新装・ファルコンSの立ち位置はより一層明確になりそう
ファルコンSが新装後の中京芝1400mで行われたのは12年から。過去2年の出走馬のその後を見てみると、のちの重賞ウイナーが4頭出ている。
芝短距離重賞3勝(12年京阪杯、13年アイビスSD、13年セントウルS)のハクサンムーンは「なるほど」、マイル重賞(12年京成杯AH)を制したレオアクティブは「それもあり」という感じ。ここまでは想像しやすい範囲だが、ブライトラインはファルコンSに続く重賞2勝目がダート(13年みやこS)で「そう来るか」と。
トウケイヘイローはマイル重賞(13年ダービー卿CT)を制したところまでは「それもあり」だったが、その後は芝2000m重賞3勝(13年鳴尾記念、13年函館記念、13年札幌記念)を挙げてサマー2000シリーズ王者に輝き、昨年暮れの香港Cで②着に好走。「なんじゃそりゃ!?」と言いたくもなる変貌ぶりである。
多方面にのちの活躍馬を送り出している新装・ファルコンSだが、本来の役割はNHKマイルCを目指す馬にとってひとつの経由点のはずで、距離は1400mながら左回りで坂があって直線も長めと本番に近い。
昨年の勝ち馬インパルスヒーローがファルコンSからNHKマイルCに直行して②着に好走したことで、このローテーションが定着するかもしれないと思ったところ、同じ国枝厩舎で朝日杯FS②着馬ショウナンアチーヴが参戦してきたが、⑥着という結果に終わった。
ハイペースの差し決着の中、上位馬と同じ後方から進めながらの掲示板外はやや物足りなく感じるが、直線入口で前が壁になって追い出しを待たされる場面があり、3ヵ月ぶりで57kgを背負いながら0秒4差なら悲観する内容ではない。
そのハイペースのレースレコード決着(1分21秒2)を制したのはタガノグランパで、2番手から粘り込んだ前走のアーリントンC②着から末脚勝負に戻して重賞初制覇。直線で馬群に突っ込んだショウナンアチーヴとは対照的に、直線で大外に持ち出してスムーズに加速しての差し切り。
前半3F-4Fは33秒0-44秒9で、参考までに過去2年の高松宮記念は12年が34秒5-46秒1、13年が34秒3-45秒5。古馬のスプリントG1より速いハイペースでは前崩れも仕方なしという感じだが、その流れを後方につけ、しっかりと脚を温存させて直線で爆発させた福永騎手の手綱捌きも見事だろう。騎乗停止明けの週で鮮やかに重賞を制するあたりは役者だ。
タガノグランパはこの後、皐月賞かNHKマイルCに進む模様だが、父キングカメハメハ×母父スペシャルウィークというダービー馬配合から言えば、クラシック路線を歩んでいてもまったく違和感がない。
ただ、芝1400mで①①①着、芝1600mで③②着、芝2000mで⑤着という距離成績に加え、左回りで2戦2勝という点を加味すれば、NHKマイルCに向かうのがベターのようにも思われる。NHKマイルCで2戦2敗の宿敵ミッキーアイルと再び激突するというのも競馬ファンとしては興味をそそられるのではないか。
一方、②着のサトノルパンは賞金を加算したことでNHKマイルC直行となる模様。大きく出遅れながらもタガノグランパにクビ差まで迫った内容から、「ゲートが五分だったら…」と思わせる惜敗で負けて強し。
芝1400～1600mは③②①①②着、左回りは①②着で、距離や回りを考えるとNHKマイルCはピッタリ。兄クラレントは12年NHKマイルC③着だが、兄を超えるには発馬がポイントになりそうだ。
ひとまず、今回ハイペースを先行して失速した馬の巻き返しには注意するとして、タガノグランパとサトノルパンは昨年のインパルスヒーローようにNHKマイルCで好走できるか。それでもショウナンアチーヴが巻き返すのか。いずれにしても、新装・ファルコンSの立ち位置は今回の出走馬のNHKマイルCでの結果によってより一層明確になりそう。
長期的展望では、どの馬がのちに重賞を制するのか、それがどの方面なのか。そういった点まで注目しておくと、新装・ファルコンSをより深く味わえるのではないだろうか。
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也
ファルコンSが新装後の中京芝1400mで行われたのは12年から。過去2年の出走馬のその後を見てみると、のちの重賞ウイナーが4頭出ている。
芝短距離重賞3勝(12年京阪杯、13年アイビスSD、13年セントウルS)のハクサンムーンは「なるほど」、マイル重賞(12年京成杯AH)を制したレオアクティブは「それもあり」という感じ。ここまでは想像しやすい範囲だが、ブライトラインはファルコンSに続く重賞2勝目がダート(13年みやこS)で「そう来るか」と。
トウケイヘイローはマイル重賞(13年ダービー卿CT)を制したところまでは「それもあり」だったが、その後は芝2000m重賞3勝(13年鳴尾記念、13年函館記念、13年札幌記念)を挙げてサマー2000シリーズ王者に輝き、昨年暮れの香港Cで②着に好走。「なんじゃそりゃ!?」と言いたくもなる変貌ぶりである。
多方面にのちの活躍馬を送り出している新装・ファルコンSだが、本来の役割はNHKマイルCを目指す馬にとってひとつの経由点のはずで、距離は1400mながら左回りで坂があって直線も長めと本番に近い。
昨年の勝ち馬インパルスヒーローがファルコンSからNHKマイルCに直行して②着に好走したことで、このローテーションが定着するかもしれないと思ったところ、同じ国枝厩舎で朝日杯FS②着馬ショウナンアチーヴが参戦してきたが、⑥着という結果に終わった。
ハイペースの差し決着の中、上位馬と同じ後方から進めながらの掲示板外はやや物足りなく感じるが、直線入口で前が壁になって追い出しを待たされる場面があり、3ヵ月ぶりで57kgを背負いながら0秒4差なら悲観する内容ではない。
そのハイペースのレースレコード決着(1分21秒2)を制したのはタガノグランパで、2番手から粘り込んだ前走のアーリントンC②着から末脚勝負に戻して重賞初制覇。直線で馬群に突っ込んだショウナンアチーヴとは対照的に、直線で大外に持ち出してスムーズに加速しての差し切り。
前半3F-4Fは33秒0-44秒9で、参考までに過去2年の高松宮記念は12年が34秒5-46秒1、13年が34秒3-45秒5。古馬のスプリントG1より速いハイペースでは前崩れも仕方なしという感じだが、その流れを後方につけ、しっかりと脚を温存させて直線で爆発させた福永騎手の手綱捌きも見事だろう。騎乗停止明けの週で鮮やかに重賞を制するあたりは役者だ。
タガノグランパはこの後、皐月賞かNHKマイルCに進む模様だが、父キングカメハメハ×母父スペシャルウィークというダービー馬配合から言えば、クラシック路線を歩んでいてもまったく違和感がない。
ただ、芝1400mで①①①着、芝1600mで③②着、芝2000mで⑤着という距離成績に加え、左回りで2戦2勝という点を加味すれば、NHKマイルCに向かうのがベターのようにも思われる。NHKマイルCで2戦2敗の宿敵ミッキーアイルと再び激突するというのも競馬ファンとしては興味をそそられるのではないか。
一方、②着のサトノルパンは賞金を加算したことでNHKマイルC直行となる模様。大きく出遅れながらもタガノグランパにクビ差まで迫った内容から、「ゲートが五分だったら…」と思わせる惜敗で負けて強し。
芝1400～1600mは③②①①②着、左回りは①②着で、距離や回りを考えるとNHKマイルCはピッタリ。兄クラレントは12年NHKマイルC③着だが、兄を超えるには発馬がポイントになりそうだ。
ひとまず、今回ハイペースを先行して失速した馬の巻き返しには注意するとして、タガノグランパとサトノルパンは昨年のインパルスヒーローようにNHKマイルCで好走できるか。それでもショウナンアチーヴが巻き返すのか。いずれにしても、新装・ファルコンSの立ち位置は今回の出走馬のNHKマイルCでの結果によってより一層明確になりそう。
長期的展望では、どの馬がのちに重賞を制するのか、それがどの方面なのか。そういった点まで注目しておくと、新装・ファルコンSをより深く味わえるのではないだろうか。