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“出世レース”を制し、G1戦線に向けて前途洋々
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也


出走馬16頭のうち、重賞勝ち馬が10頭。昨年の東京大賞典勝ち馬で、今回も1番人気に推されたローマンレジェンドをはじめ、今年のフェブラリーS勝ち馬グレープブランデー、前走のシリウスSで重賞2勝目を飾った3歳馬ケイアイレオーネ、同レースの②着馬ナイスミーチューをはじめ、なかなかの好メンバーが揃った一戦となった。

今年で4回目となるみやこSだが、これまでの勝ち馬は錚々たる名前が並ぶ、いわば“出世レース”となっている。それは勝ち馬の、みやこS制覇後のおもな勝ち鞍を見ると、一目瞭然だ。

10年トランセンド(JCダート2勝、フェブラリーS南部杯)
11年エスポワールシチー(南部杯2勝、かしわ記念)
12年ローマンレジェンド(東京大賞典)

10、12年の勝ち馬は、ダートG1(Jpn1)への出走経験がない4歳馬で、まさにこれから名を上げようとする時期にこのレースを勝っている。これは今年の勝ち馬ブライトラインにも共通することでもある。

その理由としては、すでにG1(Jpn1)戦線で戦ってきた馬、特にベテラン勢の多くが、同週に開催されるJBCに出走する場合が多いからでもあるだろう。すでにG1(Jpn1)を5勝していたエスポワールシチーはJBCに出走経験がない(今年のJBCスプリントで初出走予定)が、ある意味これは例外といえるかもしれない。

その意味で、みやこS“出世レース”となるのは、ある意味必然でもあるだろう。正直なところ、みやこSが重賞となった時に「なぜJBCもある時期にこの重賞を創設したのか?」と疑問に思うこともあったが、今思うと赤面する限りだ(苦笑)。

それはそうと、JBCに出走しなくても、みやこSにはかなりの好メンバーが揃う傾向があるだけに、このレースを勝つということは、それだけで実力の証明となる。実際、昨年の勝ち馬ローマンレジェンドは②着にニホンピロアワーズ、③着にホッコータルマエを従えて勝っている。

そして今年は、ブライトラインローマンレジェンドを下し、その実力を証明する形となった。

前走のエルムSに続き、ブライトラインの鞍上を務めた福永騎手は、これで3週連続の重賞制覇となった。その前走では、直線で前が詰まる場面もあり、立て直して伸びたが前を捉えきれず③着に敗れている。

エルムS後の福永騎手「失敗だった」という主旨の発言をしているだけに、今回は期するものもあったのかもしれない。今回は「これなら他馬に邪魔されないだろう」と言わんばかりに4角手前で先頭に立ち、そのまま押し切った。

ブライトラインはこれでダートが[3.0.2.0]とした。他馬との兼ね合いはありそうだが、この3勝はすべて4角先頭で、自分で競馬を作ることができるのは強みといえそう。さらに強い相手とぶつかる次走以降が楽しみになったといえるだろう。

もちろん、3歳にしてハナ差②着まで差し込んだインカンテーション、休み明けで斤量59kgを課されながら③着に食い込んだローマンレジェンドも、次走以降の巻き返しは必至のはず。

JBCクラシックに出走予定のホッコータルマエクリソライトなどとともに、これら3~5歳世代の馬が、今後のダート重賞路線を引っ張っていくことになるだろう。エスポワールシチーをはじめとするベテラン勢の壁も高く厚いが、世代間の戦いはもうしばらく楽しめそうだ。