走っていない=できないと考えるのは早計だった
文/編集部(T)
3連覇を目指すダイワファルコン、今年の
七夕賞を制した
メイショウナルトなど、5頭の重賞勝ち馬が集結し、ローカルG3としてはなかなかの好メンバー。上位人気をこの2頭が占める形となったのは自然だろう。
ところが、レースを制したのは
ミトラ、②着は
フラアンジェリコで、いずれも
重賞勝ちどころか、芝2000mですら勝ち鞍のなかった馬。
ミトラは重賞で③着が最高で、
フラアンジェリコに至っては今回が重賞初挑戦だった。G1では今週の
エリザベス女王杯を制した
ラキシスを含めて重賞未勝利場の勝利が続いているが、その流れが福島にも伝播したのかも?
それはともかく、レース後に
「またやってしまった…」と反省することは非常に多いが、今回もそうだった。
上位を占めた2頭について、
“距離を克服できるかどうか”、
“重賞でどうか”がポイントのひとつだったのは間違いのないところ。そうは言っても、
「走ったことがない=マイナスポイント」と考えるのは、結果的に早計過ぎたのだろう。
とはいえ、
「芝2000mは難しいのでは?」と考えるのには裏付けもあった。
ミトラ自身は近親に
メイショウサムソンのいる血統ではあるが、母
エイグレットは芝1200mで3勝を挙げたスプリンターで、
父シンボリクリスエス×母父サンデーサイレンスの配合を持つ馬は芝2000m以上の重賞が[0.0.0.47]でもあった。
また、②着
フラアンジェリコも半兄は
高松宮記念勝ち馬
オレハマッテルゼ。芝2600mで⑪着に敗れた前走の
丹頂Sが実力ではないだろうが、この距離の重賞で好走するイメージが湧かないのが正直なところだった。
そういった過去の傾向を覆して好走したこの2頭は、賞賛されるべきだろう。
“やる前から諦めるバカいるかよ!”という、某アイドルの叱咤が身にしみます(笑)。今後は
「走ったことがない=やれるかも?」という視点を忘れずに、予想に励みたいと思います!
一方、3連覇を目指した
ダイワファルコンは、⑯着と思わぬ大敗を喫してしまった。調べてみると、90年以降にハンデ戦の平地重賞を連覇した馬が、3年目に出走した時の成績は以下のようになる。
アサカディフィート(
小倉大賞典)…⑯着
エリモハリアー(
函館記念)…
①着オースミグラスワン(
新潟大賞典)…⑩着
スマートボーイ(
アンタレスS)…⑮着
ナリタクリスタル(
新潟記念)…⑩着
フラガラッハ(
中京記念)…⑩着
マイネルモルゲン(
京成杯オータムH)…⑤着
メイショウカイドウ(
小倉記念)…⑥着
ユウセンショウ(
ダイヤモンドS)…⑬着
3連覇したのは
エリモハリアーのみで、掲示板に載った馬ですら
マイネルモルゲンしかいなかった。その
エリモハリアーは55kg→56kg→57kgで、3年目ですら57kgにとどまっていたが、
ダイワファルコンは57kg→57.5kg→58kgで、
今年は58kgが厳しかったのかもしれない。
ハンデ重賞でなければ
タップダンスシチーの
金鯱賞、
マツリダゴッホの
オールカマーなどの例はあるが、
ハンデ重賞は勝てば勝つほどハンデが上がる。さらに、重賞を複数勝った馬となると、より上のグレードのレースに出走するために、そもそも3連覇を狙わない例も増えるので、ますます難しくなるのだろう。
ダイワファルコンが敗れたことで、ハンデ戦の平地重賞を連覇している現役馬はいなくなった。
ミトラがそれに代わり、今後
“福島芝2000mの鬼”として君臨する可能性もあるだろう。
ミトラは6歳馬ではあるが、長期休養を挟んでいるために、今回がまだ20戦目と使い減りしていない。セン馬なのでまだまだ長く現役を続けてもらって、難易度の高い3連覇に挑戦する可能性はあるはずだ。
やる前から諦めてはいけないのです。