まんまとマイペースの逃げに持ち込めたことが最大の勝因
文/石田敏徳、写真/森鷹史
11番人気の伏兵
セカンドテーブルが、果敢に先手を奪って逃げ切り勝ち。何やら、
ゲットフルマークス(14番人気)が逃げ切った2008年のレースを思い起こさせる結果となった今年の
京王杯2歳Sだが、そんな6年前と比べると大きな違いがひとつある。
セカンドテーブルの「逃げ」を事前に予想するのは、相当に難しかったということだ。
札幌芝1200mの
新馬戦を逃げ切り、続く
すずらん賞(⑥着)でも先手を奪っていた
ゲットフルマークスの場合は、少なくとも
「この馬が逃げる」というイメージを描くことはできた。
ところが
セカンドテーブルは小倉の
新馬戦(芝1200m)が2番手追走からの抜け出し、2戦目の
小倉2歳Sはスタートで後手を踏んだため末脚勝負に構えた結果、それなりには追い込んでの⑦着である。まして今回は逃げの手に出そうな実績馬が他にいた。というわけで早速、レースをスタートから振り返ってみよう。
抜群の反応で真っ先にゲートを飛び出したのは、
新馬―
函館2歳Sを逃げて連勝してきた
アクティブミノル。ここも当然、そのまま先手を奪うものと思われたが、
「先々のことを考え、どこかで控えるレースをさせたいと思っていた」という
松田大作騎手はあまりアクセルを踏み込まず、周囲の出方を窺うような先行策を選択する。
「ならばお先に」とばかり、これをかわして先手を奪ったのが
セカンドテーブルの
戸崎圭太騎手だった。
この日もスタート自体は速くなかったものの、二の脚をきかせて先頭に立つと、マイペースに持ち込んでレースを先導。軽快に逃げて向いた直線では、残り400m地点まで追い出しを待つ余裕があり、そこから加速して後続を突き放すと、まったく
“危なげ”を感じさせないまま、重賞制覇のゴールに飛び込んだ。
ちなみに上がり3ハロンのタイムは34秒1で、その内訳は
11秒5―
10秒9―
11秒7。
残り400m地点からの加速(10秒9)で事実上、勝負を決めたわけで、逃げた馬にこの上がりでまとめられては、末脚勝負に構えた面々はお手上げだった。
「返し馬のフットワークが良かったので、リズム良く運べればと思っていました。うまく逃げ切れて良かったです」と、してやったりの表情を浮かべた
戸崎騎手は、
「スタートに気をつけて、出てくれれば前に行こうと」思っていたそう。
スイスイと気分良く逃げた馬が、実績以上の粘り腰を発揮するのはよくあること。先行策を意識してレースに臨んだうえに、
アクティブミノルが待機策を選択したため、
まんまとマイペースの逃げに持ち込めたことが最大の勝因といえそうだ。
もっとも、たとえ
セカンドテーブルが逃げると予測がついたとしても、“逃げ切り”までを予想するのは
至難の業だった。5馬身差の圧勝劇を演じた
新馬戦の勝ちっぷりは確かに強かったけれど、負かした相手は1頭も
未勝利を勝ち上がっていない。後方追走から0秒7差の⑦着に押し上げた
小倉2歳Sにしても、前つぶれの流れに乗じての追い込みという印象が強く、これではちょっと手が出なかった。
ただし、
崎山博樹調教師は調教の動きなどから、
「走る馬、という感触は持っていた」とのこと。実際、
小倉2歳Sの後は自己条件に目もくれず、早くからここに照準を定めていたそうで、鞍上に
戸崎騎手を配してきたことも、後から思えば
陣営の期待感の表れといえた。
しかしその
崎山調教師でさえ、
「相手がなかなか揃っていたし、まさか勝つとまでは思わなかった。競馬はやってみないと分からないねえ」と振り返ったのだから、11番人気という
低評価も無理はなかったか。
それでも
1分21秒5という勝ちタイムは2歳のコースレコードに0秒3差、レース史上でも
歴代2位に相当する好時計。坂下から加速して
10秒台のラップを刻んだ内容もなかなか優秀だ。王道をブイブイ突き進むタイプとは思えないが、今後も“それなり”の活躍は見込めるのではないか。
一方、まんまの逃げ切りを許した組ではやはり、不向きといえた展開からよく押し上げてきた
サフィロスと
ニシノラッシュ。とりわけ、スタートがひと息で、後方から馬群の外々を回って追い上げる形を余儀なくされた
ニシノラッシュは、内めで脚をためていた
サフィロスとは“互角以上”と評価できる内容だった。
不本意なレースになってしまったからだろう。勝っても負けても常に飄々としている
田辺裕信騎手が珍しくレースの後、なかなか検量室から出てこなかったことも付け加えておこう。