他の関東馬とともに春のG1シリーズを盛り上げてほしい
文/編集部(W)、写真/濱田貴大
出走馬のうち、重賞で連対経験があったのは
アズマシャトルだけ。その連対というのも、①着
ワンアンドオンリー(次走で
弥生賞②着)、③着
サトノアラジン(次走で
共同通信杯③着)、⑤着
タガノグランパ(その後、
シンザン記念③着、
アーリントンC②着、
ファルコンS①着)と、のちの重賞好走馬が上位を占めた
ラジオNIKKEI杯2歳Sでの②着である。
前走の
弥生賞で初の連外に敗れたとはいえ、休み明けで初の関東遠征だったことを考えれば悲観することのない⑥着。関西圏では
①②②着と連外がなく、阪神芝外回りでは上がり33秒6で
②着があり、巻き返しの要素が多いと思われた今回は、
アズマシャトルが1番人気に推されるものだとばかり思っていた。
ところが、蓋を開けてみれば
アズマシャトルは4.4倍の2番人気。その
アズマシャトルを抑えて3.7倍の1番人気に支持されたのは、昨年の勝ち馬
キズナと同配合(
父ディープインパクト×
母父ストームキャット)の
ラングレーだった。
ディープインパクト産駒は11年②&③着(
コティリオン、
トーセンレーヴ)、12年①&②&③着(
ヒストリカル、
マウントシャスタ、
スピルバーグ)、13年①着(
キズナ)と、産駒デビュー以来、
毎日杯で大暴れしていただけに、血統背景が
ラングレーの人気を押し上げた最大の要因と思われる。
とはいえ、
ラングレーは東京芝で33秒台の上がりを使って
2勝していて、重賞では
④⑩着ながら
東京スポーツ杯2歳Sは前記した
サトノアラジンに先着となる④着。同じ直線距離の長い阪神芝外回りなら重賞でも…と、ここまでの戦績から直線で末脚を爆発させた昨年の
キズナのような勝ち方を期待した人も多かったのかもしれない。
その
ラングレー。手応え良く4コーナーを通過して直線に入り、先に抜け出した同じ
ディープインパクト産駒の
ステファノスを追うように、
アズマシャトル、
パドルウィールと並んで外目から脚を伸ばすが、
ジリジリとした感じでなかなか差が詰まらない。
そうこうしているうちに、内枠から内、内を回ってロスなく立ち回っていた
エイシンブルズアイ、
マイネルフロストが内から進出。伸びあぐねる外の各馬を交わして
エイシンブルズアイが先頭へ。このまま押し切るかというところに、猛追してきた
マイネルフロストと馬体が重なってゴール。
上位3頭が
1分46秒7の同タイムで走破した
大接戦は、出走馬中で唯一の関東馬
マイネルフロストがハナ差で
エイシンブルズアイに競り勝ち、重賞で
⑤⑦④着だった鬱憤を晴らす勝利に。③着はクビ差で
ステファノス。
ラングレーは0秒1差の④着、
アズマシャトルは0秒2差の⑤着で善戦止まりに終わった。
ステファノスが③着に入り、4年連続で馬券圏内という記録は繋いだとはいえ、今年は
ディープインパクト産駒爆発とはならず。ただ、
マイネルフロストの父は
ブラックタイドで、
ディープインパクトの全兄。
毎日杯では
ディープインパクト産駒とその兄弟の産駒も注目ということか。
話は変わって、90年以降の
毎日杯③着以内馬の3歳限定G1レース成績を見ると、
NHKマイルCが
[5.1.1.4]、
ダービーが
[3.3.1.34]、
皐月賞が
[1.0.1.26]、
菊花賞が
[0.1.2.13]、
エリザベス女王杯(92年当時)が
[0.0.0.1]となっている。
NHKマイルCでは5頭の勝ち馬(96年
タイキフォーチュン、01年
クロフネ、04年
キングカメハメハ、08年
ディープスカイ、10年
ダノンシャンティ)が出ていて、
好走率もかなり高い。逆に、
皐月賞の連対馬は99年①着
テイエムオペラオーのみと、
関連性は希薄になっている。
ダービーは
NHKマイルCと同じく③着以内馬が7頭いるが、全体の出走数が
NHKマイルCの4倍近く、好走率では
NHKマイルCに見劣る。また、勝ち馬3頭(04年
キングカメハメハ、08年
ディープスカイ、13年
キズナ)は、
毎日杯で②着以下に2馬身半差以上をつけていて、
ダービーでは1番人気に推されている。
マイネルフロストはこの後、
ダービーを大目標にして調整されていく模様。のちの
ダービー馬のパフォーマンスと比較すると、正直、ハナ差の勝利では強調しづらいが、折り合いを考えると、芝1600mは
未経験ながら
NHKマイルCは合いそうな気がする。
ノーザンダンサーのクロスと母系に
ロベルトと
レリックの血を内包している
父サンデー系ということでは、昨年の
NHKマイルCを制した
マイネルホウオウと同じ。
ダンチヒの4×4のクロスも持っていて、血統的にもフィットしそうで、
柴田大知騎手とのコンビ継続で臨めば…、と期待感は増すばかり。
といった外野の期待はさておき、
マイネルフロストには
NHKマイルCであれ、
ダービーであれ、同じ関東馬の
アジアエクスプレス、
イスラボニータ、
ロサギガンティアなどとともに、春のG1シリーズを盛り上げてほしいものだ。