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それでもやっぱり内を回った馬が上位に……
文/編集部(M)、写真/森鷹史


単勝オッズが10倍を切る馬は、前日売り時点では4頭いたが(1番人気マジェスティハーツ・2.7倍、2番人気ディサイファ・5.2倍、3番人気タマモベストプレイ・8.6倍、4番人気ペルーサ・9.9倍)、最終的には2頭(1番人気マジェスティハーツ・2.4倍、2番人気ディサイファ・4.3倍)。昨秋以降に勝ち鞍がない馬が多く、勝つまでは信用しづらいメンバーが多かった。

エプソムCは、07年以降は単勝オッズが10倍を切る馬が7連勝していて、結局、この傾向が今年も継続されたわけだが、優勝したのは1枠1番ディサイファだった。エプソムCはこれで6年連続で馬番8番以内の馬が優勝している。

ディサイファの鞍上・四位騎手は、レース後に意外なことを口にしていた。「3~4コーナーの内側の馬場が悪かったので、本当は通りたくなかった」と。それでも今回は最内枠だったので、「腹をくくって」内を通ったということだった。

この発言を意外に感じたのは、スタンドや映像を通して見ている人だけだったのかもしれない。実際に騎乗しているジョッキーにしてみれば、当然のことだったか。四位騎手は、内側の馬場の悪さを「馬がバランスを崩すほど」と表現していた。前週にどしゃ降りの雨の中で競馬を行った影響が強く残っていたのだろう。

それほど内側の馬場が悪いコンディションでも③着以内は馬番1~5番の馬が占め、掲示板内は1~5枠の馬ばかりとなった。1番人気のマジェスティハーツは、ゲートを出負け気味に出て最後方追走となった影響があったのかもしれないが、馬場のを選択して直線でもを突いてきた。いくら荒れた馬場でも、真ん中から内目を通らないと好勝負できないと判断されたからだろう。

ディサイファは500万以上での4勝を馬番8番以内で挙げていて、ふた桁馬番だった近2走から内枠に入ったのは好材料だったと思われる。これで3戦連続で芝1800mを使われ、決着タイムが前走(1分43秒9)や前々走(1分45秒7)よりも遅かった(今回は1分46秒2)ことも幸いした印象だった。

一方、マジェスティハーツはチグハグなレースになってしまったのかもしれないが、やはり7枠13番という外目の枠が厳しかったようにも思う。

今年、東京での芝重賞は14回行われ、そのうち馬番11番以内の馬が12勝している。馬番12~18番で優勝したのはヴィクトリアマイルヴィルシーナ(馬番14番)と目黒記念マイネルメダリスト(馬番14番)で、逃げた馬と軽ハンデ馬だ。ちなみに、馬番15~18番の馬は[0.0.1.35]で、ほとんど勝負になっていない。

競馬なんだから枠順の有利不利があって当然という意見もあるだろう。それは確かにその通りで、予想する側からすれば、枠順の有利不利があるから妙味が出てくるわけだが、管理馬を出走させる側に立つと、なんともやるせない気持ちもしてくる。せめて重賞くらいは関係者が自分自身の手でくじを引くなどして枠順抽選を行い、それを一般公開した方が良いと思うのだが、どうだろうか?

ディサイファは、戦前、関係者が「このレースが試金石」と話していた。重賞で主役を張る存在となるのか、それとも重賞では荷が重い存在となってしまうのか、明暗が分かれる一戦となりそうだったが、見事に制してみせた。

これで通算6勝のうち4勝を東京コースで挙げたことになるが、残りの2勝は函館で挙げている。道悪芝で[2.1.1.0]と結果を残していて、時計のかかる洋芝も得意にするタイプだから、今夏の北海道シリーズでもう一段上の活躍を期待できるかもしれない。秋のG1シリーズへ向けて、今度は北海道での戦いが重要になってきそうだ。