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1番人気馬が強いプロキオンSの傾向は、今年も継続された
文/編集部(T)、写真/森鷹史


プロキオンSはコロコロと開催条件が変わる重賞として知られる。第1~4回(96~99年)までは阪神ダート1400mで4月開催、5~10回(00~05年)までは同コースで6月開催、それ以降は7月開催となり、第11回(06年)は京都ダート1400m、第12~15回(07~10年)は阪神ダート1400mに戻り、第16回(11年)は京都ダート1400m、第17回から今回の第19回は新装後の中京ダート1400mでの開催となった。まだ20回も開催されていないレースなのに、長い!

先週更新された「馬迷男の挑戦」で、八木たかお氏「プロキオンは北半球の夏場は見えない」と指摘されていたが、それは事実で、日本でプロキオンが属するこいぬ座が見えるのは10月頃から5月頃まで。プロキオンSが開催される頃にプロキオンは日本の空にないのだ(笑)。

そして、こいぬ座が日本で見頃を迎えるのは2~4月頃。冒頭で述べたようにプロキオンSの創設当初は空にプロキオンがある時期に開催されていたから、創設当時はタイムリーなレース名だった、ということなのだろう。

じゃあ、夏開催になった時にレース名を変えれば良かったのでは……とも思えてくるが、今年の結果を受けると、レース名が変わらなくて良かった、と思えてきた。創設時から変わらない傾向が、今年も継続されたからだ。

それは、1番人気馬が非常に強い、ということ。創設以来1番人気馬は[7.5.4.2]で、掲示板外は1回のみ。00年以降は14年連続で馬券圏内に入っている。

そして、今回1番人気に推されたのは外国産馬ベストウォーリア。前走のアハルテケSはトップハンデの57.5kgだったこともあって②着に惜敗したが、別定戦で斤量56kgとなったことも人気を押し上げる要因となっただろう。

ここで思い出すのは昨年のプロキオンS。1番人気馬が強い傾向はすでに知っていたので、「1番人気馬を軸に!」という方針は決めていた。ところが、蓋を開けてみると大混戦模様で、1番人気馬がまるで分からない(笑)。

締め切り15分ほど前まではシルクフォーチュンが単勝6.0倍前後で1番人気。そこで自分はシルクフォーチュン(⑤着)を軸とした馬券を買ったのだが、最終的には5.9倍でダノンカモン(③着)とアドマイヤロイヤル(①着)が並んでいたのである(1番人気はダノンカモン)。

そのような苦い経験を踏まえて今年のメンバーを見て、「似たような混戦模様かな……」と思っていた。そういうことなので、ベストウォーリアが前売り段階から抜けた人気(最終的に単勝1.9倍)を集めたのには驚いた。出走16頭中、地方交流重賞を含めてOP勝ちがあったのは13頭。昨年好走したアドマイヤロイヤルをはじめ、G3としてはそれなりのレベルの馬が集まった印象だったからだ。お陰で軸選びには苦労しなかった(笑)。

そして、ベストウォーリアが今回見せたパフォーマンスも人気に恥じないものだった。前半600m通過が34秒7で、過去2年の34秒0(12年)、34秒1(13年)に比べて遅かったが、先に抜け出して押し切り態勢のキョウワダッフィーを、外から豪快な末脚で差し切った。

これだけの強さを発揮したベストウォーリアだけに、今後の可能性にも期待したくなる。ベストウォーリアは過去のG1(Jpn1)でジャパンダートダービー⑤着、フェブラリーS⑬着と結果が残っていないが、JDDは2000mの距離、フェブラリーSは内枠(馬番2番)もあって馬群で揉まれる展開が影響した面があっただろう。

ベストウォーリア自身が過去に掲示板外に敗れた2戦は馬番2番以内で、地方でも勝利がない(2戦して②⑤着)。小脚があるタイプではないと思われるだけに、広いコースの方がベターだろう。中京で開催されるチャンピオンズCや、フェブラリーSも枠順次第で巻き返しは可能のはず。充実期を迎えるのはまだ先と思われるだけに、今秋以降はさらに上のステージでの活躍を期待したい。