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デスペラードが得意の寒い時期に復活!
文/編集部(M)、写真/米山邦雄


今年の出走馬を見渡した時、なかなか凄いことになったなあという感想を抱いた。JRAに登録している9歳以上の馬は19頭いて、10歳以上の馬は8頭。その10歳以上の8頭のうち3頭がここで顔を揃えたからだ(トウカイトリックネヴァブションマイネルキッツ)。

出走馬13頭を年齢で分けると、5歳以下の馬が7頭で、6歳以上の馬が6頭。芝重賞での実績で分けると、連対歴がある馬が5頭で、ない馬が8頭だった。それぞれを表にすると、次のような感じ。

  5歳以下 6歳以上
芝重賞での
連対歴あり
デスペラード
ユニバーサルバンク
トウカイトリック
ネヴァブション
マイネルキッツ
芝重賞での
連対歴なし
エックスマーク
クリールカイザー
コスモロビン
フェデラルホール
メイショウタマカゼ
コスモラピュタ
サイモントルナーレ
セイカプレスト

6歳以上の馬は6頭だが、コスモラピュタサイモントルナーレセイカプレストの3頭は6~7歳で、トウカイトリックネヴァブションマイネルキッツの3頭(10~11歳)と同じ括りにするのはしっくりこない気もする。だって、7歳馬の2頭(サイモントルナーレセイカプレスト)でさえ、10歳のネヴァブションマイネルキッツとは3つも離れているんですからね(トウカイトリックとは4歳差!)。

7歳馬を高齢馬と呼ぶのは間違いではないだろう。となると、10歳以上の馬たちは何と呼べばいいのか? ……後期高齢馬か?

今回のステイヤーズSは、結局、上表の左上のスペースの馬(デスペラードユニバーサルバンク)がワンツーを果たし、③着にも右上の後記高齢馬の中からトウカイトリックが食い込んだ。表の下段の馬、つまりは芝重賞で連対歴がない馬で、上位人気に推された馬もいたけれど、最後は実績の差が出た格好になった。

優勝したデスペラードは昨年のステイヤーズSが③着で、今回はその時よりも速い上がりを使った。昨年がメンバー中2位の36秒8だったが、今年はメンバー中最速の35秒4。昨年は15頭立てで外をマクるように動いたので、今年は13頭立てで捌きやすくなったのも良かったのだろう。

内目の枠を利して、鞍上の横山典騎手が慌てず騒がずに脚を溜めた好騎乗を見せていたが、同時に、横山典騎手はネオユニヴァース産駒を操るのが上手いなあという印象も受けた。

ネオユニヴァース産駒はJRAの芝重賞で16勝をマークしていて、そのうち13勝が前走①着、つまり連勝での重賞制覇だった。前走で負けていながら勝った馬は3頭だけで、そのうち1頭は牝馬のイタリアンレッド(11年七夕賞)だ。牡馬の1頭は10年有馬記念でのヴィクトワールピサで、同馬は前走が③着(ジャパンC)。前走④着以下の牡馬が巻き返して優勝したのは1頭だけで、それは09年ダービーロジユニヴァースだった。

ロジユニヴァースの鞍上はご存知の通り、横山典騎手で、今回のレースで、再びネオユニヴァース産駒を返り咲かせた格好だ。横山典騎手は、今回の勝利でネオユニヴァース産駒での重賞制覇が5度目(単独1位)となった。

デスペラードは、今秋初戦の京都大賞典(⑩着)が462kg(16kg減)で、そこから4kg増(466kg、アルゼンチン共和国杯⑥着)→8kg増(474kg、ステイヤーズS①着)と体を戻して着順を上げた。

今年1月の万葉S勝ちが494kgで、阪神大賞典で②着となった時も490kgだったから、正直なところ、まだ戻り切っていないのではないかとも思う。それでも、今回の快勝劇を見せて、やはり寒い時期が合う面があるのだろう。4~10月は[0.0.0.10]だが、11~3月は、今回の勝ち鞍も含めて[7.3.2.6]という成績になった。

次走は馬の状態を見て決められることになりそうだが、状態が上向いているのは間違いないだろう。連続好走の多いタイプでもあるので、今冬も堅実な差し脚が見られそうだ。

ユニバーサルバンクは大外枠で、外を回りながらも②着まで上がり、実績上位の力を見せた。その0秒1差(3/4馬身差)の③着にトウカイトリックが入り、同馬はこれでステイヤーズSで3年連続での馬券圏内となった。

トウカイトリックは、同一レースで③着以内に3度入ったことが2レースであった。芝3000mの阪神大賞典万葉Sだ。阪神大賞典では4&5&8歳時に③着入り、万葉Sでは5&6&8歳時に記録している。

これに対してステイヤーズSでは、4歳時に②着となり、5~7歳時は④着→⑧着→④着と低迷したものの、9歳③着10歳①着11歳③着と盛り返している。いまや3000mでも短いくらいで、3600mが適距離なんでしょうか?

その走りには、ただただ感服するばかりだが、馬券を買ってるみなさんもお上手で、実は近3年でのトウカイトリックの単勝人気は上昇している。一昨年が12番人気(③着)で、昨年が8番人気(①着)、今回が7番人気(③着)だ。9歳以降で年齢を重ね、それでも重賞で単勝人気を上げていく馬なんて、他にいるだろうか?

来年のステイヤーズSでも、ぜひトウカイトリックの雄姿を見たいものだ。来年になると12歳。まだまだイケるでしょ。