イスラボニータとサトノアラジンの差は決定的なのか?
文/編集部(M)、写真/米山邦雄
昨年は
1分46秒0という高速決着になった
共同通信杯だが、今年は2秒以上遅い
1分48秒1という勝ち時計だった。ただ、
ゴールドシップと
ディープブリランテの争いとなった一昨年は1分48秒3という決着で、
勝ち時計とレースレベルが直結しないのはこのレースの特徴と言える。なので、その点は今後も気にしなくていいだろう。
1番人気に推された
イスラボニータと2番人気の
サトノアラジンは
東スポ杯2歳S以来の再戦で、当時は人気が逆だった(1番人気が
サトノアラジン、2番人気が
イスラボニータ)。そこで①着(
イスラボニータ)と⑤着(
サトノアラジン)になり、その結果が今回の人気にも引き継がれる格好になった。
東スポ杯2歳Sでは、
サトノアラジンの方が枠が外(5枠9番)で、休み明け(3ヶ月ぶり)でもあった。
イスラボニータは中3週の臨戦で最内枠でもあり、レースでも内枠を利して上手く立ち回った印象だった。
今回は
イスラボニータの方が枠が外(5枠7番)で、休み明け(3ヶ月ぶり)だったので、中8週で4枠5番の
サトノアラジンに逆転の目がある、と睨んでいた。ところが……
結果は変わらず。2頭の差は、
東スポ杯2歳Sが
0秒4で、今回の
共同通信杯が
0秒5。現時点では決定的な差が付いている。
春のクラシックへ向けて、
イスラボニータが視界良好なのは当然だろう。一方の
サトノアラジンについては、このままでは
ワンパンチ足りないという評価を下されかねない。う~ん、しかし、それにはどうにも承服しかねる。
サトノアラジンはここ3戦で、
まともな競馬ができていないからだ。
前走の
ラジオNIKKEI杯2歳Sも③着だったが、道中でスムーズさを欠いていた。今回も向こう正面で下げさせられる場面があり、そこからスローペースで外を抑えきれない感じで上がって行き、直線で脚が上がってしまった。明らかにロスが大きかった。
レースが上手ではないと言ってしまえば、それまでなのかもしれない。でも、そのような形でも
重賞で好走する力を持っていて、
スムーズに走れたらどれだけの力を発揮するのだろう?と想像してしまう。
父ディープインパクト×
母父ストームキャットというニックス配合の馬だからか? 2011年セレクトセールで
1億3000万円で購買された高額馬だからか? いずれにしても、私は
サトノアラジンの実の親でもなんでもないが、
「あなたはやればできる子なのよ!」と応援したくなる(笑)。
本当にやればできるのかどうかは、おいおい判明すると思うが、
春のクラシックに対しては時間がないのも事実だ。近3走が重賞で⑤着、③着、③着という成績で、銅メダルをふたつ獲得しているものの、競走馬の世界では
銅メダルと
金&銀メダルでは大きな違いがある。
重賞での②着なら賞金を加算できるが、③着では加算されない。
サトノアラジンは、現時点では
1勝馬という扱いでしかない。
やればできる(はずの)子・
サトノアラジンは、今後、どのレースに向かうのだろうか。未完の大器が完成されるのはいつの日か。その時が一日でも早くやってくることを期待したい。
その
サトノアラジンを今回も一蹴した
イスラボニータは、休み明けで5枠7番という枠順だったが、今回も
レース巧者ぶりを見せつけた。これまでは行きたがる面を見せていて、臨戦過程や枠順を考えれば前走の
東スポ杯2歳Sよりも簡単ではないだろうと思っていたが、内容は前走以上だった。
今回の1000m通過は
62秒2で、これは
東スポ杯2歳S(
59秒6)よりも2秒以上遅い。それでも好位のインに収まると、行きたがる面もほとんど見せずに折り合った。直線に入っても手応えは楽で、この時点で
勝負あったという感じだった。
キャリア5戦はすべて左回りの1800m以下で、
東京芝では4戦4勝。
NHKマイルCなら優勝候補筆頭となって不思議ないが、3歳牡馬クラシックは
2000m以上で、
皐月賞&
菊花賞は右回りでもある。今後は距離と右回りの克服が課題となってくるのだろう。
今回のソツのないレースぶりを見れば、小回りの
中山がダメとは思えない。
フジキセキ産駒でもあるから、やはり今後の最大のポイントは
距離ではないだろうか。
フジキセキ産駒はJRAの
芝G1で7勝をマークしているが、いずれも1600m以下で、
2000m以上だと[0.6.1.63]。中山の芝重賞では5勝を挙げていて、5勝すべてが
馬番10番以内、5勝中4勝が
馬番6番以内となっている。
イスラボニータは自身の折り合い面を考えても、
皐月賞では
内目の枠がほしいところだろう。