馬、夏の上がり馬、どちらが台頭してくるか。セントライト記念は上がり馬に軍配が上がったが、次は神戸新聞杯に注目してみたい。