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キーンランドCで“調子が良い牝馬”は鬼に金棒!?
文/編集部(T)、写真/川井博


土曜の夜。遅ればせながら最近始めたLINEに、友人からのメッセージが届いた。

「明日の重賞なんだけどさ、どう思う」

この友人の話は何回か「レースインプレッション」に出てきたことがあるが、基本的に人の話を聞かない。相手にしても徒労に終わることも多いので、「好きに買え」の一言で済ませても良かったのだが、ちょうど「馬迷男」の原稿を待っていて少し時間があったので、相手してあげることにした。

細かいやりとりは割愛するが、友人が言うには新潟2歳SキーンランドCで、どちらも牝馬を切ろうと思う」とのことだった。

前日オッズを見ると、新潟2歳Sで最上位人気に推されていた牝馬は10番人気のハナモモ。こちらはまあいいかもしれない。ところが、キーンランドCの1番人気はレッドオーヴァル、3番人気にローブティサージュと、上位人気に牝馬が推されている。「こちらはさすがに牝馬を全部切るのは無理があるんじゃないか…?」と思ったので、少し考えを巡らせてみた。

「人の話を聞かないこいつを説得するには、どうすればいいだろうか?」

キーンランドCは昨年も牝馬がワンツースリーを決めており、一般的には牝馬が強い重賞として知られている。ところが、12年は牡馬がワンツースリーを決めており、友人はここを見て「牝馬が上位とは言い切れないんじゃないか?」と考えたのかもしれない。

では過去のキーンランドCでどんな牝馬が来ていたのかというと、過去8回で6番人気以内に推された牝馬は[5.3.3.7](複勝率61.1%)4番人気以内に推された牝馬がいた年は、すべて馬券圏内に入っていた。前日オッズで5番人気にはフクノドリームもいたし、牝馬を全部切るのはやはりいくら何でも無理がある。

と、このようなことをかいつまんで返信したのだが、いつまで経っても既読マーク(注:LINEでは、相手がメッセージを読むとつきます)がつかない。「寝やがった! まさか内容を聞かないのではなく、文字通り“人の話を聞かない”とは!」と思ったが、ここで原稿が来たので放っておいた(笑)。

前置きが長くなったが、レースの結果は最終的に3番人気となったローブティサージュが差し切り、②着はさらに後ろから差を詰めた1番人気のレッドオーヴァルが食い込んだ。

ローブティサージュはこれが12年阪神JF以来の勝利。芝1200mに距離短縮されて②①着とし、一躍スプリンターズSの有力候補に躍り出る形となった。前走の函館スプリントSは位置取りが後ろ過ぎて届かなかったが、今回は中団からの競馬。僅差の一戦を制した勝因は、鞍上の三浦騎手のペース判断が絶妙だったということだろう。

ローブティサージュは、この勝利でサマースプリントシリーズ単独トップに躍り出た。最後にセントウルSを残しているし、ローブティサージュがどこに向かうかもまだ分からないが、今年は混戦模様なのでこのまま逃げ切る可能性も十分ありそう。シリーズの行方にも注目したい。

また、今年の結果を受けて、前走で連対し、4番人気以内に推された牝馬はキーンランドCで[4.4.2.0]となった。「夏は牝馬」と同様に「夏は格より調子」とよく言われるが、キーンランドCにおける“調子が良い牝馬”は鬼に金棒ということなのだろう。来年これに該当する牝馬がいるかどうかは分からないが、忘れないようにしたい。

ところで、レース前にLINEをチェックすると、既読マークはついていた。馬券はどうだったのだろうか(笑)。