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もっとも強い馬が“強くなければ勝てない”別定G2を制した
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也


“東海S”と名のつくレースは今年で31回目となるが、これまではさまざまに開催条件を変えている。

芝の準OP、ダートのOP特別だった時代を経て、重賞になったのは00年。09年までは改装される前の中京ダート2300mで開催されていたが、10~12年は京都ダート1900mに移り、ここまでが5月開催。新装後の中京ダート1800mで、1月開催に移ったのは昨年からで、実質的にはG3の平安Sと開催時期を入れ替える形となった。

昨年の今頃は「この時期にダートのG2って、なんだか違和感を感じるなあ」と思ったりもしていたが、よく考えてみると、1ヵ月後にG1のフェブラリーSが控えているのだから、その前哨戦としてG2が開催されるのは何もおかしくはない。

実際、昨年東海Sを制したグレープブランデーが、次走でフェブラリーSを制覇し、レースの価値を改めて高める結果となっている。

そして今年も、12年ジャパンCダートを制するなど実績最右翼の1頭だったニホンピロアワーズが、好位追走から直線早めに先頭に立って後続を突き放す横綱相撲を披露し、今年緒戦で圧倒的な強さを見せる形となった。

余談だが、自分自身が圧倒的1番人気の馬がいるレースを予想する時は、最初にその1番人気馬を嫌う要素を見つけることに腐心する癖がある

それだけに、今回のニホンピロアワーズ「左回りの好走実績がない」というポイントがあったために、少し疑ってしまったのだが……そんな細かいことを吹き飛ばせるほど強かったということなのでしょうね。

たとえばハンデ戦のG3と別定戦のG2ではメンバーのレベルが異なり、もちろん後者の方がメンバーが強い傾向がある。

「メインレースの考え方」でも示されているように、東海Sもまた“格”がものを言う。「地位が人を作る」という言葉があるが、それと似たような感じで、レースの格が好メンバーを集め、さらにレースの格を高める相乗効果を生むのだろう。

それを裏付けるデータがひとつあって、昨年1月から10月までに芝ダートを含めた1800m以上の古馬混合の別定&定量G2は12レース開催されているが、その勝ち馬の共通点として、以下のものがあった。

①12頭のうち11頭が過去に重賞勝ちあり

②12頭のうち9頭が後にG1で③着以内か、G2勝ちあり

要するに、中距離以上の別定G2は強くなければ勝てないし、だからこそ勝った馬はその後も好成績を残す傾向があるのだろう。

今回で重賞6勝目となるニホンピロアワーズに対し、わざわざ“強い”と言うのも逆に失礼な気もするが(笑)、改めて言うまでもなく、ニホンピロアワーズはまだまだ活躍を続けることだろう。ここで左回りを克服したのだから、今回と同じ舞台で開催される年末のチャンピオンズCはもちろん、未経験のダート1600m=フェブラリーSでどうか、見てみたい気もする。

ところで、昨年の東海Sレースインプレッションを読み返してみると、浅田知広氏がこう記している。

「来年の今ごろは『やっぱり東海SはG2で良かったね』と言えるようになっているのかどうか、これからのグレープブランデーの走りに注目だ」

浅田さん、やっぱり東海SはG2で良かったようです(笑)。