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前走も今回もアジアエクスプレスを買った人は馬券生命力が強い!
文/編集部(M)、写真/森鷹史


重賞レースに関しては、毎週金曜日の枠順発表後、編集部内で会議を開いて展開や各馬の特徴をチェックしているのだが、今回のレパードSは、当然のようにアスカノロマンノースショアビーチが前に行く、逃げるのはどちらか」と話していた。

その後、土曜日に様々な専門家の予想を見聞きしたが、そこでも「先行するのはアスカノロマンノースショアビーチということが判で押されたように展開されていた。その展開予想は誰もが納得するものだったのだろうが………聞けば聞くほど不安になってきた。みんなが当たり前と思っているようなレース展開になるのだろうか? 先行有利で道悪馬場にもなりそうな新潟ダートで、他のジョッキーは本当にその2頭を楽に先行させるのだろうか?と。

何かが2頭(アスカノロマン&ノースショアビーチ)のペースを乱すようなレースをするんじゃないか、という思いは、確信と呼べるほど根拠があるわけではなく、むしろ虫の知らせぐらいのレベルだった。何年も競馬を見てきて感じる程度の不安だったが……、こんな思いは得てして当たるものだ。クライスマイルが逃げるなんて、いったい誰が想像しただろうか!?

アスカノロマンノースショアビーチのスタートは悪くなかったと思う。しかし、アジアエクスプレスを含めた他馬の勢いも最初から強く、クライスマイルローウィラー騎手は引く構えを見せずに1コーナーに飛び込んで行った。楽なレースはさせない、との思いは各ジョッキーが秘めていたのではないか。

クライスマイルローウィラー騎手はこの日が初めての新潟競馬で、新潟ダートはレパードSが初めてだった。それでも、馬場の傾向は掴んでいたのだろう。さすが世界の一流ジョッキーは違う。

クライスマイルは穴ぐさ💨に指名していて、その実力には注目していたが、いかんせん2戦とも楽なレースで、一気にメンバーが強くなるここでは不安な面もあった。揉まれた時にそれを克服できるのか?ということをいちばん強く感じていたのだが、逃げることによってその心配が杞憂のものになるとは思いもしなかった。

もちろん、逃げればなんでも残れるかといえばそんなことはなく、実際にクライスマイルは他馬にぴったりマークをされて厳しい形でもあったと思う。それでも直線で一度は突き離して②着に粘る辺り、地力がかなり高かったのだろう。この先、経験を積んでいけばタイトルもいくつか獲得するのではないか。今度は控えての競馬も見てみたいものだ。

重賞ウイナーのアジアエクスプレスレッドアルヴィスは、勝負所でクライスマイルを射程圏に捕えていたが、明暗が分かれる形となった。

外を回った馬が伸びて、内で溜めていた馬が伸びきれなかったのはユニコーンSと同じだったが、今回は①着が入れ替わった。ユニコーンSでは1秒7差を付けられたアジアエクスプレスが、今回は他馬を3馬身半以上も突き放し、レッドアルヴィスには0秒8差を付けて快勝した。

今回のアジアエクスプレスに対しては、正直なところ半信半疑で、1番人気にはならないのではないかと思っていた。ところが、午前中から一度も他馬に1番人気を譲らず、単勝オッズ3.3倍でレースを迎えた(2番人気は4.3倍のレッドアルヴィス)。前走のユニコーンSでも信頼し、今回もこの馬から買った人が相当数いたのだろう。みなさん、立派です。

前走でレッドアルヴィスから買い、今回はアジアエクスプレスから買った人がいちばん馬券力があるのかもしれないが、前走で痛い目に遭った馬をもう一度信頼して獲り戻した人もかなり素晴らしいと思う。馬券生命力が強いとでも言うべきか(笑)、冷静な分析ができていたのでしょうね。

今回のアジアエクスプレスは7枠13番という枠順で、外枠で揉まれずにレースを進められたことは良かったのだろう。しかし、それ以前に、初めてブリンカーを装着し、前走で裏切ってしまった信頼を取り戻すことへの執念も感じられた。その気合はスタート直後からの走りにも表れていた。外枠も、気合で引き寄せたというのはさすがに言い過ぎだろうか(笑)。

ユニコーンSでのアジアエクスプレスの単勝オッズは1.3倍で、これは相当に多くの人が「勝つのはこの馬で決まり」と考えていた証拠でもある。ところが、結果はご存知の通り。

今回のレパードSでは、多くの人がアスカノロマンノースショアビーチが先行する」と考えていて、それはオッズにすると1倍台ぐらいだったんじゃないかと思うが、こちらも結果は違うものだった。

競馬って、当たり前と思うことを疑うところから始めた方がいいのかもしれませんね。