ホワイトマズル産駒は芝1200mでも通用するスピードがある
文/編集部(T)、写真/森鷹史
1番人気に推されたのは
フェニックス賞勝ち馬
レオパルディナ。2番人気は前走がこのコースで4馬身差の圧勝を飾った
スノーエンジェル。3番人気は前走の勝ち時計(1分8秒6)がメンバー中芝1200mでの最速持ちタイムとなる
ゼンノイザナギ。
「そりゃ人気になるのも納得ですよねぇ」という馬が上位人気に推される形となった。
ところが、1頭が除外となって17頭立て
15番人気、単勝120.2倍という低評価をあざ笑うかのように、大外一気を決めたのが
オーミアリス。鞍上の
国分優騎手とともに、これが
重賞初制覇となった。
オーミアリスも前走が小倉芝1200mを勝っていたが、勝ち時計は
1分9秒8とそこまで速くなく、しかも①着を分け合った
メイショウオヤシオが次走の
フェニックス賞で⑤着に敗れており、この点でも評価されづらかったと思われる。
さらに、
オーミアリスの
父はホワイトマズル、母父はニジンスキーの直子ロイヤルアカデミー。血統をひと目見ると、およそ
芝1200mの重賞を勝てるとは考えづらい血統だった。
実際、競馬好きの知り合い数人に聞いても
「ホワイトマズルかあ……」という声が出ていた。
菊花賞馬
アサクサキングスのように、
「距離が延びて期待では?」という第一印象を受けた人が多かったことも、このオッズとなった理由のひとつかもしれない。
ところが。7日終了時点で
、ホワイトマズル産駒は芝1200mのOPで[8.3.7.35](複勝率34.0%)。
オーミアリスと同じ牝馬の
メリッサや
ビハインドザマスクがこのコースのOPを勝っており、牡馬では
テイエムオオタカも芝1200mのOPを勝利していた。
さらに、ホワイトマズルの父ダンシングブレーヴも
高松宮記念勝ち馬
キングヘイローを出しているし、
キョウエイマーチは
桜花賞に加えて芝1200mの
阪急杯を制している。
この系統は血統的なイメージよりもスピードが豊富なのだろう。
一方、
オーミアリス以下は
レオパルディナが②着、
スノーエンジェルが③着、
ゼンノイザナギが④着で人気通りの入線。この3頭はすべて前走よりも時計を詰めており、
現時点での実力を発揮していると思われる。裏返すと、
オーミアリスの勝利はフロックや他馬が自滅したものではなく、
実力を発揮したものと考えるのが自然だ。
オーミアリスの鞍上を務めた
国分優騎手も、これが
重賞初制覇。関東所属でデビューした1年目は中央で4勝、2年目は3勝となかなか成績が伸びなかったが、栗東に拠点を移した3年目に45勝と一気に勝ち星を伸ばし、今回の重賞制覇に繋げた。
以前、馬の
“栗東留学”が話題になったが、現在は馬だけでなく、騎手にとっても東西の垣根が外れつつある。その先鞭として成功例を作った
国分優騎手が、今後どこまで成績を伸ばせるだろうか。
ちなみに、
小倉2歳Sは05年以降の10年で牝馬が7勝。牝馬の優勝馬には06年
アストンマーチャン、11年
エピセアローム、昨年の
ホウライアキコなどがいて、7頭がすべて後に勝利を挙げている。
特に、過去10年では
小倉2歳S優勝馬がファンタジーSに出走した時は2戦2勝。
オーミアリスは距離が延びても問題がなさそうなだけに、次走がどこになるにしても、
国分優騎手とともに注目に値しそうだ。