2200mで効くのはディープよりも10年前の格言だった
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
2番手に付けた
2番人気の
マイネルラクリマをマークするように
1番人気の
サトノノブレスが続き、その直後に
3番人気の
クランモンタナが続いた。
今年の
オールカマーは、
上位人気3頭が常に先頭を射程圏に入れてのレースとなったが、最後の直線に入る前に
サトノノブレスの手応えが悪くなり、鞍上の
和田騎手のムチが飛んだ。
クランモンタナも直線に入って先頭を窺う位置まで進出したものの、前走時に見せたような粘りが見られない。結局、この2頭は
ふた桁着順に大敗してしまった。
1番人気、
2番人気、
3番人気とサラッと書いたが、その単勝オッズは
2.2倍(
サトノノブレス)と
7.2倍(
マイネルラクリマ&
クランモンタナ)で、けっこう離れていた。それだけ
サトノノブレスを信頼した人が多かったのだろう。そして、それだけ最後の直線でガックリきた人も多かっただろう……。
「メインレースの考え方」でも◎を
サトノノブレスにしたので、この大敗には失望したが、戦前に
懸念材料がなかったわけでもなかった。「メインレースの考え方」でも記した通り、
サトノノブレスは
休み明け初戦では頑張るものの、
叩き2戦目に着順を落とす傾向が見られた。これまでは、①→③着、②→③着、①→④着という成績だった。
着順を落とすとは言っても3戦とも掲示板内だし、3戦中2戦は馬券に絡んでいる。だから、
そんなに悪いとも思えず、信頼したのだが……。4コーナーを回る時の手応えを見れば、今回、
馬に走る気があったとは思えない。モロさが出てしまったのだろう。
クランモンタナは過去5勝を直線距離の長いコースで挙げているが、先行力のある馬で、現在の勢いなら
新潟の内回りコースもこなせるのではないかと思っていた。ところが、斤量増での
別定G2というのは想像以上に厳しかったか、初の
ふた桁着順に沈んでしまった。
サトノノブレスと
クランモンタナは、どちらも
父ディープインパクト×
母父トニービンという配合だが、この結果を見ると、この配合馬は
良い脚を長く使いやすいコースの方が信頼しやすいのかもしれない。
ディープインパクト産駒なら何でもこなしてしまうんじゃないかとも思ったが、それは安易すぎた……。
優勝した
マイネルラクリマは、好スタートを決めて楽に2番手に付け、そのまま手応え良く回ってきて押し切った。と文字にしてしまうと、えらく簡単に勝ったように感じるが、どうやら
そんなに簡単なことでもなかったようだ。
「グリーンチャンネル」に出演していた
佐藤哲三騎手は、1コーナーで外から他馬に先行させなかった
戸崎騎手の騎乗を褒めていた。素人目には、簡単に先行してそのままグルッと回ってきたように見えても、どうやらそこには
想像もつかないようなせめぎ合いがあるようだ。マークされる立場の
上位人気であればなおのこと、見た目以上に簡単なことではないのだろう。
マイネルラクリマは今回が
休み明け(2ヶ月半ぶり)で、過去の休養明け初戦では勝ち鞍がないことと、
距離(2200m)が気になった。2000mを超える距離は3歳時の
オールカマーだけで、その時は⑥着に敗れていた。ただ、その血統は
父チーフベアハート×
母父サンデーサイレンスで、父の血統だけで見れば
この距離が合う可能性も!?とは感じていた。
チーフベアハート産駒が
芝2200mを得意にしていることは、ずいぶん昔に
『金満血統王国』で話題にされていた。
しかし、その話題が出たのは確か2003年頃で、
10年以上も前の格言を声高に主張することには気が引けた。そんな
ホコリが被ってても不思議ない格言よりも今は
ディープでしょう、と思ったら、この結果です……(苦笑)。10年以上も活躍馬を輩出し続ける
チーフベアハートにも脱帽です。
2着に入った
ラキシスは「メインレースの考え方」で▲にした存在で、こちらは
ディープインパクト産駒でも期待に応える走りを見せてくれた。前走の
ヴィクトリアマイルは初の芝1600mで、やはり
参考外だったのだろう。牡馬相手でこれだけの走りができるのだから、今年の
エリザベス女王杯でも再びチャンスがありそうだ。
3着に激走した
クリールカイザーは穴ぐさ💨だったが、正直なところ、金曜日まではほとんど
ノーマークだった。
オールカマーは重賞実績のある馬が上位を占めるケースが多く、特に今年は実績馬が多数いたので
敷居が高いだろうと踏んでいたのだ。
ただ、気になったのは2走前の
湾岸S(中山芝2200m)の
勝ちっぷりだった。
クリールカイザーは、2走前以前は
勝ち味に遅い面が見られていたが、
湾岸Sではそれが嘘だったかのように圧勝してみせた(3馬身差勝ち)。
「なにがあったんだ!?」とビックリしたことをよく覚えていて、あの勝ちっぷりを無視するのも惜しい気がしていた。
調べてみると、
クリールカイザーは2走前に初めて
チークピーシズを装着していた。
チークピーシズは
ブリンカーのように装着時に申請する必要がなく、公式記録には記載されていないので見逃すことが多々あるが、中には
効果テキメンの馬がいて、
クリールカイザーもその1頭なのだろう。集中力が増して、あの圧勝につながったことが想像できた。
今回の
クリールカイザーは道中を馬群の中で脚を溜め、直線では内目から進出して、最後まで良く伸びた。
緑色のチークピーシズがまぶしく見えたのは私だけだろうか。
社会人のみなさんは
仕事の際、学生さんは
勉強の際、奥様は
お料理の際、集中力が途切れたら
チークピーシズを装着してみてはいかがでしょうか。
クリールカイザーのように
ステップアップできるかもしれませんよ(笑)。