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3歳でシリウスSを制した“先輩”ワンダーアキュートに続けるか
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也


「ケイアイレオーネは564kgでプラス16kg」

土曜は穴ぐさを選ぶ作業をしながらテレビの競馬中継を流していたが、これを聞いた瞬間にテレビを二度見してしまった

それはファンの皆さんも同じだったようで、馬体重の発表までは9倍台後半で推移していたケイアイレオーネの単勝オッズがそれ以降みるみる上がっていき、最終的には12.3倍にまでなった。自分も「メインレースの考え方」で◎を打ったので、気が気ではなかった(苦笑)。

ところが、ケイアイレオーネはそんな不安を吹き飛ばすかのような走りを披露。幸騎手は五分のスタートから後方に控え、道中は14番手。3角で手が動いた時は「万事休すか」とも思えたが、外を通って追い上げると、直線は“重戦車”を思わせる豪快な追い込みで大外一気を決め、重賞2勝目(JRA重賞は初勝利)を飾った。

この日のケイアイレオーネ564kgは、平地の重賞としては90年以降で最多体重での勝利となる(過去最多は86年京王杯スプリングCトーアファルコンで、570kg)。

一般的にダートはパワーが必要な分、馬格のある馬が有利とされる。ケイアイレオーネはまだ3歳ということもあり、幸騎手も今回の体重増は成長分だったとレース後にコメントしている。

あくまでケースバイケースなので一概には言えないが、一般的にダートでの大幅な馬体増はマイナスポイントとなるのだろうか。調べてみると、03年以降にJRAで開催された古馬混合のダート重賞で、馬体重がプラス10kg以上だった馬はこのレースを含めて[10.15.17.129](複勝率24.6%)。一方で、マイナス体重だった馬が複勝率17.0%だった。

馬格はそれぞれの馬が持つ個性なので、どの馬も500kgを超えられるわけではないが、陣営の思惑として、ダートでは少しでも馬体を増やして挑むケースが多いと思われることも、この傾向の理由かもしれない。

自分も、今後のダート重賞で自分の本命馬がたとえ「プラス20kg」と言われたとしても、それだけで動揺することはなくなる(繰り返しますが、場合によります)…かもしれない(笑)。

また、それだけでなく、今回のケイアイレオーネ“距離の壁”も見事に乗り越えてみせた。

ケイアイレオーネのこれまでの戦績は、ダ1400mで3戦3勝ダ1600m以上で[0.0.3.1]だった。本馬の父ヘニーヒューズもアメリカで挙げたG1・2勝がいずれも7ハロンで、これまでは父の戦績通りの成績を残していた。

それが今回はハンデ53kgではあったが、初の古馬相手、ダ2000mという条件を克服。今後を占う上でも、その意味は大きい。

シリウスSを3歳で制した馬といえば、昨年のJBCクラシック勝ち馬ワンダーアキュートの名前があり、ケイアイレオーネはそれ以来となる3歳馬による勝利となる。

この2頭の共通点として、父ストームバード系ということが挙げられる。調べてみると、父ストームバード系の3歳馬でJRAの古馬混合重賞を制した牡馬は、この2頭と05年の武蔵野Sを制したサンライズバッカスの3頭だった。

ワンダーアキュートシリウスSの次走で武蔵野Sを制し、JBCクラシックを制したのは6歳サンライズバッカスも5歳となってからフェブラリーSを制している。早めに開花する印象もあるストームバード系だが、かなりの成長力も秘めていることがわかる。

その点でも、ケイアイレオーネの今後も大いに期待できそうだ。次はG1(Jpn1)路線に向かうことが予想されるが、そこで好走してもまったく驚けないだろう。