ハクサンムーンとの付き合い方がよく分からない
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
相性が良いというか、なぜか
波長の合う馬がいないだろうか? 私の場合、
リアルインパクトがそれで、彼とはなぜか(馬券の)リズムが合う。
リアルインパクトはこれまでに重賞を2勝(
安田記念、
阪神C)していて、どちらも穴ぐさ💨だったが、いずれも私が指名したものだった。
安田記念が9番人気、
阪神Cが8番人気だった。
久々の重賞制覇を飾り、今回の
オーシャンSでは上位人気(2番人気)に推されていたが、今回はあまり厚くは買わなかった。
1200mが初めてだったことがその理由で、結果、ゲートで大きく出遅れて⑧着に敗れてしまった。
偉そうに記したが、別に
リアルインパクトの好走時と凡走時を完璧に見分ける術を得ているわけではなく、期待した時に期待以上に走ってくれて、そうではない時は走っていないだけだと感じている。たまたま
バットと
ボールが合ってるような感覚で、なぜか
波長が合うとしか言いようがない存在なのだ。
一方、どうにも
波長が合わない馬もいて、現在のその筆頭格が
ハクサンムーンだ。3歳時までの彼は[5.0.0.7]という成績で、勝つか負けるかという極端なレースを繰り返していた。連勝がなく、間隔が空いた時は成績が良くないという特徴があったので、
狙いも立てやすかったことを記憶している。
昨年の
オーシャンS(4歳初戦)も、勝ち鞍を挙げた後で休み明け(3ヶ月ぶり)でもあったので、軽視した(3番人気で⑨着)。そこまでは良かったのだが、次走の
高松宮記念でもあまり評価せず、10番人気で③着に激走した時から歯車が合わなくなってしまった。
CBC賞は休み明け(3ヶ月ぶり)だったので見送ったらクビ差の②着に粘り込み、
セントウルSでは連勝がないからとの理由で①着で買わなかったら、
ロードカナロアの追撃をクビ差凌いで勝利した。
スプリンターズSで
32秒9という超ハイペースで逃げて②着に粘り込み、
「さすがに過去とは馬が違うな」と思って、休み明け(5ヶ月ぶり)でも信頼したのが今回のレースです(苦笑)。かつての
淡泊さが戻ったようなレースをされてしまうとは……
付き合い方がよく分かんないんですけど!ハクサンムーンは
高松宮記念ではどうすればいいんだろうか? 軽視したらあっさり巻き返してきそうだし、自信を持って買って来なかったら、それはそれでかなり恥ずかしいし。私にとっての
リアルインパクトと同じように、
なぜかハクサンムーンとは波長が合うという方がいたら、ご一報ください。
リアルインパクトが出遅れて流れに乗れず、
ハクサンムーンが失速する中、優勝したのは今回が初OPの
スマートオリオンだった。ただ、
スマートオリオンはOP実績がなかっただけで、
芝1200mでは[4.3.0.0]とまったく崩れていなかったから、
良好な関係を築いてきた人も多くいたことだろう。
芝1200mの持ち時計(1分8秒3)が速くなく、その点が心配されたが、例年よりも時計のかかる
今の中山の馬場も味方したのだろう(今回の決着タイムは1分8秒9)。最内枠の利点を活かし、
横山典騎手が先週の
中山記念(
ジャスタウェイ)に引き続いてイン差しを決めた。
オーシャンSでは、ここで
重賞初制覇というケースが度々見られ、そのようなタイプでは、昨年の
サクラゴスペル、09年の
アーバニティ、08年の
プレミアムボックスなどがいる。ちなみに、名前を挙げた3頭はいずれも
連勝でこのレースを制している。
重賞となってからの
オーシャンSは、勝ち馬の7頭中6頭が次走で
高松宮記念に参戦していて、
キンシャサノキセキが2010年に連勝で
G1制覇を果たしている。ただ、
キンシャサノキセキは
オーシャンS以前にも重賞勝ちがあり、すでに
G1での好走歴もあった。
昨年優勝した
サクラゴスペルは次走の
高松宮記念で僅差のレースをしたものの④着(0秒3差)で、
キンシャサノキセキ以外の
オーシャンS勝ち馬は次走の
高松宮記念で馬券に絡めていない。今年の
スマートオリオンは、次走で
高松宮記念に参戦するとしたら、芝1200mではまだ底を見せていない魅力でどこまで戦えるかではないか。
スマートオリオンに関して少し不思議に思うのは、
父&母父が現役競走馬時代に活躍した距離とズレがあることだろう。父が
グラスワンダー、母の父が
ウイニングチケットで、この2頭を考えると、距離は
2000m以上の方が合いそうな印象を受ける。
母の
トロピカルレディーが短距離型で、おそらくそのスピードは母から、そして母の母父である
ロイヤルスキーから受け継いでいるのだろう。逆に言えば、スピード色が強すぎる配合ではないので、
厳しいペースでも最後まで伸びて来られそうな血統背景をしている。そのことは覚えておくといいかもしれない。
いずれにしても、
スマートオリオンは、これで芝1200mでは[5.3.0.0]とまったく崩れておらず、今後もスプリントの
重賞タイトルを増やしていくことだろう。
安定した成績を残している馬を軽視して好走されると、
その後の付き合い方に支障をきたすケースが多々ある。このような馬は崩れるまでしっとりとお付き合いを続けていくべき、というのがこれまでの経験則での印象だが……果たして
スマートオリオンは次走でどんな走りを見せてくれるだろうか。