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次こそは「本来の走り」を見せてくれるはず
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也


京都競馬は、15日(土)は降雪の影響でコース変更発走時刻の変更があったものの12レース無事に終了し、16日(日)は概ね予定通りのスケジュールで行われた。開催中止に見舞われた東京競馬を思えば、一競馬ファンとしては競馬が開催されただけでもありがたく、それはまた開催へ向けて尽力された関係者の方々のおかげでもあるから感謝したい。

出走馬12頭が無事ゲートインした京都記念は、12頭中8頭が今年初戦。この後に海外遠征を控えている馬もいれば、明け4歳で古馬との力試しという印象の馬、低迷からの脱却をはかりたい馬など、このレースに挑むにあたっての思惑はそれぞれという感じだったが、まず注目すべき点は「女王ジェンティルドンナのレースぶりと結果」だったはず。

ジェンティルドンナの過去13戦を振り返ると、敗戦を喫したのは新馬戦(②着)、チューリップ賞(④着、中7週)、ドバイシーマクラシック(②着、4ヵ月ぶり)、宝塚記念(③着、3ヵ月ぶり)、天皇賞・秋(②着、4ヵ月ぶり)で、新馬戦以外は中7週以上という点で共通している。中5週以内では7戦7勝で、間隔を詰めて使ったほうが良いことは戦績を見れば明らか(今回は2ヵ月半ぶり)。

斤量56kgでは③②着とG1ながら勝ち切れておらず、雨の影響で重たい馬場だった昨年の宝塚記念ゴールドシップダノンバラードの後塵を拝したことからも、道悪にも一抹の不安を残した。パドックではチャカついてもいて、逃げ馬不在でスローペース濃厚なメンバー構成を考えると、折り合い面の不安も噴出してくる。

だが、そういった不安材料をあっさりと覆して勝利を手繰り寄せられるだけの「地力」ジェンティルドンナにはある。単勝1.6倍の圧倒的1番人気には、そういうファン心理も反映されていたように感じた。ところが…直線で伸びを欠いた女王はキャリア初の掲示板外(⑥着)に敗れるというまさかの結果に。

睡魔と闘いながら観戦していたソチ五輪のスキージャンプ女子個人ノーマルヒル。今季ワールドカップで13戦10勝という圧倒的な強さを誇り、メダル獲得が有力視されていた高梨沙羅選手が4位に敗れたのもショックだったが、ジェンティルドンナの今回の敗戦にも同様にショックを受けたファンも多かったのではないだろうか。

好位につけたもののゲートを潜ろうとする仕草を見せて出負け気味、1000m通過63秒7のスローペースで折り合っているように見えていくらか力み気味。4コーナーでトゥザグローリーに外から被せられた時には手応えが怪しく、その瞬間に宝塚記念ゴールドシップに外から被せられた時のことが思い起こされた。

いくつかの不安材料リズムを崩した感のあるレースぶりが絡み合い、G1・5勝の女王とすれば「ショックな敗戦」を招いてしまったと思われるが、逆に言えば、敗因として思い当たる点は前記したようにいくつか挙げられ、少なくとも不可解な大敗とは思えない。

高梨沙羅選手は試合後のインタビューで、「良い結果を出せなかったことはすごく残念ですが、またこのオリンピックに戻って来られるように、もっともっとレベルアップしていきたいと思います」と気丈な様子で前を見据えて話していた。

走ることに対して前向きで叩き良化型のジェンティルドンナも、次こそは「本来の走り」を見せてくれるのではないだろうか。ちなみに、ジェンティルドンナ休み明け(中9週以上)以外だとG1で5戦5勝だ。

一方、G1馬2頭(ジェンティルドンナトーセンラー)を撃破して昨年のステイヤーズSに続く重賞制覇を果たしたデスペラード。仕掛けてハナを奪うとスローペースに落としての逃げ。4コーナーで後続に迫られ、直線では馬群に沈みかけながらも盛り返して再び先頭を奪い返し、大外から鋭伸してきたトーセンラーの追撃も振り切って先頭でゴールを駆け抜けた。

横山典騎手はレース後のインタビューで、「今回は4回目の騎乗で、上手くコンタクトができました。いろいろな競馬ができると思います」などと淡々と話していたが、ついこの前まで追い込み一手だった馬ですよ(笑)。

2回目の騎乗(ステイヤーズS)では先行させて、4回目の騎乗では逃げさせて、いずれも勝利に導いているのだから、これぞ“横典マジック”だろう。

デスペラードはおそらくこの後、天皇賞・春を目指すことになるはず。昨年は最後方から追い込み届かず⑨着だったが、横山典騎手とのコンビで自在性を身に付けたニュー・デスペラードは、先行馬が止まりづらいような馬場でも卒なく立ち回るのではないだろうか。