そろそろ青葉賞からも…ショウナンラグーンに賭けてみる手もあり!?
文/浅田知広、写真/稲葉訓也
90年以降に誕生したダービー馬24頭を見ると、その前走で
皐月賞に出走していた馬が17頭と圧倒的。次いで
NHKマイルC3頭、
京都新聞杯2頭、
桜花賞と
すみれSが1頭ずつ。
このダービートライアル・
青葉賞からは、ダービー好走馬こそ多く出ていても、ダービー馬は残念ながら誕生しておらず、これは重賞昇格(94年)前、ダービー指定オープンとして行われていた時代までさかのぼっても変わらない。
もっとも昨年は、
京都新聞杯組の
キズナが
ダービーを制覇。こちらも前身の
京都4歳特別時代からなかなか勝ち馬が出ないレースで、過去には00年の
アグネスフライト1頭しか該当馬がいなかった。
その
アグネスフライト以降14頭のダービー馬を見れば、
皐月賞組は8頭、それ以外が6頭。少なくとも
この間は「別路線組」でもいい勝負になっており、
そろそろ青葉賞からも、という感もなくはない。
今年、この
青葉賞に駒を進めてきた馬はフルゲート18頭。このうち、すでに
毎日杯を制している
マイネルフロスト(3番人気)は賞金面で
ダービー出走を確定的にしており、残る17頭が上位2頭に与えられる
ダービー出走権を是が非でも手にしたい存在だった。
中でも注目を集めたのは、全成績
[2.3.0.0]の
ワールドインパクト(1番人気)。早くから
ダービーを目標としており、前走・中京の
大寒桜賞で豪快な差し切り勝ちを決めての出走である。
そして2番人気は、前走の
毎日杯で
マイネルフロストと0秒1差の④着だった
ラングレー。こちらは前々走で東京芝2400mの
ゆりかもめ賞を勝っており、2000m超の左回りで勝ち鞍を挙げている
ディープインパクト産駒が1、2番人気に推されていた。
ところが、ゲートが開くとその
ラングレーは伸び上がるような形で出遅れ、後方追走を余儀なくされた。それでも直線は内を突いてじわじわと脚を伸ばしたものの、詰まったり進路を切り替えたりする場面もある苦しい競馬で
⑪着に終わってしまった。
一方の
ワールドインパクトは無難に中団の一角を占めたと思われたが、そこから少しばかり掛かり気味になってじわじわと前へ接近。これまで
新馬戦を除く②着2回は自分より後ろの馬に差されて負けた形で、今回も直線坂下で先頭に立ったものの、ゴール寸前で力尽きて②着という結果になった。
さらに3番人気の
マイネルフロストも、直線前半で手応えを残しながら前が詰まり、その後の反応もひと息で
⑥着と、上位人気に推された3頭はいずれも悔いが残る一戦。そんな人気馬を尻目に、直線一気の鮮やかな差し切り勝ちを決めたのは、10番人気の伏兵・
ショウナンラグーンだった。
スタートは互角に出たものの、これまで通りの後方待機策。その「これまで」は
500万で③②③着と勝ち切れなかったが、上がり3ハロンはメンバー中1~2位を記録し続けていた。そして今回も、4コーナーを13番手で通過すると、メンバー中最速の上がり33秒8の末脚を発揮。前の馬がフラフラして外に立て直す場面もありながら、特に坂上から
素晴らしい伸びを見せて前の10頭ほどを一気に交わし去ったのだ。
ショウナンラグーンの祖母はオークス馬・
メジロドーベルで、この馬も
メジロドーベルと同じ
大久保洋吉厩舎・
吉田豊騎手のコンビ。
大久保洋師は来年2月で定年を迎えるため、本馬が最後の
ダービー出走になる。そんな話題が多く報道されているため地味な扱いにはなっているが、
ショウナンラグーンはこの勝利で父
シンボリクリスエス(02年)との
青葉賞父仔制覇を達成した。
その
シンボリクリスエスは、
セントポーリア賞②着、
ゆりかもめ賞③着、
500万平場③着の後、
山吹賞、
青葉賞を連勝して
日本ダービーは②着だった。対して
ショウナンラグーンは、
セントポーリア賞③着、
500万平場③着、そして父が制した
山吹賞も③着に終わった後の
青葉賞制覇。02年当時より
セントポーリア賞の時期が繰り下がっているため単純には比較できないが、よく似たステップを踏んでの
ダービー出走になる。
山吹賞で③着に負けたことにより、父より2勝目がひと月遅れたことを「1戦ずれた」と考えれば、父の2連勝からひとつずれて次の
ダービーも……。果たしてそんな結果も待っているのかどうか。今年の「別路線組」といえば
桜花賞②着の
レッドリヴェールに注目が集まりそうなだけに、好配当を期待できるこの
ショウナンラグーンに賭けてみる手もありそうだ。