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ウリウリは「ドナウブルーの妹」のような存在
文/編集部(M)、写真/川井博


今年の京都牝馬Sで1番人気に推されたのは、これが引退レースになるドナウブルーだった。みなさんはドナウブルーに対して、どんな思い出があるだろうか?

G1タイトルには手が届かなかったものの、ヴィクトリアマイルで半馬身差の②着になったことや、牡馬相手のマイルCSで僅差の③着に入ったこと。平坦コースを得意にしていて、4歳夏の関屋記念では1分31秒5というレコードを樹立したことを思い出す人もいるだろう。

ただ、そんな自身の競走成績よりも、年度代表馬の妹を引き合いに出されて語られることが多かったように思う。ジェンティルドンナの姉」という呼ばれ方だ。

重賞タイトルをふたつ手に入れ、前述したようにG1でも好走をしたのだから、ドナウブルー自身の競走成績も立派なものだったが、いかんせん、妹が凄すぎたのかもしれない。だからといって、お姉ちゃんが妹のことを疎ましく思ったり、羨ましく感じることもなかったと思うが。

430~440kg台で、2~3歳時は重賞タイトルに縁がなかったドナウブルーに対して、牝馬三冠馬のジェンティルドンナは460~470kg台。早い時期から主役として輝き続けるジェンティルドンナよりも、今回の京都牝馬Sを制したウリウリの方がドナウブルーの妹」としてしっくりくるように感じるのは、私だけだろうか?

ドナウブルーは2歳時にデビュー2連勝を飾り、年明けのシンザン記念では1番人気に推された。しかし、そこで⑤着に敗れた後は、フィリーズレビューも1番人気で④着ニュージーランドT⑥着ローズS⑤着。秋には出直しを図るように自己条件の1000万に出走した(そこで③着→①着)。

重賞ではワンパンチ足りない競馬を続けていて、それを打ち破ったのが4歳時の京都牝馬Sだった。斤量52kgでの出走だったドナウブルーは勝負所で早めに上がって行き、前年覇者・ショウリュウムーンの追撃を振り切って優勝した。今年の京都牝馬Sは、その時以来、2年ぶりの出走だった。

今回のレースでもドナウブルーは先行力を活かし、早めの競馬で押し切りを狙った。しかし、最内に潜り込んで切れる脚を使った馬が現れ、3/4馬身だけ及ばなかった。優勝したのは、前走で1000万を勝ち、斤量が52kgだった4歳馬ウリウリだった。

ウリウリドナウブルーと同じディープインパクト産駒で、早い時期から注目された存在だった。ところが、初勝利を挙げた後はワンパンチ利かない競馬が続いた。白菊賞(500万)⑤着エルフィンS⑤着チューリップ賞⑥着アネモネS④着ドナウブルーの3歳春と似たような戦績だ。

ウリウリは夏の中京で500万を勝ち、ローズSでは僅差の③着に激走して再び注目を集めた。秋華賞(⑩着)を走った後、11月に衣笠特別(1000万)を快勝。今回はクラス的には格上挑戦での参戦だった。

デニムアンドルビーと接戦を演じたローズSでは、メイショウマンボに先着し、重賞でも好戦できる力を付けてきたことを示した。そのため、今回は、格上挑戦ながら2番人気に推されたのも納得できた。気になったのは7枠14番という外枠だった。

1回京都開催の芝は内枠有利で、それはこのレースの傾向でもあった。過去10年でふた桁馬番で優勝したのは1頭(06年マイネサマンサ・馬番12番)だけで、13番より外枠で優勝した馬は98年ビワハイジ(馬番13番)まで遡る。14番より外枠で優勝した馬は、86年以降では存在しなかった。

私自身は、レース前に、「外枠でもいつの間にか内に潜り込んでいることが多いから、外枠でも注意すべき鞍上」として、横山典騎手(ゴールデンナンバー)と岩田騎手(ローブティサージュ)を考えていたが、ウリウリ&浜中騎手のことはあまり注意していなかった。

ところが、ウリウリ浜中騎手はスタートするとすぐに馬を内に入れ始め、気づいた時には内ラチ沿いを走っていた。そのまま内を通り、直線でも内を突くと、メンバー中最速となる32秒9の上がりで差し切った。ドナウブルーとは斤量差が4kgあり、その差が出たと言えそうだが、浜中騎手頭脳プレーが光ったレースでもあった。

ウリウリの母ウィキウィキは、アルゼンチンのG1勝ち馬・リアルナンバーの娘で、アルゼンチンの牝系になる。ドナウブルーの母ドナブリーニ英国産で、欧州の牝系になるので、牝系はまったく異なるわけだが、ここまでの戦績同様、今後もウリウリドナウブルーに似た活躍をするのではないだろうか。

ドナウブルーは全5勝が京都&新潟で、直線に登り坂のあるコースでは勝ち鞍を得られなかったが、ウリウリはすでに中京芝で差し切ったことがある。平坦コースでの切れ味も存分で、様々なコースでの活躍が期待される。半馬身差の②着となったドナウブルーと同じように、今春のヴィクトリアマイルでも注目の存在となってくるだろう。

ドナウブルーは今回のレースを最後に繁殖入りするわけだが、最後までドナウブルーらしいレースを見せたと思う。4歳秋以降は勝ち星に恵まれなかったが、近3走でも32~33秒台の上がりを計時した。4歳時に京都牝馬Sを制した時が34秒6の上がりで、1分33秒8という走破時計だった。今年は33秒6の上がりで、1分33秒1。決して、力が衰えたわけではないことは記しておきたい。きっと良い母親になるだろう。

なお、今回の京都牝馬Sは、2頭いたディープインパクト産駒のワンツーとなったが、これで今年の京都芝重賞ディープインパクト産駒4連勝だ。京都金杯エキストラエンドシンザン記念ミッキーアイル日経新春杯サトノノブレス京都牝馬Sウリウリで、騎手で記すと、ルメール騎手浜中騎手ルメール騎手浜中騎手

2回京都開催では、シルクロードSきさらぎ賞京都記念という重賞が組まれている。2月も上記の傾向が続くか、注目しながら観戦したい。