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「思い込み」が今回の大波乱を生んだのかもしれない
文/編集部(T)、写真/森鷹史


「思い込みって怖い……」と思ったことは、誰しもあるのではないでしょうか。

例えば、「人は第一印象が大事」とよく言われるが、「第一印象=思い込み」と考えると、人に抱いた第一印象を変えることが難しいことは、経験から分かっていただけるのではないでしょうか。自分も、初デートで悪印象を与えないように腐心した記憶が甦ります(笑)。

ご存じの方も多いと思うが、ここ数年の北九州記念は差し決着が続いていた。北九州記念と聞くだけで、前に行った馬が潰れて大外から差し馬が殺到……というイメージが湧いてくるほどだ。そうです、思い込みです

ただ、それも無理のないことで、過去4年の北九州記念勝ち馬はすべて4角9番手以下。昨年は1番人気サドンストームのオッズが5.4倍という大混戦模様で、しかも差し脚質の馬が多いメンバー構成だった。そういうこともあって、「前残りもあり得るのでは?」とさえ言われていたが、それでも差し決着だった

これだけ差し決着が続いたことで、多くの方が「はいはい北九州記念ね。今年も差し決着でしょう?」と考えたのではないだろうか。自分はそうです(苦笑)。

ところが、結果は4角3番手のリトルゲルダが4角2番手のメイショウイザヨイをゴール寸前で差し切り。出負けしたが道中で最内を通って差を詰め、馬群を縫って差し込んだカイシュウコロンボが③着に入った。この結果を見る限り、例年とは違って内を通ったことがそれほど不利にならなかったということも言えそう。いずれにしても、3連単の配当を400万円近くまで押し上げた理由には、多くのファンが差し決着を予想したこともあるはずだ。

勝ったリトルゲルダは今年に入って重賞で③④①着。かつては直線競馬のスペシャリストのようなイメージがあったが、最近はコース不問の活躍を見せている。次走は休み明け3戦目でまだ上積みが見込めそうなだけに、スプリンターズSに出走したとしても侮れない存在になるかもしれない。

ところで、今回の勝ち馬リトルゲルダのハンデは53kg。前走で別定戦のアイビスサマーダッシュ(④着)を挟んだが、2走前はハンデ戦のシルクロードSで、今回と同じハンデ53kgで③着に好走していた

今回の出走馬のうち、昇級戦となるアルマリンピア、メイショウイザヨイ、メイショウスザンナ以外は、すべて近2走以内にハンデOPに出走している。そして、前回ハンデOPに出走した時のハンデとその着順、そして今回のハンデを表にすると、以下のようになる(―はハンデOPが初の馬)。

馬名 前回 今回
1 リトルゲルダ 53 53
2 メイショウイザヨイ   52
3 カイシュウコロンボ 54 54
4 アンバルブライベン 52 52
5 バーバラ 53 53
6 ベルカント 52 52
7 エピセアローム 55 55
8 ルナフォンターナ 55 55
9 ブルーデジャブ 54 54
10 ツルマルレオン 55 57
11 アイラブリリ 54 54
12 ワキノブレイブ 54 54
13 リアルヴィーナス 50 50
14 ニンジャ 54 54
15 アルマリンピア   53
16 スギノエンデバー 57 57
17 メイショウスザンナ   53
18 ポアゾンブラック 56 56
前回…前回のハンデ戦におけるハンデ
…前回のハンデ戦における着順
今回…今回のハンデ

前回のハンデOPからハンデが増えたのは、昨年の北九州記念勝ち馬ツルマルレオンのみ。それ以外は前回のハンデ戦における着順がどうあろうと、まったくハンデが変わっていなかった

そして、⑦着までに入った馬のうち、4頭は前回のハンデOPで③着以内に入っているカイシュウコロンボも前走はCBC賞で⑪着だったが、別定戦を挟んだ3走前のディープインパクトC(京都芝1400m)は今回と同じハンデ54kgで③着に好走していた

海外のように一度の好走や凡走で一気にハンデが上下するようなシステムが良いとは言い切れないが、もっとハンデを柔軟に変えてもいいのでは……と思うのだが。皆さんはどう感じるだろうか。