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主流の桜花賞直行で2強の一角を崩すチャンスは十分あり!?
文/浅田知広、写真/森鷹史


正月開催や、4月29日固定だった時代の春の天皇賞以外で、果たして火曜日に中央競馬が行われるのはいつ以来なのか。ずいぶん長いこと見ていない気もしたのだが、人間の記憶のなんといい加減なこと。なんのことはない、昨年9月16日(祝・月)が台風で中止になって翌17日に代替されてから、まだ半年も経っていなかった。

しかし、月火開催というのは01年以来(火曜の東京新聞杯チェックメイトが優勝)。また、当時は当該週土日分の順延で、前週中止分が絡んでの月火開催は異例も異例、ということになる。

そんな変則開催の中でも、3日ずれただけで済んだクイーンC。長距離輸送の絡む関西馬の出走も今年は1頭だけで、影響は比較的少なかった、と言ってもいいだろう。馬体重がふた桁の増減になった馬も2頭にとどまった。

その2頭は、マイナス10キロだった2番人気のデルフィーノ(前走はプラス8キロ)と、プラス12キロで3番人気のマジックタイム(前走はマイナス12キロ)。そして1番人気のフォーエバーモアは、前走のプラス2キロから増減なし。今回の増減こそまちまちでも、前々走比では大差ないところに落ち着いており、上位人気3頭はいずれも特に問題なさそうな仕上がりに見受けられた。

桜花賞まで間があるこの時期にそんな仕上がりで良いのかという面もあるものの、ここで賞金さえ稼げれば桜花賞直行が主流になっているのが現在のクイーンCである。

昨年の優勝馬・ウキヨノカゼは出走体勢が整わず休養中だが、12年のヴィルシーナ、11年のホエールキャプチャ桜花賞直行で②着に好走。それ以前は東京開催最終週や開幕週に行われており、直行で連対したのは96年のイブキパーシヴ(このレース①着)と、08年のエフティマイア(同⑥着)くらい。3年で2頭の連対馬を出す現在の「東京開催3週目から桜花賞直行」は好相性だ。

もっとも、それができるのはすでに賞金を稼いでいるか、ここで賞金を加算してこそ。阪神JF③着のフォーエバーモア、同⑥着のマジックタイムは賞金900万で、デルフィーノは1勝馬。上位人気3頭はなんとか②着までに入って賞金を加算しないことには、そんなのんびりしたローテーションなど組めなくなる立場だった。

その3頭のスタートは、マジックタイムが「いつも通り」の出遅れ。フォーエバーモアは掛かり加減に2番手まで進出する形となり、互角に出て中団につけたデルフィーノがもっとも無難に思われたレース序盤だった。

ところが、競馬というのはわからないもので、直線に入ると、その無難に運んだデルフィーノが内にもたれ通しで競馬にならず、⑭着大敗を喫してしまったのだ。改めて同じ東京の新馬戦を見直すと、大勢には影響ない程度ながらも確かにもたれる面は見せており、重賞の今回はそれが大きく響く形になった。

一方、2番手に「なってしまった」とも言えるフォーエバーモアは、直線半ばまでまったくの馬なりで、後続が来るのを待つだけ待ってからの追い出しである。

そして、やって来た「後続」は出遅れたマジックタイムだったが、こちらは直線入口で完全に前が詰まって右往左往。ようやく内に進路が開いたと思ったら、その前では後続を待っていたフォーエバーモアが、馬群にフタをする形で立ちふさがっていたのだ。

終わってみれば、勝ったフォーエバーモアと②着マジックタイムの着差はクビ。それぞれ序盤はロスのあった2頭だが、同じロスでも「前には進むロス」をしていたフォーエバーモアが、「前へ行けないロス」のあったマジックタイムを抑えて勝利を手にする結果となった。

前回の月・火開催、2001年はペリエ騎手が月曜の根岸S①着(ノボトゥルー)、火曜の東京新聞杯③着(スティンガー)と両レースで馬券に絡んでいたが、今年の蛯名騎手東京新聞杯ホエールキャプチャに続く、月・火の重賞2連勝

そしてホエールキャプチャといえば先にも触れたように、11年のクイーンC優勝から桜花賞に直行して②着に好走した馬である(当時は池添騎手)。

今年の3歳牝馬はレッドリヴェールハープスター2強と言われているが、阪神JFでその2強と叩き合い、同タイムの③着に好走したフォーエバーモアにも、一角を崩すチャンスは十分にありそうだ。