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“テスコボーイの6代目”を期待させる差し切り勝ちだった
文/編集部(T)、写真/森鷹史


今週はWindows XPのサポートが終了するニュースが世間を賑わした。自分も仕事ではXPを愛用していたので、寂しいようなまだ使い続けたいような、複雑な思いでそのニュースを見ていた。

Windows XPが発表されたのは今から13年前となる01年。それ以降、WindowsはVista、7、8と新バージョンがリリースされたが、ここまでXPが愛されたのは安定性、使いやすさなど、いろいろな理由があるという。新しいものはどんどん出てくるが、良いものだったからこそこれだけ長い間使われ続けたということは間違いのないところだろう。

そんなこんなで、迎えた週末。NHKマイルCの前哨戦となるこのレースを制したのはショウナンカンプ産駒ショウナンアチーヴ。②着も同産駒のショウナンワダチで、同一種牡馬の産駒のワンツーとなった。

ショウナンアチーヴ、ショウナンワダチともに出遅れて後方からの競馬を強いられたが、3~4角でうまく外に出して徐々に進出。先に抜け出したショウナンワダチを、ショウナンアチーヴが外からハナ差交わして初重賞のゴールテープを切った。

出遅れた時は万事休すかと思われたが、逃げたパワースラッガーが作り出したペースは前半600m通過が34秒0。これは中山で開催されたニュージーランドTとしては、04年以降では12年(カレンブラックヒルが勝利)と並んでもっとも速いペース。見事な差し切りには、この速い流れの助けもあったのだろう。

それにしても、本当にしぶとい。レース後の感想はこれに尽きた。

出遅れたショウナンアチーヴ&ショウナンワダチのレースぶりもしぶとかったのだが、それと同じくらい、いやそれ以上にしぶといと思わせたのは、この2頭の4代父にあたるテスコボーイの血だ。

3年前の11年オーシャンSで、サクラバクシンオー産駒ダッシャーゴーゴーが勝った時にも原稿にした記憶があるが、その時のテーマは「テスコボーイ系の血はしぶとい」だった。

その際にも紹介した、柏木集保氏(日刊競馬)を取材した時にいただいたコメントを再掲しておこう。

「テスコボーイは凄い種牡馬なんだよ。テスコボーイ~サクラユタカオー~サクラバクシンオー~ショウナンカンプと、日本で4代にわたって種牡馬を出している系統なんて、他にあまりないでしょう」

その話を伺いながら、自分は正直に言うと「(失礼ながら)ショウナンカンプはマイナー種牡馬で産駒数も多くはない(4月13日時点でJRA登録された馬は48頭。今年の3歳は7世代目)し、さすがにその次、5代目の種牡馬が出るのは厳しいだろうなあ」と思っていた。

それがなんの、この結果である。自分が競馬を知るはるか前から、日本競馬に根を下ろしている血をナメていました(笑)。

時代は移り、新しい血統もどんどん輸入されてきたが、日本に合う血統だったからこそ、これだけ長い間活躍馬を出し続けたということなのだろう。その点では、Windows XPに通じるものがあるかもしれない(少々強引ですが)。

この勝利で、ショウナンアチーヴが即種牡馬入り決定とはならないかもしれないが、少なくともそのチャンスは得ただろう。

本番のNHKマイルCは、ディープインパクト産駒ミッキーアイルをはじめとする強敵が待つ。しかし、ミッキーアイルをはじめとする先行馬がハイペースで引っ張る展開になれば、今回ワンツーした2頭にも出番があっていいはずだ。

そして、そこでもし勝利を得ることができたら……“6代目”を期待してもいいですよね?