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ミュゼスルタンもG1連対馬と同じ活躍を見せるのでは?
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


新潟2歳S新潟芝外1600mで行われるようになってからは、前走が1400~1600mだった馬が12年連続で制していた。今年は、直線半ばで先頭に立ったのが前走が福島芝1200mだったニシノラッシュで、最後に東京芝1800mのデビュー戦を勝ち上がってきたアヴニールマルシェが激しく迫ったが、勝ち切ったのは前走でも新潟芝外1600mを走っていたミュゼスルタンだった。辛くもデータが継続された格好だ。

ミュゼスルタンアヴニールマルシェはハナ差で、この2頭とニシノラッシュの間には1馬身以上の差が付いた。現時点でのマイル適性では、ニシノラッシュよりもミュゼスルタンアヴニールマルシェの方が上だったのだろう。ミュゼスルタンアヴニールマルシェは微差だったが、これについては、勝負所での反応の速さが明暗を分けたように感じられた。

ミュゼスルタンアヴニールマルシェは直線入口でほとんど同じ位置にいた。中団後方寄りで、枠が内だったミュゼスルタンが馬群の内目、アヴニールマルシェはやや外目だった。2頭はそのまま馬群の中と外に進路を取って行ったが、スッと反応良く先頭集団を射程圏に入れたのがミュゼスルタンで、一方のアヴニールマルシェはすぐにはエンジンが掛からない感じだった。

上がり3Fのタイムを比べると、勝ったミュゼスルタン33秒4だったのに対して、アヴニールマルシェ33秒0。映像を見る感じだと、残り200mからのスピードで差が付いたように映った。文字通り、アヴニールマルシェ猛追したのだが、残り400~500m辺りでの差が最後に響いた印象だった。

アヴニールマルシェが前走でもマイル戦を使われていたら、もう少し反応が速かったのだろうか? こればかりはやってみないと分からないことだが、新潟2歳Sにおいて、前走が1200mや1800mだった馬が勝てない理由はどこかにあるのだと思う。優勝するには速いペースに対する経験値が必要だからか? 400mも距離が延びて押し切ることが困難だからか? 来年以降も、臨戦過程による評価付けには頭を使わされそうだ。

優勝したミュゼスルタンは、前走の上がり3Fが33秒2で、勝ち時計が1分37秒0(稍重)だった。直線で最内を突いたものだったが、数字の字面だけなら、これはとても優秀だった

オルフェーヴルが2歳夏に新潟芝外1600mでデビュー勝ちした時は、走破時計が1分37秒4(重)で、上がり3Fが33秒4ジャスタウェイの時は1分36秒1(良)・33秒3で、そのほか、スマイルジャック(1分36秒733秒4)やタケミカヅチ(1分37秒533秒0)、ショウナンパントル(1分37秒033秒0)などとも似た数字なのだ。

オルフェーヴル重馬場での数字なので、確かに別格と言えるかもしれないが、ミュゼスルタンだって稍重馬場での数字で、ジャスタウェイなどを上回る上がり3Fタイムを計時していた。オルフェーヴルジャスタウェイショウナンパントルの3頭はG1馬で、タケミカヅチ皐月賞②着スマイルジャックダービー②着の実績があるから、ミュゼスルタン前途洋洋だろう。

ちなみに、タケミカヅチの新馬勝ちはミュゼスルタンと同じ大江原厩舎&柴田善騎手で、スマイルジャックも鞍上は柴田善騎手だった。機会があれば、タケミカヅチスマイルジャックの2歳時と比べてのミュゼスルタン評柴田善騎手から聞いてみたいものだ。

ミュゼスルタンに対してこれだけ高い評価をするなら、ハナ差②着のアヴニールマルシェも同じく将来性を高く買うべきだろう。今回は惜敗したものの、今後、距離が延びるクラシック戦線においては、すでに1800mを使われたアドバンテージが出てくるかもしれない。非常に楽しみだ。

そして、もう1頭。ミュゼスルタンとの比較で見限れない馬がいる。⑥着に敗れてしまったナヴィオンだ。

今回は、大きくは差を詰め切れず掲示板に載れなかったが、上がり3Fは33秒4で、これはミュゼスルタンと同じメンバー2位タイ。この馬もデビュー戦が新潟芝外1600mだったが、その勝ち時計と上がり3Fは1分37秒3(良)・32秒7で、前述したG1馬&G1②着馬たちと比べても遜色ない。

ナヴィオンにも非凡な能力があることは明らかだろう。同じハーツクライ産駒ジャスタウェイも2~3歳時は勝ち切れないことが多かったので、ナヴィオンも完成するには時間が多少かかるのかもしれない。それでも大物に育つ可能性があることは覚えておいた方がいいだろう。