ボールドルーラー系を強く持つ父サンデー系は小回り適性が高い
文/編集部(M)、写真/米山邦雄
出走馬16頭のうち、
ウインの馬が2頭(
ウインマーレライ、
ウインフェニックス)。その2頭が馬券に絡んだわけだが、16頭のうち、
福島で出走歴があったのもこの2頭だけだった。
ウインマーレライと
ウインフェニックスは、昨夏に
福島芝1800mで走って1戦1勝。
コース巧者がその適性を見せた結果だった。
2枠3番という内枠で、上手く内を回った
ウインフェニックスは、ひと桁馬番では7戦して馬券圏外がなく、過去2勝を2~3枠で挙げていた。
コース替わりや
内枠替わりは明らかに好材料で、その血統も
ラジオNIKKEI賞に合いそうなタイプだった。
ウインフェニックスは父
スズカフェニックス×母父
アグネスデジタルという配合だが、
スズカフェニックスも
アグネスデジタルも母の父は
ノーザンダンサー系で、
ウインフェニックスの祖母(ウィンヒストリー)の父も
ノーザンダンサー系(ダンシングブレーヴ)だ。
ラジオNIKKEI賞は
ノーザンダンサーのクロスを持っていて内枠に入った馬がよく穴を出していて、適性は十分にあると思われた。7番人気という評価がむしろ
低すぎたと言える。
③着の
ウインフェニックスからは1馬身以上離されたが、④着に入った
オウケンブラックも
ノーザンダンサーのクロスを持つ内枠の馬だった。
オウケンブラックは
アグネスデジタル産駒で、母(メジロバーミューズ)が父も母父も
ノーザンダンサー系なので、
ノーザンダンサーの5×4×5というクロスを持つ。2400m→1800mという臨戦で、今回は忙し過ぎることになるかと思ったが、最後に内目から④着まで上がったのだから、やはり
適性があったのだろう。
1番人気だった
クラリティシチーも内枠(2枠4番)だったが、同馬は結果的に
内枠がアダになってしまった。スタート直後に挟まれる感じで他馬とぶつかったようで、道中での位置取りを悪くした。それでも
ハンデ55kgを背負って大外を回り、②着まで差したのだから、ここでは一枚上手の力があった。今回は運がなかったが、ハンデ戦の
ラジオNIKKEI賞では1番人気馬が勝てず、
父ミスプロ系の馬も勝てていないので、
目に見えない何かが働くレースなのかもしれない。
優勝した
ウインマーレライは好位のインを取って直線でも内を突き、開幕週の
芝1800m重賞で
お手本のようなレース運びだった。前走の
青葉賞では最後に止まって⑧着に敗れたものの、先行する脚を見せていた。その効果もあったのか、今回はスタートしてから促されずに好位を取るだけの
スピードを見せていた。好位を取って1コーナーを回った時点で
勝負ありという感じだった。
ウインマーレライは父
マツリダゴッホ×母父
フサイチペガサスという配合で、
ノーザンダンサーのクロスは持っていない。
マツリダゴッホは
ノーザンダンサーの血を持たない
サンデー産駒で、そういえば現役時代にデータ面で苦労をさせられたことを思い出した(
ノーザンダンサーの血を持つ
サンデー産駒がよく活躍するレースでは、推奨しづらかった)。
マツリダゴッホは母父が
ボールドルーラー系の
サンデー産駒で、
ウインマーレライは祖母の父が
ボールドルーラー系なので、
ノーザンダンサーのクロスは持たず、
ボールドルーラー系のクロスを持っている。
父サンデー系×
母父ボールドルーラー系という馬では、
カレンミロティックが
宝塚記念で②着に激走したのが記憶に新しい。
マツリダゴッホは中山マイスターだったし、阪神芝内回りのG1で
カレンミロティックが好走し、今回、
ウインマーレライが福島の重賞を制した。
ボールドルーラー系を強く持つ
父サンデー系の馬は、小回りコースでの適性が高いことを覚えておきたい。
2番人気で⑧着に敗れた
ピオネロは、鞍上の
蛯名騎手が道中で促す場面が見られたものの反応が良くなく、やはり
小回りコースは合わないのだろう。
ネオユニヴァース産駒はO型コースが得意なタイプが多いものの、福島では成績がパッとしない(福島芝準OP以上で好走した産駒はまだいない)。
ピオネロは
広いコースに替わっての巻き返しを期待したい。
未知の魅力を買われて3番人気に推された
ラリングクライは⑫着に惨敗してしまった。同馬は
父サンデー系×
母父ボールドルーラー系という配合だったが、スタートで遅れて後方追走となり、直線に入っても速い上がりを繰り出せなかった。血統の適性云々以前に、
キャリアの浅さが響いてしまったようだ。本格化はまだ先だったか……。
ハンデ戦となってからの
ラジオNIKKEI賞は波乱含みで、馬券を買う側からすると
楽しみが大きい。ただ、勝ち馬に視点をズラすと、その後に大きく活躍したケースはあまり見られず、次走以降にOPで勝ち鞍を挙げたのは07年の
ロックドゥカンブ(次走で
セントライト記念①着)まで遡る。
今年の
ウインマーレライは、このイヤなデータを覆せるだろうか。鞍上の
松岡騎手がレース後に話していたように、「一歩ずつ頑張って」飛躍できることを期待したい。