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再チャレンジで重賞タイトル獲得、今後は大舞台での勇姿を見たい
文/浅田知広、写真/川井博


来年は朝日杯FSが中山から阪神に移動してくる影響で、玉突き的にレース名が変更されることになった朝日チャレンジC。ただの「チャレンジC」になるとのことで、なんだか地方競馬や大昔の中央競馬にありそうなレース名だ。などと思って調べてみれば、レースが創設された1950年から52年までは「チャレンジC」の名称で行われていた。

それから条件や時期の変更などもありつつ、今年で64回目となる朝日チャレンジC。一昨年まで同時期に行われていたオールカマーも、今やどのあたりが「オールカマー」かわからなくなっているが、このレースも以前は3歳馬(新表記)が古馬に挑戦するという意味合いがあったそうで、1950年や57~60年あたりは菊花賞よりも後の施行だった。そういった条件面からは、昨年から12月に移動して本来の意味を取り戻したと言えるだろう。

しかし、その昨年は2頭出走した3歳馬・ヒストリカルが2番人気⑫着、そしてサンレイレーザーが7番人気⑤着という結果だった。06年から一昨年まで、同時期に同コースで行われていた1800mの鳴尾記念では、3歳馬が6年で3勝。

さらにさかのぼれば、2500m時代の鳴尾記念やら、もっと前の阪神大賞典(86年まで)あたりでも3歳馬の活躍が目立った印象が強いが、昨年からせっかく「チャレンジC」がこの時期に来たというのに……、という出だしである。

そして今年。1番人気のアルキメデスこそ4歳馬ながら、同じく単勝3.9倍の票数差で2番人気に推されたのは3歳馬のラウンドワールド。続く3番人気にタマモベストプレイ、さらには7番人気ゴットフリート、8番人気テイエムイナズマと、中穴候補まで揃っての古馬への挑戦だ。

ところが、鳴尾記念チャレンジCになって迎え撃つ立場が明確になった(?)古馬勢が意地を見せつつあると言うべきか。そんな3歳勢はタマモベストプレイの⑥着が最上位。古馬が掲示板を独占するという、昨年以上に見事なまでの返り討ちが演じられたのだ。

そしてタイトルを手にしたのは、4歳馬のアルキメデスだった。2歳時には新馬戦を単勝1.5倍で勝ち上がり、昨年前半はアーリントンCプリンシパルSで③着。そして古馬との初手合わせだった江の島特別(6月)では①着ルルーシュから1馬身半差の②着になり、そこから秋へ向けてというところで脚部不安により1年近くの休養を強いられていた。

しかし、今年春に復帰すると1000万条件を2連勝。さらに、夏場を休んで前走の1600万・八坂Sでは重賞②&③着の実績を持つ3歳馬・バッドボーイを下し、ここはアーリントンC以来となる重賞再チャレンジの一戦だ。

もっとも、素質はもともと高く評価されていた上に、実績馬とはハンデ差のある55キロでG3なら壁もないだろうと、競馬ファンから1番人気の支持を受けていただけのことはある。直線前半では前が壁になってひやっとする場面もあったものの、残り300mあたりで前が開けば力強い末脚を繰り出して、4連勝での重賞タイトル獲得となった。

さて、今後はどの路線へ進むのか。ジャパンCを制した父アドマイヤムーンだが、その産駒の平地重賞勝ちは、これまで芝1600mが最長で(12年京成杯AHレオアクティブ)、アルキメデスはそれを更新したことになる。ただ、今回も道中は馬群に入れてなんとか我慢しながらの追走で、むしろマイルあたりのほうが競馬はしやすそうな印象もある。

また、そのマイル路線のG1・安田記念よりも前に(1年を経た後かもしれないが)。ダーレーの生産でモハメド殿下の所有馬となれば、ドバイデューティーフリー父子制覇を目指す道も考えられる。そこを目指すためには、実績面でもうひと押し、ふた押しが欲しいところ。いずれにしても、遠からずより大きな舞台にチャレンジする姿を見せて欲しいものである。