同世代のオルフェーヴルが乗り移ったかのような強さだった
文/編集部(T)、写真/米山邦雄
1番人気
ウインバリアシオンは2.0倍、2番人気
フェノーメノが3.7倍。人気はこの2頭に集中する形となったが、レースでは明暗を分けた。
ウインバリアシオンはスローペースだったこともあって行きたがる場面もあったが、
岩田騎手が馬群の中に入れて落ち着かせる。3角過ぎから大外を通って一気に進出すると、直線入口で先頭に立ってそのまま押し切り。一方、9ヵ月ぶりだった
フェノーメノは前に馬を置くことができず、直線でも伸びを欠いて⑤着に敗れた。
それにしても、
ウインバリアシオンは
同世代のオルフェーヴルが乗り移ったようなレースぶりだった。
変化は長期休養明け2戦目となった、前走の
有馬記念で感じていた。
オルフェーヴルの
8馬身差圧勝の陰に隠れてしまっていたが、その時の
ウインバリアシオンの位置取りは
9-11-12-4。
自ら動いて②着に食い込んだレースぶりは、少なからず驚きではあった。
というのも、それまでは新馬戦を除く13頭立て以上のレースで4角7番手以内だと④⑤④着だった。例えば、
12年宝塚記念の位置取りは
12-11-8-6で自ら動いていったが、
11-11-12-12で突き抜けた
オルフェーヴルに対し、こちらは直線で伸び切れず④着に敗れている。
これまでの
ウインバリアシオンは、悪く言えば
他力本願で、自分から動くと直線で甘くなりがちだったのが、
有馬記念では
自分から動いて好走したのだ。
これまで、
オルフェーヴルが自滅した
12年天皇賞・春を除き、
ウインバリアシオンは6回、オルフェーヴルの後塵を拝してきた。そのうち、前述の
12年宝塚記念、3歳時の
きさらぎ賞を除くと、すべて4角では
オルフェーヴルが
ウインバリアシオンより前か、同じ位置取りにいた。
「俺も自分で動けるようになれば……」と
ウインバリアシオンが思ったかどうかは別として、自ら動いていって突き抜ける
オルフェーヴルのレースぶりは、
ウインバリアシオンに対して明らかな強みだった。
それが、今回は前述のような強い内容を披露。前走の
有馬記念で圧勝した
オルフェーヴルが、同世代の
ウインバリアシオンに勝ち方を教えつつバトンを渡した結果……と考えるのは、さすがに感傷的すぎるだろうか(笑)。
それはともかく、今回の
ウインバリアシオンは
11年青葉賞以来、2年11ヵ月ぶりの重賞制覇となった。今回鞍上を務めた
岩田騎手は先週の
阪神大賞典も
ゴールドシップで制しており、どの馬に騎乗するか嬉しい悩みが増えたかもしれない。
その
阪神大賞典で高らかに復活を告げた
ゴールドシップは5歳世代。そして、このレースでは6歳馬
ウインバリアシオンが
オルフェーヴル世代健在を見せつけた。来週の
大阪杯では4歳馬
キズナ、
メイショウマンボが負けじと名乗りを上げられるだろうか。それとも、香港遠征を発表した
エピファネイアが壮行レースを飾るだろうか。
さらに、今回敗れた5歳馬
フェノーメノも一度使われた上積みが見込めるはずで、
ディフェンディングチャンピオンとして黙ってはいないだろう。
いずれにしても、今年の
天皇賞・春は各世代のトップホースが集う、面白いレースが見られそうだ。