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同じ京都芝外回りでも“ギガ速い”長所が活きるのは!?
文/編集部(W)、写真/森鷹史


森山良子&森山直太朗の母子の歌声を聴いていると、“良い声”は遺伝するものなんだなとつくづく思う。いや、遺伝学的にはあり得ないとか、専門的なことはよく分からないが、少なくとも自分にとってはどちらの歌声も耳触りが良くて心にしみる。

【母譲り】というワードで思いを巡らせた時、パッと思いついたのが森山直太朗“良い声”だったわけだが、ディアデラノビアの現役時代を知っている方なら、娘ディアデラマドレ“切れ味”【母譲り】と感じるのではないだろうか。

この府中牝馬Sは自身6度目となる上がり33秒台を計時して直線一気を決め、マーメイドSに続くふたつ目の重賞タイトルを手中にした。ちなみに、上がり33秒2は②着スマートレイアーと並んでメンバー中最速。この“切れ味”はもはや現役の牝馬の中ではトップクラス、そう印象付けた結果だろう。

そのキレキレぶり、小柄な体型などは母子そっくりながら、成績は大きく異なる。

母ディアデラノビアは③着が多いという印象を持っている方もいると思うが、その成績は[5.1.7.12]。③着はすべて重賞で、注目度の高いレースで③着が多いから、おそらくそう感じるのだろう。少なくとも自分はそう。

一方、娘ディアデラマドレは[5.1.0.5]。②着が少ないのは母と共通しているが、いまのところ③着が一度もない。善戦タイプという母のイメージはどこへやら、勝つか負けるか白黒はっきりタイプだ。

となるとこの娘なら、G1では[0.0.3.4]と善戦止まりだった母の無念を晴らしてくれるのではないか。スマートレイアーホエールキャプチャといったG1連対馬を退けて勝利した今回の結果を見ても、そんな期待を込めたくなってくる。

府中牝馬Sを勝ち、エリザベス女王杯(11月16日、京都芝外2200m)の優先出走権を手に入れたディアデラマドレだが、今後はエリザベス女王杯マイルCS(11月23日、京都芝外1600m)の両睨みとのこと。

ディアデラマドレは芝1600mに出走経験がないが、ディアデラノビアは芝1600mで3勝を挙げていて、距離適性が【母譲り】であるなら初マイルで弾ける可能性もあるだろう。

逆に、芝2200mは昨年のエリザベス女王杯で経験済みだが、昨年は⑨着に敗れている。ただこの時は好走歴のない道悪に加え、内で動けない位置に入り、直線で外を通った馬が上位を占めた中、内を突いて差し込めなかったもの。それでも着差は0秒6差で、芝2000mのマーメイドSを勝っている馬だから、芝2200mがまったくの適性外ということもないはず。

エリザベス女王杯マイルCSか、陣営の選択に注目が集まるが、いずれにしても舞台は京都芝外回り。ディアデラマドレは直線距離の長いコースの芝で良馬場だと①①②①着で、連外となったのはキャリア1戦で7ヵ月半の長期休養明けだったスイートピーSだけ。

その5戦で注目すべきは、5戦とも34秒0~34秒6とレース上がりが速い中、33秒1~33秒6という上がりを計時していること。つまり、今回の府中牝馬Sを見ても分かるが、ディアデラマドレ直線距離の長いコースでのよ~いドンが得意で、某CM風に言えばそういう条件で“ギガ速い”でしょうか(笑)。

では、過去10年のエリザベス女王杯マイルCSのレース上がりをチェックしてみよう。

■過去10年のレース上がり
エリザベス女王杯 マイルCS
04年 35秒4 34秒6
05年 34秒7 35秒0
06年 36秒5 35秒2
07年 34秒1 34秒7
08年 35秒2 34秒7
09年 36秒8 34秒5
10年 36秒3 35秒1
11年 37秒1 35秒3
12年 36秒4 34秒7
13年 34秒5 34秒1

エリザベス女王杯は34秒台もあれば37秒台もあり、年によってかなりバラバラ。逆に、マイルCSは34秒1~35秒3と比較的安定していて、34秒台の出現回数も6回と多い。

レース上がりという観点から言えば、ディアデラマドレエリザベス女王杯よりもマイルCSのほうが適性的に向く可能性が高そうだが、どうだろうか。

ともあれ、【母譲り】“切れ味”を発揮するには、これまで全6連対を記録している良馬場が前提となってくるだろう。昨年のエリザベス女王杯はレース中にが降っていて、重馬場という悪条件だっただけに、2度目のG1挑戦はぜひとも良馬場であってほしいものだ。